地図表示機能や測位機能を搭載したさまざまなデバイスの概要や現状について紹介するこの連載、今回は「GPSサイクルコンピュータ(GPSサイコン)」と呼ばれる自転車用端末について紹介する。
目次
GPSサイクルコンピュータとは
サイクルコンピュータとは、スポーツ自転車の速度やケイデンス(回転数)、移動距離、タイムなどを表示するデバイスのことで、GPSを搭載した製品では、衛星測位で取得した位置情報をもとにリアルタイムにスピードを確認できる。
GARMINやbryton、LEZYNE、POLAR、Yupiteruほか、さまざまなメーカーがGPS搭載のサイクルコンピュータを扱っている。
特徴機能
ロードバイクに乗っているときに、どれくらいのスピードを出しているのかをリアルタイムに確認することが可能で、高機能なものであればトレーニングの記録も履歴として残せる。
位置情報を連続して取得することで移動軌跡を表示する機能や、地図表示機能を搭載する製品もあり、カーナビのように交差点で右左折の案内を行うナビゲーション機能を搭載する製品もある。
オプションでケイデンス(1分間あたりのクランク回転数)や心拍のセンサー、パワーメーターを用意している製品もあり、速度や距離情報の計測だけでなく、トレーニングに役立つさまざまな情報を知ることができる。
また、電動の変速機を搭載している場合に、どのギアに入っているかを示す機能や、ヘッドライトと連動してスピードに応じて明るさを調整したり、後方から接近する車両を検知してディスプレイ上で警告を発する機能を搭載する製品もある。
このほか、サイクリストのトレーニングに役立つ機能として、インターバルトレーニングのメニューを作成して登録することで、心拍数を目標値に上げるように指示が表示されたり、ウォーミングアップの終了やクールダウンのタイミングを知らせたりするなど、さまざまな機能が用意されている。
GPS搭載ならではのメリット
GPSを活用した機能として便利なのは、地図を使ったナビゲーション機能だ。
サイクルコンピュータはトレーニング用としての性格が強いため、カーナビゲーションに比べるとルート検索の機能が少々弱いものの、サイクリング中に地図上で現在地を確認し、目的値の方向や曲がり角を確認する用途には十分に役立つ。
GARMINの「Edge 1030」は、自転車道対応の詳細道路地図を収録しており、インターネット上で多くのユーザーから蓄積されたルートデータをフィードバックして最適なルートを算出する機能を搭載している。
Edge 1030
画像提供:ガーミンジャパン株式会社
GPSサイコンの代替品
サイクルコンピュータ専用品ではなく、GPSウォッチや登山向けのGPSトレッキングナビをサイクルコンピュータの替わりに使用する人もいる。
また、スマートフォンをサイクルコンピュータとして使うためのアプリもリリースされており、これを使えばスピードや走行距離を計測できるし、スマホと連携可能なケイデンスセンサーや心拍センサーを使えば回転数や心拍数を計測することもできる。
ただし、スマートフォンを自転車にマウントさせるのは転倒や雨天時、電池持ちのことを考えると不安に思う人も少なくなく、サイクルコンピュータの専用機も根強い人気がある。
専用機の中には、CATEYEの「PADRONE SMART +」のように、デバイスそのものにはGPSを搭載せず、Bluetooth SMARTでスマートフォンと連携させ、位置情報の取得はスマートフォンのGPSを利用して、サイクルコンピュータは表示だけという製品もある。
このような方式の場合、デバイスにGPSを内蔵しないため軽量コンパクトでデバイスも安価に提供できる。
スマホ連携で緊急時も安心
スマートフォンとの連携機能を持ったサイクルコンピュータの中には、グループの仲間に自分の走行位置をリアルタイムで知らせたり、メッセージをやりとりする機能を持つものもある。
強い衝撃を検知したときに位置情報を緊急連絡先に自動送信する事故検出機能を搭載する製品もある。
いずれにしても、GPSを活用したサイクルコンピュータは、速度や回転数だけでなく、トレーニングの細かいサポートやナビゲーションなどさまざまな用途に利用でき、自分に合った製品を選べばサイクリングの楽しさが倍増すること間違いなしだ。
※本記事に掲載の製品モデルは現在廃盤となっている場合がございます。予めご了承ください。