こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
近年、スマートフォンの普及により位置情報が身近な存在になりました。今回は位置情報と密接な関係にある測地系について解説します。
参考
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目次
測地系と位置情報
まず位置情報と測地系の関係を大まかに説明しましょう。
位置情報とは人や物、建物などの位置(場所)に関わる情報のことをいい、一般にGPSを利用して取得した緯度経度の座標で表わされます。
位置情報としてよく使用される「緯度経度」は場所を数値で表わす方法(座標系)の1つで、度・分・秒で表わされます。
例)
インフォマティクス本社があるミューザ川崎セントラルタワーの位置を緯度経度で表すと「北緯 35度31分52.9秒 東経 139度41分40.6秒」となります。
測地系とは
ある場所に対する緯度経度の値は不変的なものではなく、基準とする測量方法によって変わります。
このように、それぞれの基準によって測量された緯度経度座標系のことを「測地系」といいます。
測地系の種類
測量を行う場合、まず採用する地球の形(楕円体)を決め、基準点を定めます。
通常、地球というと球体を想像しますが、実際には楕円形が変形したような形だといわれています。
測地系は、モデルとして採用する地球(楕円体)の形によって大きく以下の2つに分けられます。
- 日本測地系
- 世界測地系
日本測地系とは
日本測地系とは、ベッセル楕円体を地球の形として採用し、天文観測により決定された緯度経度原点値と原方位角を基準に測量されたもののことをいいます。
日本測地系は「旧測地系」とも呼ばれます。
2002年の測量法改正以前は、この測地系を使った測量が行われていました。
世界測地系とは
世界測地系とは、GPSやVLBIなどで取得した高精度な観測値に基づき、国際的に定められた測地系のことをいいます。
2002年4月の測量法改正以降、基本測量や公共測量は世界測地系に基づいた測量を実施しなければならなくなりました。
現在、日本で使われる世界測地系には以下の2つがあります。
- 日本測地系2011(JGD2011)
- WGS84
世界測地系の種類
日本測地系2011(JGD2011)
日本測地系2011は日本で構築・維持されている世界測地系です。
ITRF94座標系を使用し、GRS80楕円体を地球の形として採用しています。「JGD2011」とも呼ばれます。
2001年の測量法改正により、日本測地系(旧測地系)から日本測地系2000(JGD2000)に移行し、さらに2012年の測量法改正により日本測地系2011(JGD2011)に移行しました。
WGS84
WGS84はアメリカで構築・維持されている世界測地系です。
WGS84楕円体を地球の形として採用しています。日本測地系2011とWGS84の値には現在ほとんど誤差がないため、この2つはほぼ同じと考えてよいといわれています。
広義では日本測地系2011、WGS84のいずれも世界測地系ですが、狭義では採用している楕円体における扁平率の違いなどから、この2つは異なるものとして区別されます。
国土地理院から提供されている電子国土基本図は、日本測地系2011を基準にしています。
GISで測地系を扱う
日本測地系(旧測地系)と世界測地系(日本測地系2011、WGS84)は、測地系の違いにより、座標値は400m~450m程度異なります。
また、基準点網のひずみや測量誤差を解消したため、基準点の位置は本土では最大9m、離島では数百m程度ズレるといわれています。
GISで日本測地系(旧測地系)のデータと世界測地系のデータを別レイヤとして重ねて表示する場合、単純に基準とする楕円体を変更するだけでは正確に変換できません。
両者の誤差を上手く吸収するには、地域ごとの誤差が記入されているパラメータファイル(国土地理院提供)を使って補正する必要があります。
関連情報
世界測地系、日本測地系、日本測地系2000、日本測地系2011などについて国土地理院ウェブサイトにも解説が掲載されていますので、参照されてみてはいかがでしょうか。
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<参考>
国土地理院ウェブサイト https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/datum-main.html#p7