大雨、地震など、多発する自然災害に対してわたしたちは常に万全の備えが求められています。
今回は災害対策検討に役立つ機能を中心に、GISソフト「SIS 9」の様々な空間解析機能や活用方法についてご紹介します。
インフォマティクスでは、国内で約36,000のお客様に利用されているGIS(地理情報システム)製品SIS(エスアイエス)をご用意しております。
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目次
最新の地理院タイルの読み込み
令和2年7月豪雨により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
国土地理院が7月4日より順次公開している被害地域の浸水推定図は、前回ご紹介した「TileDataset」の機能を使用すると、SISで簡単に表示することができます。
また、国土交通省が以前より公開している「国土数値情報 洪水浸水想定区域データ」は、「シェープ形式」と「geojson形式」のデータに対応しています。
そこで、地理院タイルの「令和2年7月豪雨 浸水推定図 筑後川水系筑後川(2020年7月8日16時作成)」と「浸水推定図の浸水範囲の輪郭線(GeoJSON)」のデータ(図1)、「国土数値情報 洪水浸水想定区域データ」から「想定最大規模」の「筑後川」のデータを読み込み、さらにレンジ主題図で「浸水深ランク」で色分けしました。(図2)
図1:地理院タイルの浸水推定図と輪郭線
図2:国土数値情報 洪水浸水想定区域を重ねて浸水深ランクで色分け
このようにあらかじめ想定されている浸水想定区域と公開された浸水推定区域を可視化して比較すると、迅速な現地調査や災害対策に役立ちます。
これらの作業は、フリービューアのSIS Desktop Expressでも操作できます。
可視領域の作成
大きな河川には堤防が建設されていますが、高すぎる堤防は景観を損なうという問題もあります。
そこで、「可視領域」(ある地点から見通せる領域)を作成する機能をご紹介します。
可視領域を作成するには、高さの情報を持つ「グリッドアイテム」が以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 平面直角座標系などXY座標系である
- 隙間のない連続したグリッドアイテムである
グリッドアイテムについては、第24回「SIS 9のご紹介 Part6 3D編」も参照してください。
国土地理院の基盤地図情報(数値標高モデル)は、2次メッシュ単位のデータで、SISではダウンロードしたzipファイルをドラッグ&ドロップするだけでグリッドアイテムとして読み込むことができます。
読み込んだデータを平面直角座標系に変更した後、SIS 9の「プロセス」機能の「グリッド/演算(足し算)」を使用して、基盤地図情報(数値標高モデル)を上の条件を満たすデータに変換します。
2mの高さから5kmの範囲で見通せる領域を、「堤防上の交差点」(図3)からと「堤防を下った場所にある駐車場」(図4)から作成したのが、次の2つの図です。
図3:堤防上の交差点から見通せる領域
図4:堤防を下った場所にある駐車場から見通せる領域
避難所へ徒歩5分以内に到達できる範囲
たとえば「避難所へ徒歩5分以内に到達できる範囲」を可視化するには、「等距離ルート」コマンドで作成したルートを包含するポリゴンを作成します。
SIS 9で追加された「アルファシェイプ」などの凹包図形作成機能で、より正確な到達範囲を作成できるようになりました。(図5)
以前から実装していた凸包図形作成機能で作成したポリゴン(図6)と比較すると、違いがよく分かります。
図5:凹包図形による到達範囲
図6:凸包図形による到達範囲
おわりに
SIS 9には便利な解析機能がたくさん追加されています。
これまでのGISソフト「SIS」活用講座もぜひご覧いただき、SIS 9の新しい機能を活用してみてください。
SIS Desktopシリーズ 製品情報
https://www.informatix.co.jp/sis/sis/
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<地図データ出典>Open StreetMap data © OpenStreetMap Contributors、国土地理院:基盤地図情報 、 令和2年7月豪雨に関する情報、地理院タイル、国土交通省:国土数値情報(洪水浸水想定区域データ) を加工して作成、株式会社ゼンリン:Zmap TOWNII、株式会社昭文社:MAPPLEデジタル地図データ
※この記事は、GIS NEXT第72号に掲載された記事を編集したものです。