こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
今回はGISで住所検索する方法についてご紹介します。
目次
住所検索とは
GISでの「住所検索」とは、入力した住所から該当する地図の位置を画面に表示する機能のことをいいます。
例えば、GISの住所検索では以下のような手順で住所を絞り込んでいきます。
- 都道府県名から「神奈川県」を選択
- 神奈川県内のリストから「川崎市」を選択
- 絞り込まれた町名・大字などから「幸区」「大宮町」と順に選択
- 番地を指定
住所検索例
住居表示がない地域の検索方法は?
「住所検索」機能は、都道府県/市区町村/大字/町名(○丁目)/街区符号(○番)/住居番号(○号)と階層形式でたどっていくと説明しましたが、全国どこでもこのように住所が整備されているとは限りません。
家屋が少ない地域や都市部以外では、このような住居表示制度が導入されていない場合があり、町名番地(地番表示)だけの地域もあります。
では、住居表示のない地域では住所検索の階層構造はどのようになっているのでしょうか?
例えば、「○○(大字)1234番地」というように、「町名/街区符号/住居番号」にあたるところが地番表示の「番地」に置き換わり、「1234番地-1」のような枝番が付くこともあります。
住居表示例
GISで住所検索するには
GISで住所検索をする場合は、まず市販地図または公共の住所データから、階層ごとに座標をもった「住所データ」を入手する必要があります。
この住所データのソース選びによって、住所検索の座標精度が変わってきます。
家屋レベルまで検索するのか、街区表示レベルでよいのかに応じてソースを選ぶとよいでしょう。一般に、データ精度が高いほど住所データの値段も高くなります。
国内外での住所表示の違い
日本の住所は階層構造になっているとお伝えしましたが、海外でも同様なのでしょうか?
日本の住居表示は、町が数個の街区から構成されている「街区方式」をとっています。
旧来からの区画割りを活かしているので、馴染みの地名をそのまま使えるメリットがありますが、その反面、町・番・号の振り方にルールがないため、住所システムがやや複雑であるという難点があります。
欧米では、道路名を単位にした「道路方式」が採用されている場合が多くみられます。
道路方式では、すべての道路には決まった名称が付けられており、その多くに通し番号が付いています(例:5th Avenue)。
番地は、基点となる道路から離れるにつれて数字が大きくなり、道路の片側が奇数の場合、反対側は偶数になると決められているため、住所の読み方がわかればおよその場所が特定できるというメリットがあります。
街区方式
道路方式
「道路方式」はGISシステムにあてはめた場合、始点と終点の情報から計算して番地の位置を求められるので、非常にシンプルで効率がよい方式と言えます。
一方、「街区方式」の住所検索を実現するには、より複雑な仕組みが必要となるため高度な技術スキルを要します。
おわりに
現在では当たり前の技術となり、普段何気なく使っている住所検索。
検索精度の向上には住所データのソース選びが重要であったり、簡単なように見えても住居表示方式の違いという文化的背景が含まれているなど、技術者たちが努力を重ねて構築してきた結果なのですね。