こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
第1回、第2回に引き続き、今回もエリアマーケティングをご紹介します。第3回は勢力圏・吸引力による分析がテーマです。
勢力圏による分析
前回は勢力圏による商圏分析の例をご紹介しました。
その例は、自店と周辺の他店との真ん中に線を引き、その線からこちらは自店に、その線から向こうは他店に行くであろうと想定した勢力圏です。
結果は、互いの真ん中に線が引かれた図になりますので、いわば自店と他店の力関係は対等であることを前提にしたものといえます。
今回はもう少し詳しい分析を紹介します。
実際の店舗どうしを比較する場合、常に条件が同じわけではありません。
例えば売り場面積や品揃え、駐車場の台数や入りやすさなど、それぞれ店舗の力(魅力)に差があるものです。
店舗ごとのポジショニングマップ「売り場面積、世帯数、売上高」
店舗ごとのポジショニングマップ「店舗評価」
自社系列店は他社に比べてブランド力がある、ネームバリューがあるというのも1つの例だと思います。
エリアマーケティングシステムでは、それぞれの店舗に「店舗力」を設定して勢力圏の作成、商圏分析を行うことができます。
以下は、通常の勢力圏(赤)と、店舗力を加味した勢力圏(青)を比較した例です。
店舗力あり無しでの勢力圏の比較
吸引力による分析
このほか、吸引力で分析を行う例をご紹介しましょう。
前述のような勢力圏は小さな商圏(最寄り品)の店舗の分析方法ですが、もっと大きな商圏(買回り品)の場合にはハフ分析という方法があります。
上述のように売り場面積など力関係の項目を複数設定し、その力関係でお客様を引き合う「お店の吸引力」を計算するものです。
一般的なハフ分析の例としては、ある地域の住民が店に来る確率は、店の売り場面積に比例し、店までの距離の2乗に反比例するという考え方があります。
エリアマーケティングシステムではもっと多くの項目を使い、複雑なパラメータを与えて地域ごとの吸引確率を計算することができます。
この分析手法は小売業や飲食業の分野だけでなく、公共施設の利用率の計算や設置場所の検討にも応用できます。
このように業種や用途に応じて手法を変えて分析できるのも、エリアマーケティングシステムの特長です。
ハフ分析例