今回は公開や活用が広がっているオープンデータについてご紹介します。
目次
オープンデータとは
オープンデータとは、誰もが許可されたルールの範囲内で自由に複製・加工・頒布できる無償データのことを指します。
機械判読に適した形式で加工されており、営利・非営利を問わず二次利用が可能です。
オープンデータは国や地方自治体、公共団体などから提供されています。
オープンデータの特徴
著作権フリーで自由に利用可能
通常、Web公開されているデータは著作権により保護されており許可なく複製、編集できません。そのため、
- 許諾確認に手間がかかり面倒である
- 許諾が得られるまでに時間がかかる
などから利用ハードルが高い難点があります。
一方、オープンデータは
- 利用上の制約が非常に少なく、誰でも自由に使える
- 加工(二次利用)も可能
と誰でも手軽に利用できます。
機械判読可能な形式
画像データやPDFの形式では、その中の数字や文字のデータを取り込むことができません。
プログラムが情報を取り込み、処理を行うことができるデータ形式を「機械判読可能なデータ形式」(例:CSVやXMLなど)と呼び、オープンデータ政策ではこのような形式でのデータ公開を目指しています。
オープンデータ化の背景
日本では2012年に政府が国家戦略として「電子行政オープンデータ戦略」を発表。2013年には「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定し、国と地方が一体となりオープンデータ推進の取り組みがスタートしました。
2013年6月に政府が公開した成長戦略「日本再興戦略」の中で、IT分野の戦略の一つとして「公共データの民間開放」が挙げられました。
政府は、2015年度末には先進国と同水準の公開内容を実現することを目標として、2013年12月にデータカタログサイト「DATA GO JP」の試行版を公開し、2014年10月より本格運用を開始しました。
オープンデータの目的
オープンデータ政策は以下の3つを目的としてスタートしました。
- 行政の透明性や信頼性の向上
- 官民協働による公共サービスの提供、民間サービス創出の促進
- 新ビジネスの創出や企業活動の効率化を通じた経済活性化
オープンデータ取り組み団体・データ入手
オープンデータ戦略を受け、中央省庁や地方自治体が各種保有データの公開に取り組んでいます。
取り組み団体や状況、データ入手先、入手方法については以下をご参照ください。
- デジタル庁|オープンデータ
オープンデータに関する各種資料を掲載
https://www.digital.go.jp/resources/open_data/ - デジタル庁|オープンデータカタログサイト
オープンデータに関する情報ポータルサイト
https://www.data.go.jp/ - 自治体オープンデータ
自治体が保有する公共データを公開
https://www.open-governmentdata.org/ - G空間情報センター
地理空間情報の流通支援プラットフォーム
https://front.geospatial.jp/ - 政府統計の総合窓口
日本の統計を閲覧できる政府統計ポータルサイト
https://www.e-stat.go.jp/ - JARTIC|公益財団法人日本道路交通情報センター
交通規制情報、断面交通量情報、交差点制御情報をオープンデータとして提供
https://www.jartic.or.jp/service/opendata/ - PLATEAU(プラトー)
全国地方自治体の3D都市モデルデータを整備・公開し、活用を推進
https://www.mlit.go.jp/plateau/
オープンデータ活用事例
オープンデータは防犯、災害対策、観光、不動産、まちづくり、福祉などさまざまな分野で活用できます。
アイデアソンやハッカソンなどのイベントを通じて、オープンデータ活用のアイデア募集やアプリ開発コンテストも活発に行われています。
空間情報クラブでもGISとオープンデータを組み合わせた例をご紹介しています。
将来推計人口マップをGISで作成
国土交通省 Project PLATEAU(プラトー)
Project PLATEAU(プラトー)は、全国の地方自治体の3D都市モデルデータを整備、オープンデータ化し、行政や民間企業のサービスや製品開発に活用していくことを目的としたプロジェクトです。
国土交通省主導で2020年度からスタートしたこの取り組みでは、科学的なシミュレーションや分析を最適な都市開発に役立てたり、整備データをハブにした市民参加やシビックテックを促進しています。
空間情報シンポジウム2021では、Project PLATEAU(プラトー)のコアメンバーである国土交通省 内山裕弥様にPLATEAU(プラトー)のこれまでの成果と今後の展開についてご講演いただきました。
内山様のご講演内容を空間情報クラブに掲載していますので、PLATEAUについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
法務省、登記所で使われている地図データを無料公開
法務省は、全国の法務局に備え付けられている「登記所備付地図」などの電子データの無料公開を2023年1月23日よりスタートしました。
公開される地図データは2022年1~2月現在の情報ですが、今後は定期的に地図データを更新していく予定とのことです。
- 公開情報
不動産登記法第14条第1,4項に規定にもとづいた登記所備付地図と、地図に準ずる図面(公図)に係る電子データ - データ形式
地図XMLフォーマット(地図の形式で表示するには、専用ソフトウェアなどでのデータ変換が必要です。) - 公開場所
G空間情報センター https://front.geospatial.jp/
G空間情報センターでは、今後このデータをGeoJSON形式などGIS(地理情報システム)やウェブで利用しやすいファイル形式に変換したデータを提供する予定としています。
インフォマティクスでは、国内で約36,000のお客様に利用されているGIS(地理情報システム)製品SIS(エスアイエス)をご用意しております。SISは法務省のXMLをはじめ、約300種類のフォーマットのデータを変換せずに直接読み込むことができます。
SISで法務省XMLを読み込む手順に関する記事を読む >>
SISの最新カタログをダウンロードする >>
関連団体
オープンデータの流通を促進する環境を整備するため、産官学が共同で取り組む活動母体として「オープンデータ流通推進コンソーシアム」が2012年に設立されました。
オープンデータ流通推進コンソーシアムは、オープンデータ推進に向けた課題解決の研究や技術標準の検討、普及啓発活動、情報発信などの活動を行っています。(現在は「一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構」に移行しています。)
【参考】
・政府CIOポータルサイト https://cio.go.jp/policy-opendata
・総務省ウェブサイト https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/
・自治体オープンデータウェブサイト https://www.open-governmentdata.org/about/
・国土交通省PLATEAUサイト https://www.mlit.go.jp/plateau/
・法務省ウェブサイト https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00494.html
・G空間情報センターウェブサイト https://front.geospatial.jp/news/2023/01/2136/