こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
近年スマートフォンやカーナビ、地図アプリの普及によって位置情報が身近になりました。しかし、位置情報はどうやって決まっているのでしょうか?
その基準となるのが「測地系」です。
本記事では「測地系とは何か?」という基本から、日本測地系と世界測地系の違い、JGD2011やWGS84など測地系の種類まで、わかりやすく解説します。
GIS導入を検討されている方へ
インフォマティクスが提供しているGIS製品SISは、国内で約37,000のお客様に利用されています。
▶SISの詳細資料を見る
目次
測地系とは
測地系とは、地球上の位置を緯度・経度・高さで表すための「基準座標系」のことです。
地球は完全な球体ではなく、やや扁平な楕円体です。位置情報を正しく表現するには、この形状や観測の起点などを定める必要があり、それが「測地系」の役割です。
GISでは、この測地系を基準として位置情報が管理されています。
測地系と座標系の違いは?
測地系は、地球の形(楕円体)と測量の基準点を定める「地理的位置の基準」です。
一方、座標系は、その測地系をもとに位置を数値(緯度・経度)で表すための「数値的な枠組み」を指します。
例)
- 測地系:JGD2011(GRS80楕円体+日本の基準点)
- 座標系:緯度35度31分52.9秒、経度139度41分40.6秒(JGD2011上の座標)
つまり、測地系があって初めて座標系が機能します。
測地系は「土台」、座標系は「その上に描かれる座標」と考えるとわかりやすいでしょう。
座標系・座標参照系・測地系の違いは?
GISで位置を正確に扱うには、以下の3つの概念を押さえておく必要があります。
- 測地系:地球をどのように数学的にモデル化するか(楕円体と原点)
- 座標系:XYZや緯度・経度の数値(軸と単位)
- 座標参照系(CRS):測地系+座標系+投影法などを組み合わせた、地球上で正確に位置を表す枠組み
測地系と位置情報の関係
私たちがスマートフォンや地図で見ている位置情報(緯度・経度)は、測地系をもとに計算された数値です。たとえば、以下のように表示されます。
ミューザ川崎セントラルタワー(インフォマティクス本社)
↓
北緯35度31分52.9秒 東経139度41分40.6秒
一見すると絶対的な位置のように思えますが、実は「どの測地系で表したか」によって、座標値が少し変わります。
測地系の種類
測地系は大きく以下の2つに分類されます。
- 日本測地系(旧測地系)
- 世界測地系(現在主流の測地系)
この違いは、使用している地球のモデル(楕円体)と、測量の起点(基準点)にあります。

日本測地系とは
日本測地系は、かつて日本国内の測量で使われていた測地系で、ベッセル楕円体を採用しています。この測地系では、天文観測によって決定された日本独自の緯度経度の原点を使い、国土を測量していました。
日本測地系は、2001年の測量法改正前まで使用されていたことから、「旧測地系」とも呼ばれています。
世界測地系とは
世界測地系は、GPSやVLBI(超長基線電波干渉法)など、人工衛星や地球観測による最新のデータに基づいた測地系です。
日本では2002年4月の改正測量法施行以降、基本測量・公共測量はすべて世界測地系に基づくことが義務化されました。
日本で使われている世界測地系の種類
現在、日本で利用されている世界測地系には、主に次の2種類があります。
日本測地系2011(JGD2011)
- 日本国内で構築・維持されている世界測地系
- ITRF94座標系を使用
- 地球の形としてGRS80楕円体を採用
- 2001年に旧測地系からJGD2000へ移行し、さらに2011年にJGD2011に移行
国土地理院が提供する地図データ(電子国土基本図など)では、日本測地系2011が基準になっています。
追記
令和7年度全国の標高改定により、測地系の名称が「日本測地系2011(JGD2011)」から「日本測地系2024(JGD2024)」に変更されました。測地系の定義に変更はなく、測量成果との名称を統一させるための変更で、基準点の水平位置成果である緯度経度や平面直角座標の数値は日本測地系2011から引き継いでいます。<出典>国土地理院「日本の測地系」
WGS84(アメリカで運用されている測地系)
- アメリカ国防総省が構築・維持
- WGS84楕円体を使用
- GPSで得られる位置情報の基準となる測地系
現在のJGD2011とWGS84の間には、ほとんど差がなく、実用上は同一とみなされることが一般的です。ただし、楕円体の扁平率などにわずかな違いがあるため、厳密には別の測地系と区別されます。

測地系の違いがもたらす影響とは
測地系が異なるデータを組み合わせると、同じ地点でも位置がずれて表示されることがあります。
たとえば、日本測地系と世界測地系のデータをそのまま重ねると、測地系の違いにより約400mの位置ずれが生じ、その結果、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 地図データとGPS位置が一致しない
- GISでレイヤーを重ねた際に位置がずれる
- 位置情報の正確性が求められる業務(測量・設計・物流など)で誤差が生じる
このような問題を防ぐため、GISで地図データを扱う際には、使用している測地系を確認し、適切に管理することが重要です。
GISで測地系を扱う
前述のとおり、日本測地系(旧測地系)と世界測地系(日本測地系2011、WGS84)は、測地系の違いにより、座標値が約400m程度異なります。
また、基準点網のひずみや測量誤差を解消したことで、基準点の位置は本土では最大9m、離島では数百m程度ずれると言われています。
GISで日本測地系(旧測地系)のデータと世界測地系のデータを別レイヤとして重ねて表示する場合、単純に基準とする楕円体を変更するだけでは正確に変換できません。
両者の誤差を上手く吸収するには、地域ごとの誤差が記入されているパラメータファイル(国土地理院提供)を使って補正する必要があります。
GISで測地系変換を扱う方法
GISの業務では、測地系の違いによる位置ずれを補正するため、データ変換や座標補正が必要になります。
GISソフト「SIS」では、日本測地系・世界測地系の変換や異なる座標系データの重ね合わせに対応しています。
▶SISの導入事例や機能をまとめた資料をご覧いただけます。
まとめ|測地系の種類・特徴
| 種類 | 呼称 | 基準楕円体 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 日本測地系 | 旧日本測地系(Tokyo Datum) | ベッセル楕円体 |
|
| 世界測地系(日本版) | JGD2000 / JGD2011(※現在は名称を「JGD2024」に変更) | GRS80楕円体 |
※名称変更のみで内容は同じ |
| 世界測地系(国際) | WGS84 | WGS84楕円体 |
|
参考リンク(国土地理院)
世界測地系、日本測地系、日本測地系2000/2011/2024などについて国土地理院Webサイトにも解説が掲載されています。ぜひご参照ください。
GISで測地系・座標系データを扱うなら
GISの業務では、
- 日本測地系
- 世界測地系
- 異なる座標系
などのデータを扱うケースが多くあります。
GISソフト「SIS」では、測地系変換やデータの重ね合わせなどを簡単に行うことができます。
▶導入事例・機能一覧をまとめた資料をご用意しています。
<参考>
国土地理院ウェブサイト