来る4月12日、26日に、いくつかの県で第18回統一地方選挙が実施されます。統一地方選挙とは、地方自治体の首長(知事や市長)と議会(県議会や市議会)の議員を選出する選挙です。
具体的には、今回の地方選挙で10道県(北海道、神奈川県、福井県、三重県、奈良県、鳥取県、島根県、徳島県、福岡県、大分県)の知事と、5政令市(札幌市、相模原市、静岡市、浜松市、広島市)の市長が選出される予定です。
今回のコラムでは、統一地方選挙と直接関係はありませんが、選挙と関連の深い「選挙区」について触れてみたいと思います。
目次
衆議院選挙とは
皆さんご存じの「衆議院選挙」。直近では、昨年(2014年)12月14日に実施されたものが記憶に新しいと思います。
日本の国会には衆議院と参議院があり、衆議院選挙は、衆議院議員の任期満了(4年)によるものと、衆議院の解散により行われるものの2種類があります。
衆議院議員の定数は475議席で、そのうち295議席が小選挙区から選出された議員、180議席が比例代表区から選出された議員です。
小選挙区制とは
小選挙区制とは、1選挙区あたり1人の議員を選出する選挙制度です。
2013年7月の公職選挙法改正により、定員が300議席から295議席へ減少しました。
これは2010年の国勢調査のデータを元に、「選挙区間における人口較差」、いわゆる「一票の格差」を可能なかぎり是正することを目指したものです。
この改定により、1選挙区あたり平均約43万人の民意が反映されることになります。
最少選挙区との較差を地図で可視化
300議席の場合での、議席数(定員1人)あたりの選挙人人口が最少選挙区(最少選挙区=高知3区)との較差を算出し、日本地図に色分け主題で表現してみました。
<データ出典>
・衆議院300選挙区データ(表1 人口・面積・人口密度・人口増加率)
※本データでは、選挙人人口を2010年国勢調査人口による集計人口の3分の2として計算しています。
・衆議院300選挙区ポリゴンデータ(shape形式)
また、現在の295議席の場合での、議席数(定員1人)あたりの人口が最少選挙区(最少選挙区=鳥取2区)との較差を算出し、日本地図に色分け主題で表現してみました。
<データ出典>
・衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告
・衆議院選挙295小選挙区ポリゴン(shape形式)
295議席は0増5減、つまり議席(選挙区)を増やした都道府県は0で、議席(選挙区)を減らした県は5県(山梨県、福井県、徳島県、高知県、佐賀県)となっています。
この議席数の改定で、「1票の格差」がいくぶん解消されたことが地図から読みとれます。
現在の295議席の各都道府県別の配分は、以下のとおりです。
推定議員数を地図で可視化
この小選挙区制によって選ばれる衆議院議員の数を、GISソフト「SIS 8.0」を使って地図上に表現してみました。
各都道府県の小選挙区の和を算出し、都道府県ごとに表現してみました。小選挙区のポリゴンを背景に重ね合わせています。
今から25年後の2040年、衆議院選挙の小選挙区制定員が現在と同じ295人だった場合に、各都道府県から選出される議員数が何人になるかを推定集計しました。
ただし、これはあくまでもインフォマティクスの独自集計によるもので、実際とは異なる可能性がありますのでご了承ください。
集計にあたって、2040年の人口は20歳以上の推計人口を利用しました。
なお、実際には、2016年夏の参議院選挙から選挙権年令が18歳以上に引き下げられる可能性がありますが、推計人口は5歳刻みで算出されているため20歳以上としています。
ここでは議員数を算出する方法として「最大剰余法」を用いています。
各都道府県の人口を295議席で割り、その数値を整数の部分と小数点以下の部分に分け、整数についてはその数値をそのまま配分し、残議席については小数点以下の数値が大きい順に各地域に配分する、という方法で算出しました。
2040年の295議席の配分は、以下のとおりです。
現在、議席数が2の県は福井県、山梨県、鳥取県、島根県、徳島県、高知県、佐賀県のみで、1以下のところはありませんが、2040年の予想議席数は秋田県、山形県、富山県、福井県、和歌山県、徳島県、香川県、佐賀県、宮崎県が2、鳥取県 島根県、高知県が1という結果になりました。
一方、議席数が最大である東京都は、25から34へと9議席も増える計算になります。
これについても、あくまでも仮定の計算であり、小選挙区制や比例代表制、選挙や議席数、衆議院そのものが今後どうなるかわかりませんが、国政に関して言うと、地方の意見がより反映し難くなることが予想されます。
「地方自治は民主主義の学校」とも言われるように、地方選挙は国政選挙に比べて地方の意見を反映しやすいと言われます。
一票の格差がいくらかあるとはいえ、その重みを考えると、やはり投票には行くべきですね。
<参考資料>
・衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告
・衆議院選挙295小選挙区のポリゴン及び統計データ
・国立社会保障・人口問題研究所