コラム 時空の旅

空間情報を活用して未来をデザイン

11月 29, 2012

こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。

今回は「時間」を旅してみたいと思います。

時間が与える情報

時間は、空間情報を形成する一つの大きな軸ですが、時間そのものは人の目には見えません。

しかし、物事が変化することによって、私たちは確かな時の存在と流れを感じます。時間は常に「現在」を私たちにもたらし、過ぎ去ることよって「過去」となり、一瞬たりとも止まることはありません。

ほんの少し前までは「未来」だった世界が「現在」になり、あっという間に「過去」になる。現在は過去の最終形、とも言えるし、未来の始まり、とも言えます。そして、空間情報として私たちに見えているものは「過去」と「現在」のみ。

現在がたとえ未来の入口であったとしても、見ることもできません。私たちが、もし時間より早く動くことができて、時間を追い越して進み、パッと振り返ると来たるべき未来が見える、なんてことがあったら面白いですね。

そんなことはSFの話ですが、でもその代わり、人間には「未来」を描き想像する能力が与えられています。この素晴らしい能力を生かしたい、これが今日の旅のテーマです。

過去は目の前、未来は背後なのか?

私たちは普通、「過去はふり返るもの」、未来は「前に広がるもの」と言います。「過去」は自分の後ろにあり、「未来」は自分の前にあると考えています。

しかし、旧約聖書の時代(紀元前6世紀頃)のヘブライ人は、「過去」は自分の前にあり、「未来」は自分の後ろにあると考えていたそうです(過去を意味するヘブライ語「ケデム」は「前」を意味する言葉でもあり、将来を意味する「アハリート」は「背後」を意味する)。

つまり、過去に起こったことはすべて事実であり明らかであり、隠すことも変更もできないものとして目の前に存在している。

見たくなくてもそこにある。逆に、未来は自分の後ろにあるので見えない。未来に向かうということは、見えないところに後ろ向きに進むということなので怖いし面白い。そこに何があるのか。何が起こるのか。

 『われらはいかにあるかを知るも、われらがいかになるかを知らず』 シェイクスピア(ハムレット)

空間情報で未来を可視化

さて、旧約聖書の時代から現代に戻り、地図について考えてみると、地図のもっとも大切な機能は、現在の状況をいかにリアルタイムに、いかに正確に表示するかということだと思います。正確でない地図は役に立たないばかりか、逆に混乱を引き起こします。

最近のITの発達は、刻々と変わる渋滞情報や台風の進路まで正確に地図上に表現してくれます。空間情報は常に書き足され、上書きされ、すごいスピードで過去へ流れていきます。

一方、過去の地図も大事な記録であり、科学の発展や歴史の研究にも欠くことができません。古地図を大切にして、眺めたり現在の地図に重ねたりして楽しむ人たちもいます。

ここに「未来」が見えたらいいのに。リアルタイムで正確な現在と膨大な過去の記録や記憶に、人間にしか与えられていない「未来を創造する能力」を加えて未来を描きたい。現在の世界地図、いや、宇宙空間の地図に、時空間の未来をデザインすることがもっと自由にできたら。

我々が子供のころは、白い画用紙にクレヨンで「未来の絵」を描きました。現代では、世界中の人々がITとネットワークというクレヨンを持って、空から、海中から、地中から作成された地図上に「未来」を描くことができます。

この街がこうなって、あの森をこんな形にして。「どこでもドア」のように世界のどこにでも瞬時に行って、それぞれの未来を持ち寄り、地図上に再現して新しい地図を作り、現在の情報、過去の情報と同じくらい、いやそれ以上に、未来の空間情報を蓄えていきたい。それを目に見える形で表現していきたい。

既に、震災復興のプロジェクトやスマートシティ構想ではその試みが始まっているのかもしれませんが、もっともっと自由に闊達に、未来の空間をデザインしたい。

空間をデザインするというのは、そこに未来を描き出すことなのかもしれません。私たちは、何もない大空をぽつんと行く飛行機のようなものです。さあ、この青空に、この空間に、どんな未来をデザインしましょうか?

 他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる(エリック・バーン博士)

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空間情報クラブ編集部

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