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現地調査DX|クラウドGISではじめる新たな業務スタイル

こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。

近年、国のIT戦略を背景に、企業の規模や業種を問わずデジタル化の重要性が広く認識されるようになり、勤怠管理や申請業務など事務処理の領域ではデジタル化が着実に進んでいます。

一方で、現地調査や点検といった現場作業の多くは依然として紙やExcel、スプレッドシートに依存しており、業務効率や情報共有の面で課題が残っています。

本記事では、そうした「見過ごされがちな現場業務のDX」を実現するためのヒントをご紹介します。

現地調査・点検業務における課題

地方自治体の公共施設管理や、農業団体による圃場・農業施設の確認、金融機関・不動産企業の物件評価など、さまざまな分野において現地調査は業務の根幹を支える重要なプロセスです。

この業務では、調査担当者が現地に赴き、状況を確認・記録し、関係部署へ報告するという流れが一般的ですが、現場では依然として手作業が中心であり、業務の効率化や情報共有の観点からデジタル化が大きな課題となっています。

現地での記録は手書き

チェックリストなどの紙の調査用紙を持参し、現地で手書きによるチェックやコメントを記入。調査後は事務所に戻ってから、その内容をExcelなどに再入力するのが一般的です。

このような再入力の手間に加え、現地で撮影した写真データの取り込み作業も必要となり、担当者の負担は少なくありません。

情報共有はリアルタイム性に欠ける

調査結果は報告書の提出を待たなければ確認できないため、関係者間の情報共有にタイムラグが生じ、迅速な対応が難しくなるケースもあります。

クラウドGISサービスで始める、現場目線の業務改善

こうした課題を解決する手段として注目されているのが、クラウドサービスを活用したIT化です。

「DX」や「業務のIT化」と聞くと、大規模なシステム導入や多額の初期費用をイメージする方も少なくないでしょう。

しかし近年では、小規模から手軽に始められるクラウド型サービスが増えたことで、DXのハードルは着実に下がりつつあります。

たとえば、地図と連携したクラウドGISサービスを活用すれば、担当者がモバイル端末から登録した写真やコメントがリアルタイムで本部システムに反映され、報告書作成の手間を減らしながら、関係部署とのスムーズな情報共有が可能になります。

管理者にとっても、地図上の画面から調査の進捗状況をひと目で把握できるといったメリットがあります。

  従来の業務フロー デジタル化後の業務フロー
調査場所の確認 調査場所に印を付けた紙地図を持参 地図データ上で調査場所を検索して確認
調査結果の記録 調査用紙に手書きでメモを記録 タブレットやスマートフォンから入力
調査データの登録および反映 帰社後、調査結果をExcel入力したり、写真データの取り込みを行う 現地で登録したデータ(調査コメント・写真)は、インターネット経由で本部システムに即時反映
情報共有のタイミング 報告書作成後に情報共有 現地でデータ入力すると同時に情報共有
作業進捗の把握 進捗確認は担当者からの報告待ち 画面上の地図から随時進捗を確認

 

クラウドGISサービスの導入に際しては、以下のようなチェックポイントを確認しておくと安心です。

  • コストパフォーマンス
    提供される機能が導入・運用コストに見合っているか
  • セキュリティ対策
    認証やアクセス制御、バックアップなど、安全性が十分に確保されているか
  • データ容量
    想定されるデータの量に対応可能か、容量に柔軟性があるか
  • 柔軟性・拡張性
    既存システムと連携でき、将来的な拡張にも対応できるか
  • 操作性
    専門知識がなくても扱いやすい直感的なUI/UXかどうか
  • サポート体制
    導入後の問い合わせやトラブル対応など、適切なサポートが受けられるか

クラウドGISサービスのメリット

クラウドGISを導入することで、次のようなメリットが得られます。

  • 初期費用の削減
    従来のインストール型システムに比べ、サーバーや周辺機器が不要になるため、導入コストを大幅に抑えられます。
  • 運用・保守の負担軽減
    サーバー管理やソフトのアップデートはサービス提供側が行うため、利用者の負担が軽くなります。
  • リソース利用の柔軟性
    必要に応じてサーバー容量や機能を増減できるため、拡張性が高く、無駄なコストも抑制できます。
  • 地図とのシームレスな連携
    地図上での経路検索や調査内容(写真・コメント)の入力・管理が可能。現場から報告までをスピーディに行えます。
  • BCP(事業継続計画)対策にも有効
    分散型のデータ保管と迅速な復旧体制により、災害やトラブル時にも業務を継続しやすくなります。
  • スムーズな情報共有
    インターネット環境があれば、場所やデバイスを問わずデータにアクセス可能。チーム内での情報共有がリアルタイムで行えます。

活用例

クラウドGISサービスは、以下のようなシーンで活用が期待できます。

  • 金融機関・不動産会社
    物件評価のための現地調査や、報告書の作成業務に。
  • 地方自治体
    橋梁・道路・公園遊具など、公共施設の老朽化対策に向けた調査・点検業務に。
  • 農業団体
    農道や農地筆、農業施設、作物の生育状況などの調査と、関係機関での情報共有に。

クラウドGISは地図と連携しているため、調査地点の作図・編集、コメントや写真の登録・閲覧・管理といった一連の作業を、すべてクラウド上で完結させることが可能です。

現地調査DXを支える新しい選択肢

現地調査業務のDXを進めるうえで重要なのは、「導入のハードルが低いこと」「運用の負担が少ないこと」「誰でも扱いやすいこと」です。

こうした条件を満たすツールを選ぶことが、現場に無理なくDXを浸透させる第一歩になるのではないでしょうか。

 

インフォマティクスからのお知らせ

クラウドGISサービス「GC Maps」

インフォマティクスでは、現地調査業務に特化したクラウドGISサービス「GC Maps(ジーシーマップス)」を提供しています。

スマートフォンやタブレットから直感的に使える登録機能をはじめ、地図上での作図・編集、本部システムとの連携など、現場のニーズに応える機能を搭載しています。

調査・点検業務の効率化や情報共有の迅速化をお考えの方は、ぜひ専用ページで詳しい情報をご覧ください。 ▶GC Mapsページを見る

 

<参考>
『イラスト図解式 この一冊で全部わかるクラウドの基本 第2版』(SBクリエイティブ/林雅之著)
東京商工会議所ウェブサイト『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果』

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空間情報クラブ編集部

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