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関数電卓入門 その2|関数電卓で2¹⁰⁰を計算してみよう

関数電卓CASIO fx-JP900

前々回「0乗はなぜ1? 後編|その理由を解説」では、「2の冪」の物語を4つ紹介しました。その中に出てきた2の冪の計算は次のようなものでした。

  • 曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)と米粒 2¹⁰⁰
  • 将棋盤と小麦 2⁶³
  • ドラえもんの道具「バイバイン」とくりまんじゅう 2²⁷
  • コピー用紙と月までの距離の問題 2⁴³

これらのべき乗の計算を関数電卓を使ってやってみましょう。スマホの電卓アプリには関数電卓の機能も付いているので、それでもOKです。

xyキーを使ってみる

関数電卓でべき乗の計算をするには「xy(^)」キーを使います。2の3乗であれば、「2」「xy」「3」「=」の順序で入力します。最近の関数電卓は数学自然表示機能により、2の3乗は2³、「xy」キーを入力すると□のように表示されます。

関数電卓CASIO fx-JP900

2²⁷、2⁴³、2⁶³、2¹⁰⁰を手元にある関数電卓・アプリで計算してみました。機種ごとに出力が異なります

2²⁷ = 134217728
2⁴³ = 8796093022208 または 8.796093022e12
2⁶³ = 9223372036854775808 または 9.223372037e18
2¹⁰⁰ = 1267650600228229401496703205376 または 1.2676506×10³⁰

fx-JP900による2¹⁰⁰の計算結果

iOS電卓アプリによる2¹⁰⁰の計算結果

アンドロイドOS電卓アプリによる2¹⁰⁰の計算結果

アンドロイドOS電卓アプリによる2¹⁰⁰の計算結果

科学的表記法

関数電卓(アプリ)ごとに計算結果のケタ数が違います。計算結果のe30(またはe+30、E30など)は「×1030」のことを表します。科学の世界では数値を1.23×10³のように表す。これを科学的表記法と呼びます。
2¹⁰⁰=1267650600228229401496703205376
を科学的表記法では1.2676506×10³⁰と表します。

科学的表記法では数値を「m×10n」という形で表します。mを仮数(1≦|m|<10)と呼びます。n(整数)は指数(exponential)です。e30のeはexponentialの頭文字です。仮数mの桁数が有効数字の桁数を表します。科学や工学分野では、誤差・精度に関わる有効数字の桁数が問題になるので科学的表記法が用いられます。

関数電卓(アプリ)では、科学的表記法および有効数字の桁数を設定で変更できるものもあります。

fx-JP900 [SHIFT][SETUP]により有効数字の桁数が設定できる

指数≒桁数

1000=1×10³、12345=1.2345×10⁴といった簡単な例から指数に1を足した数がその数のケタ数になることがわかります。科学的表記法の利点は数値の大きさが指数で簡単に把握できる点にあります。

fx-JP900 科学的表記法SCI、有効数字を5桁に設定

したがって、
2⁴³ = 8796093022208 または 8.796093022e12 → 12+1=13桁
2⁶³ = 9.223372037e18 → 18+1=19桁
2¹⁰⁰ = 1.2676506×10³⁰ → 30+1=31桁
と桁数がわかります。

関数電卓で2¹⁰⁰⁰は計算できるか

2¹⁰⁰⁰がどうなるか関数電卓でたしかめてみよう。CASIO fx-JP800とiOS電卓アプリでは「エラー」「計算範囲超え」と表示されて計算できません。アンドロイドOS電卓アプリでは計算できました。
2¹⁰⁰⁰ = 1.0715086E301 → 301+1=302桁

アンドロイドOS電卓アプリによる2¹⁰⁰⁰の計算結果

実際、2¹⁰⁰⁰は302桁です。

2¹⁰⁰⁰ =10715086071862673209484250490600018105614048117055336074437503883703510511249361224931983788156958581275946729175531468251871452856923140435984577574698574803934567774824230985421074605062371141877954182153046474983581941267398767559165543946077062914571196477686542167660429831652624386837205668069376

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桜井進(さくらいすすむ)様

1968年山形県生まれ。 サイエンスナビゲーター®。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。 (略歴) 東京工業大学理学部数学科卒、同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。 東京理科大学大学院非常勤講師。 理数教育研究所Rimse「算数・数学の自由研究」中央審査委員。 高校数学教科書「数学活用」(啓林館)著者。 公益財団法人 中央教育研究所 理事。 国土地理院研究評価委員会委員。 2000年にサイエンスナビゲーターを名乗り、数学の驚きと感動を伝える講演活動をスタート。東京工業大学世界文明センターフェローを経て現在に至る。 子どもから大人までを対象とした講演会は年間70回以上。 全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など様々なメディアに出演。 著書に『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。 サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。

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