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内閣府・デジタル庁、統計データの可視化サイト「Japan Dashboard」を公開

重要指標の可視化とデータ提供を目的とした新ダッシュボード・データカタログ

内閣府とデジタル庁は、データに基づく政策立案を推進するため、新たに「Japan Dashboard(経済・財政・人口と暮らしに関するダッシュボード)」およびデータカタログを整備し、2025年7月10日に公開した。

このサイトは、経済・財政・暮らしに関する主要指標やデータ、可視化ツールを提供してきた「経済・財政と暮らしの指標『見える化』ポータルサイト」を、利用者からの要望を踏まえて全面的にリニューアルしたものである。

リニューアルの主な方針は以下の通りである。

  • 操作性とデザインの改善
  • 時系列分析への対応
  • 複数指標の分析
  • 指標の一覧性/検索性の向上
  • ダウンロード機能の改善

これらの改善により、より直感的で使いやすいダッシュボード形式を採用し、誰もが必要な情報に迅速にアクセスできる仕組みを目指している。
グラフ、チャート、表などの視覚的な要素を使って、データをわかりやすく表示するツール

Japan Dashboardの概要と使い方

Japan Dashboardでは、2025年7月時点で691の指標を、以下の7つの大分類・62の中分類に整理して公開している。今後は市区町村データの追加も予定されている。

  • 人口(人口、婚姻・出生、高齢者割合 など)
  • 経済(県内総生産、就業・労働、県内生産性、所得・課税 など)
  • 教育(学校数・教員数、児童・生徒数、全国学力・学習状況調査、不登校・就学援助、学校のICT環境 など)
  • 社会保障(医療体制、介護提供体制、受信者・患者、生活習慣・栄養、死亡率、医療費、検診受診率 など)
  • 暮らし(安全、健康、居住、就労、教育、保育 など)
  • 社会基盤(社会基盤)
  • 地方財政(基金、歳出、歳入、地方公営企業、地方行財政改革、財政指数 など)

各指標は、次の4種類の表示形式で閲覧できる。

(1)691指標のデータをみる

収録されている691指標のデータを確認できる。左メニューから大分類と中分類を選択すると、右側に指標のデータの種類や収録期間、出所が表示される。

右上のプルダウンメニューから全国または都道府県を選択し、表または時系列グラフで指標を見ることができる。

(2)1つの指標を都道府県ごとにみる

各都道府県の統計指標を地図またはグラフで可視化し、地域ごとの特徴や傾向を把握できる。強調表示したい都道府県の選択や、数値順・都道府県順での並べ替えにも対応している。

(3)2つの指標の関係性をみる

X軸とY軸に異なる統計指標を設定し、都道府県別の分布を散布図で表示できる。選んだ指標と関連性の高い指標候補が自動で提示されるため、相関関係を容易に分析できる。また、散布図の左下にある再生ボタンを押し、年次変化をアニメーションで確認することも可能である。

(4)4つの指標の推移を並べてみる

最大4つの統計指標を同時に時系列グラフ化して比較できる。これにより、多角的な視点から国や地域の変化を分析することができる。

データカタログの使い方

Japan Dashboardに掲載されているデータは、コピーまたはダウンロードして利用できる。指標データごとに1つずつコピーできるほか、複数の指標を一括してダウンロードすることもできる。

(1)1つの指標のデータをコピーして利用する

1つ1つの値をコピーする場合は、表内の値を選択し、右クリックで[コピー > 値のコピー]または[コピー > 選択内容のコピー]を選択する。

複数の指標を選択する場合は、Ctrlキーを押したまま指標や指標名をクリックで連続選択する。

表全体をコピーする場合は、大分類または中分類をクリックして全選択したうえで、右クリックで[コピー > 選択内容のコピー]を選択する。

(2)複数の指標を一括ダウンロードする

複数指標をまとめてダウンロードする場合は、左メニューで対象の大分類・中分類・指標を選択し、取得する期間や自治体を設定して[ダウンロードする]ボタンをクリックする。

活用メリットと今後の展望

今回公開されたJapan Dashboardとデータカタログは、データに基づく政策立案の推進を目的として整備されたものであるが、自治体のみならず民間企業にとっても、各都道府県の経済・財政・人口・暮らしの実態を把握する際の参考資料として活用できる。

現時点では都道府県単位のデータに限られているが、今後、市区町村データの追加が進めば、企業の出店計画など、より多様な用途への応用が期待される。また、データの可視化だけでなくダウンロードにも対応しているため、表計算ソフトやGISソフトでも利用可能である。

今後は市区町村データの拡充に加え、観光客数などの新たな指標の追加にも期待したい。

 

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<参考>内閣府ウェブサイト、デジタル庁ウェブサイト

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片岡義明(かたおかよしあき)様

専門新聞社や出版社勤務を経て、1999年よりフリーランスライターとして活動。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」が発売。インプレスより書籍「パソ鉄の旅~デジタル地図に残す自分だけの鉄道記~」、共著書「いちばんやさしい衛星データビジネスの教本」が発売。

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