こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
今回はGISでのスタイルの利用場面や表現方法についてご紹介します。
GISで扱うスタイルとは
「スタイル」という言葉は、利用場面によって様々な意味で使われます。
一般的には「スタイルがいい」「ヘアスタイル」「ライフスタイル」のように、体型や様式、流儀などの意味で使われますが、コンピュータの世界では、文字や線の色、サイズといったデータの見栄えの設定のことをいいます。
GISではスタイルは何を意味するのでしょうか?
GISでは、地球上に実在するものから目に見えないものまでを地物として、すべて図形で表現します。この表現に使用する図形の色(線、塗りつぶし)や記号(シンボル)の情報のことを「スタイル」といいます。
下図は①面、②線、③点、④文字にスタイルを設定した例です。
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スタイル設定前
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スタイル設定後
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地図におけるスタイルの役割
地図にはたくさんの種類があり、その用途は様々ですし、用途に応じて見た目も変わります。
例えば、同じ地域の地図をZmap-TOWNII(株式会社ゼンリン)とMAPPLE10000(株式会社昭文社)で比べてみました。
同じ地域の地図でも何をどのようなスタイルで表示するかによって、見た目にこれだけの違いがあります。
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Zmap-TOWNII(株式会社ゼンリン)
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MAPPLE10000(株式会社昭文社)
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GISでのスタイルの利用例
GISでスタイルがどのように使われ役立っているのか、いくつかの例でみてみましょう。
案内図
案内図は、現在地から目的地までの経路案内(ルート検索)を目的とした地図です。
これを表現するスタイルは、見やすく誰が見てもひと目でわかるようにする必要があります。
主題図
主題図でも多くのスタイルが使用されます。
例えば、エリアマーケティングシステムでは、下図のように様々なスタイルを利用して商圏分析を視覚的に表現することで、分析結果が把握しやすくなり、効果的なマーケティング資料となります。
エリアマーケティングシステムの例
標高データ
下図では、3次元情報である標高の数値を色の濃淡で表現することで、高低差を認識できます。
このように、情報を数値や文字で表現する代わりにスタイルで表現することで、見る人が情報を直感的に把握できます。
数値地図50mメッシュ(標高)
上述のように、地図上におけるスタイルの役割は以下のとおりです。
- 目的に応じて、地図上の図形を強調表示する
- 数値や文字情報を視覚化する
スタイルの表現方法で大切なこと
スタイルには、地図の用途に応じて必要最小限の情報をいかにわかりやすく表現できるかが求められます。そのためには、地図を作成するシステムに「表現力が多彩であること」「設定や変更が簡単であること」が要求されます。
下図は、背景地図として利用するために全体的に色を淡くしています。
このような場合、1つ1つ色を変更すると手間がかかりますので、簡単に表現を切り替えられる機能があれば便利ですね。
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元の地図
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背景地図として使うため
色を全体的に淡く変更 |
GISソフト「SIS」では、「地物テーブル」で地物のスタイルを一括管理しています。
スタイルを変えた地物テーブルをあらかじめ用意しておき、用途に応じて切り替えると、簡単に表現の変更ができます。このように、GISではスタイル管理のしやすさも大切です。
おわりに
地図の見栄え、わかりやすさはスタイル次第です。そのため、GISには必要なスタイルを簡単に作成、変更できる機能が要求されます。
SISでは多彩な表現を実現できるので、地図の見栄えをとことん追求したいという方の厳しい要求にもしっかり応えられます。
また、ライブラリ機能を利用することで、作成済みのスタイルを繰り返し使用したり、複数ユーザ間で共有することもできます。
SISを使って、ぜひスタイルの設定・変更を体験してみてください。