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位置情報サービスの事業者団体が推進するGXの取り組み
一般社団法人LBMA Japanは2024年5月、移動における脱炭素の指標値を策定した「Location-GXガイドライン」を発表した。
参考
LBMA Japan(Location Business & Marketing Association Japan)は、カナダに本部を置くNPO法人「The LBMA」の日本支部であり、日本国内で位置情報マーケティング・サービスを推進する事業者団体として81の企業や団体が加盟している(2024年6月時点)。
入会にあたり特別な資格や制限は不要で、位置情報データを活用した事業や研究開発を行っている企業だけでなく、位置情報データを活用したサービスの情報収集を目的とした会員など、さまざまな会員が在籍している。
具体的には以下のような活動を行っている。
- スマートフォンやタブレットから利用者の許諾を得た上で取得される「デバイスロケーションデータ」の運用・利活用に関する事業者共通ガイドラインの作成
- カンファレンス・イベントの開催
- 位置情報データを活用したマーケティング・サービスの現状を可視化したカオスマップの作成
- 会員間の意見交換会の開催 など
Location-GXガイドライン策定の目的
今回発表したLocation-GXガイドラインは、LBMA Japanの加盟会員のうち7社が集まり有識者委員会を組織して立案・作成した。ガイドライン作成にあたっては、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の協力を得て行われた。
Location-GXガイドラインは脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動「デコ活」の考えに基づき発案されたもので、位置情報データを活用して人々の移動に伴う炭素排出量を可視化することにより脱炭素を意識した行動変容を促し、移動に伴う炭素発生を低減することを目的としている。
LBMA Japanが2024年5月に開催したイベント「ロケーションビジネス&マーケティングEXPO 2024」ではLBMA Japan代表理事の川島邦之氏が講演し、Location-GXガイドライン作成に至る経緯を語った。
川島代表によると、脱炭素の手法が明確に決まっていない状況の中、LBMA Japanは業界団体として位置情報データを活用してどのように脱炭素に貢献できるかを考える必要があるとして、今回のガイドライン発表に至ったとしている。
「サステナブルな地球を守るというのは、はっきり言えば“きれいごと”ですが、それを継続的に実施するためにはビジネス化が必要です。私たちは脱炭素の取り組みをより浸透させるために、多くの事業者がこの取り組みをビジネス化することを推進します」(川島代表)
Location-GXガイドラインの概要
Location-GXガイドラインでは、移動における炭素排出量を可視化・統一化することで人々の行動変容を促す施策を企業が展開できるよう、炭素排出量算出のロジックや方法を定義している。
同ガイドラインでは、位置情報や移動時間、交通経路を組み合わせ交通手段を明らかにして、その移動にCO2量をかけ合わせることで排出量の算出方法を定義している。
さらに、自家用車や鉄道など異なる移動手段について1kmごとの炭素排出量を元値として定義し、元値を毎年更新して各サービスやビジネスで算出した施策実施前のデータ(ベースライン)と実施後のデータを比較することで、削減値(変容値)を「ロケーションGXポイント(L-GXポイント)」として定義している。
L-GXポイントの算出において各事業者が異なる基準で計測し算出するのでは「通貨」として社会的信用を得ることは難しいため、共通の尺度で算出する計測方法や基準、概念の統一を図る必要がある。そのためにも本ガイドラインが必要だとしている。
移動手段ごとに元値を定義
(画像提供:LBMA Japan)
施策の成果を共通基準に基づいて算出
(画像提供:LBMA Japan)
今後の方針
LBMA Japanは今後、L-GXポイントをエンドユーザーに還元したり、会社の業績としてCO2削減のオフセット値にしたりする仕組みを国に認めてもらう働きかけを行い、既存のJ-クレジットと同等にカーボンニュートラル値として認められることを目指す方針である。
さらに、将来的にはオフセット値を必要とする他企業に対してL-GXポイントをクレジットとして販売できるスキームの構築も目指している。
同団体はガイドライン履行を監査する認証制度の構築も予定している。これは各事業者が実際にガイドラインの定義方法に基づいた運用を行っているかを監査して認定する制度で、2025年に開始する予定だ。
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<参考>LBMA Japanウェブサイト、環境省ウェブサイト、デコ活ウェブサイト