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国土交通省、3D都市モデルをブラウザで利用できる「PLATEAU VIEW」最新版3.0公開

PLATEAU VIEWの概要

国土交通省が推進している都市デジタルツインの整備プロジェクト「Project PLATEAU」は2024年4月、建物や都市の様子を再現する3D都市モデルを可視化できるウェブアプリケーション「PLATEAU VIEW」の最新版となるバージョン3.0を公開した。

Project PLATEAUは、デジタルツインのインフラとなる3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進するプロジェクトで、約50団体の地方公共団体が参画し、データ整備範囲は約200都市に及ぶ(2024年6月時点)。

PLATEAU VIEWは、同プロジェクトで提供される3D都市モデルのデータをプレビューできるウェブアプリケーションで、3D都市モデルの上に様々な情報を重ねてシミュレーションや分析などを行える。

今回公開されたPLATEAU VIEW 3.0は、オープンソースのWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をベースに開発されたもので、WebGL技術を採用することで3D地図を軽量・高速に可視化できる。

PLATEAU VIEW 3.0

PLATEAU VIEWの基本機能

PLATEAU VIEWを開くと、千代田区と中央区のデータが表示された状態がデフォルトで表示される。PLATEAU VIEWの操作は以下の3つのUIで行う。

ツールバー

画面上部に位置し、動作モードの切り替えやベースマップの変更などを行える。動作モードは地図移動や地物選択など計5つのモードが用意されている。

ユーザーの現在地を地図上に表示したり、カメラの視点やズームレベルを変更したりすることも可能で、背景地図は白地図や衛星写真など5つから選択できる。

ヒエラルキーウィンドウ

画面左上に位置する検索用ウィンドウで、データの検索や地図上に追加したレイヤー一覧の表示・選択の切り替えなどを行える。レイヤーの中から表示させたいものを選んでアクティブにすると、住所やデータ名での検索が可能になる。

インスペクター

選択中のレイヤーの色分けや透明度、地物の属性情報などを表示する画面右上のウィンドウ。

地図上にデータを追加する場合は、検索ボックスをクリックすると関連するデータセットおよびエリアが表示されるので、追加したいデータセットをクリックすることで地図上に可視化できる。

エリアを選択した場合は該当する住所が地図上に水色で表示され、さらにデータセットを検索・指定すると、そのエリアに含まれるデータが表示される。

上部のツールバーと左上のヒエラルキーウインドウ、
右上のインスペクターの3つのUIで操作可能

バージョン3.0で追加された新機能

バージョン3.0で新たに追加された機能としては、主に以下の4つが挙げられる。

作図機能

地図上に様々な形状や高さの建築物を作図することが可能になった。上部のツールバーで「作図モード」を選択すると利用可能になる。

作図できる形状は立方体・円柱・自由形状の3種類で、既存の建築物を消して新たな建築物を追加することもできる。

任意の場所に建築物の作図が可能

Google Street Viewとの連携機能

ツールバーで「歩行者視点」を選択するとGoogle Street Viewが表示される。

地図上で見たい地点をクリックすると、画面右上に該当する場所の路上写真が表示され、実際の街の様子を確認しながら3D都市モデルを利用できる。

Google Street Viewが閲覧可能

太陽光シミュレーション

ツールバーの中にある太陽のアイコンをクリックすると、太陽高度のグラフが表示され、時刻を動かすと任意の日時での日照をシミュレーションできる。

日照シミュレーションが可能

ヒートマップ表現

人口などの統計情報をヒートマップで表現することが可能になった。

ヒートマップ表示

防災に関する情報を豊富に収録

このほか、UI/UXの見直しにより簡単にデータ閲覧できるように工夫されている。

例えば上部ツールバー中央には地図に表示されている市町村名や都道府県名が表示され、そのエリア内で使用できるデータセットが一覧表示されるのでわかりやすい。

特に防災関連のデータセットは充実しており、以下のデータセットを簡単に読み込める。

  • 洪水浸水想定区域モデル
  • 津波浸水想定区域モデル
  • 土砂災害警戒区域モデル
  • 避難施設情報
  • 緊急輸送道路情報

浸水想定区域モデルを表示

データセットだけでなくユースケースも呼び出せるようになっており、各地でどのような活用事例があるのかを簡単に調べられる。

例えば東京都のユースケースのメニューから「荒川時系列浸水シミュレーション(想定最大規模)」を選択すると、荒川が破堤した場合に予想される浸水の状況を3D地図上に可視化できる。

荒川時系列浸水シミュレーション(想定最大規模)

特にこれからの台風シーズンでは、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域などを調べられるツールとして役に立つし、災害に強いまちづくりや防災計画の策定などにも活用できる。

以上のように、PLATEAU VIEW 3.0では全国各地の3D都市モデルをベースに、都市計画や土地利用、防災などの色々なデータを読み込んで重ねることが可能で、様々な用途で活用できる。

都市のデジタルツインをビジネスや防災などに活用したいと考えている人は、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。

■URL
PLATEAU VIEW
https://www.mlit.go.jp/plateau/plateau-view-app/

 

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<参考>国土交通省ウェブサイト、PLATEAU VIEWウェブサイト

  • この記事を書いた人
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片岡義明(かたおかよしあき)様

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。

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