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神戸市がオープンデータを活用した全国版統計情報ダッシュボードを公開

オープンデータをもとに作成した統計情報ダッシュボード

神戸市は、同市ウェブサイト「神戸データラボ」にて、オープンデータとして公開されている統計情報をもとに作成した全国版ダッシュボードを公開した。

ダッシュボードとは、様々なデータや統計情報を一覧して可視化・分析できるツールのことで、今回公開されたダッシュボードは誰でも無料で利用できる。

神戸市は国勢調査のデータをもとに作成したダッシュボードを2023年2月に初めて公開し、同年10月にも公開しており、今回公開した分も含めて公開中のダッシュボードは全8種類となった。

これらのダッシュボードは神戸市だけでなく全国の市区町村のデータを利用可能で、各地域の人口や就業状態、移動状況などを様々な角度から分析できる。

神戸データラボ

公開されているダッシュボード

以下の8種類のダッシュボードが公開されている。

国勢調査 人口等基本集計(市区町村)

都道府県別や市区町村ごとに、人口ピラミッド、世帯人員別世帯数、住宅所有関係別世帯数(持ち家・民営借家)、住宅の建て方別世帯数(一戸建て/共同住宅)を棒グラフで可視化できる。

地図上をマウスドラッグして複数の市区町村を選択することで、選択したエリアの合計人数を調べられる。

国勢調査 人口等基本集計(小地域)

人口ピラミッド、世帯人員別世帯数、住宅所有関係別世帯数、住宅の建て方別世帯数の4項目について、各市町村の小地域ごとに棒グラフで表示できる。

地図上で市区町村を選択すると小地域の境界が標示されるので、調べたいエリアをクリックするとグラフに反映される。複数エリアのデータを集計して可視化することもできる。

国勢調査 通勤通学分析(市区町村)

都道府県別または市区町村ごとに通勤・通学の状況を可視化できる。

昼夜間人口比率、昼間人口、夜間人口、入流人口、流出人口を調べられるほか、都市間の関係性を示す指標として、流入人口と流出人口を合計した「流入出計」と、流入人口から流出人口を差し引いた「流入超過」をランキングで見ることが可能。

国勢調査 就業状態分析(小地域)

都道府県または市区町村ごとの産業別・職業別の就業者数や、従業上の地位別就業者数(雇用者・自営業者・家族従業者)、世帯の経済構成別の一般世帯数(非農林漁業就業者世帯・非就業者世帯・農林漁業就業者世帯・農林漁業・非農林漁業就業者混合世帯)を棒グラフで可視化できる。

国勢調査 人口・就業状態等(兵庫県・小地域)

兵庫県および県内の各市区における人口ピラミッド世帯人員別一般世帯数、就業上の地位別就業者数、産業分類別就業者数、住宅の建て方別世帯割合、住宅種類別一般世帯数などを一覧できる。

このダッシュボードのみ全国版ではなく、兵庫県に絞った情報提供となっている。

国勢調査 人口の移動状況(50万人以上の市)

都道府県別または大都市ごとに人口の移動状況を可視化できる。

現在地と5年前の常住地を比較した転入者総数や転出者総数のほか、都道府県・大都市・特別区ごとの転入超過数の一覧も表示できる。

日本の地域別将来推計人口(都道府県・市区町村)

国立社会保障・人口問題研究所が公開した「日本の地域別将来推計人口(2023年)」のデータを可視化したダッシュボードで、2025年までの全国の都道府県または市区町村ごとの推定人口や人口の推移を調べられる。

エリアごとの推定人口の違いがわかるヒートマップや、男女5歳階級別の人口ピラミッドを見ることが可能。

住民基本台帳人口移動報告(都道府県・大都市)

総務省が「住民基本台帳人口移動報告」のデータを可視化したダッシュボードで、都道府県や大都市ごとに2020~2024年における人口の移動状況を調べられる。

転入・転出人口や年齢ごとの内訳、相手地域別の転入超過数・移動者数の全国一覧などを見ることが可能。

オープンデータ活用やEBPMを推進

神戸市は、職員向けポータルサイト「神戸データラウンジ」を2022年6月にオープンし、約80種類のダッシュボードを庁内共有して課題分析や政策立案に活用している。

神戸データラボで公開しているダッシュボードは、神戸データラウンジで共有しているダッシュボードの中から、オープンデータをソースとするものを選んで一般に公開している。

これらのダッシュボードはBI(Business Intelligence)ツールを使って神戸市職員自らが作成したもので、無料のオープンデータを利用しているためほとんどコストがかかっていないという。

神戸市はダッシュボード公開にあたってメディア向けラウンドテーブルを行っており、全国版ダッシュボードを公開した理由として以下の2点を挙げている。

  • 神戸市民に全国各地域の状況を把握してもらうことで神戸市の政策議論に役立ててもらう。
  • 神戸市以外の人がダッシュボードを利用できるようにすることで、全国のオープンデータやEBPM(Evidence Based Policy Making:エビデンスに基づく政策立案)の取り組みを推進する。

神戸市はダッシュボードの公開を“神戸スマートシティ”の取り組みの一環として位置付けており、2023年12月には自治体向けのデータ利活用イベント「Data Literacy for All in KOBE」を開催して神戸市のDXの取り組みを紹介した。

今年度は対象を自治体だけでなく、民間企業にも広げてイベントの開催を予定している。

■URL
神戸データラボ
https://www.city.kobe.lg.jp/a47946/data.html

 

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<参考>神戸市ウェブサイト

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片岡義明(かたおかよしあき)様

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。

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