地図表示機能や測位機能を搭載したさまざまなデバイスの概要や現状について紹介するこの連載、今回は「GPSゴルフナビゲーション(GPSゴルフナビ)」と呼ばれるゴルフ用端末について紹介する。
目次
GPSゴルフナビの主要機能
レーザー距離計やGPSゴルフナビなどのゴルフ用距離測定器は、2000年代半ばにロイヤル・アンド・エンシェント・クラブ(R&A)および米国ゴルフ協会(USGA)がルールを変更し、アマチュアゴルファーの距離計測器の使用を認可したことをきっかけに普及し始めた。
現在地からグリーンやピンまでの距離を正確に測定できるメリットは大きな魅力であり、これまで多くのゴルファーに指示されてきた。
単体のGPSゴルフナビは大きく分けて、片手で持ち運べるハンディタイプと腕時計タイプに分かれる。また、数は少ないが音声で案内する小型タイプも存在する。
多くのゴルフナビは、現在地とグリーンまでの距離表示や、コースマップの表示機能を搭載しており、バンカーや池、木のハザードまでの距離や、グリーン形状の表示機能、高低差測定機能を搭載している機種もある。
このほか、ショット位置を登録することでボール位置との距離を測って飛距離を算出したり、ショットカウントを記録したりする機能など、ゴルフを楽しむためのさまざまな機能を搭載している。
ゴルフに特化した機器だけに、プレー中にすばやく操作できるようにシンプルな操作性を実現しているのも特徴だ。
距離の判断を迅速に行えるため、うまく使いこなせばプレーの効率化に大きく役立てることができる。
ゴルフナビアプリも登場
一方、近年ではスマートフォン用のゴルフナビアプリを使うユーザーも増えており、1コースごとに課金するアプリもある。
また、カシオ計算機の「PRO TREK Smart」のようにゴルフ用アプリを用意しているスマートウォッチも登場しているほか、Apple Watchに対応したiOS用ゴルフナビアプリも登場しており、Apple Watchの画面上でコースマップを表示できるものもある。
単体のゴルフナビを提供する企業としては、株式会社MASAや株式会社ユピテル、テクタイト株式会社、ガーミンジャパン株式会社が挙げられる。
中でも注目されるのは、準天頂衛星「みちびき」の高精度測位にいち早く対応した、株式会社MASAの「ザ・ゴルフウォッチプレミアムII」だ。
ザ・ゴルフウォッチプレミアムII
画像提供:株式会社MASA
コース図を表示可能
画像提供:株式会社MASA
みちびき対応で誤差1~2mの高精度化を実現
みちびきには、誤差1m程度を実現するサブメーター級測位サービスと、誤差数センチを実現するセンチメーター級測位サービスの2種類があるが、「ザ・ゴルフウォッチプレミアムII」はサブメーター級測位サービスを実現するみちびきの「L1S」という信号に対応している。
一般的に、GNSSによる1周波の衛星測位では誤差は10m程度と言われているのに対して、サブメーター級測位補強サービスでは、基準局が生成した補強情報をみちびきから配信することにより、誤差約1~2mと大幅な高精度化を実現している。
同社は11月1日にみちびきのサービスが正式にスタートすると同時にL1Sに対応した製品を発売し、すでに購入したユーザーに対してもファームウェアのアップデートサービスを提供している。
また、上位機種の「ザ・ゴルフウォッチA1」のユーザーに対しては、L1S対応のためハードウェアのアップグレードサービスも予定している。
ザ・ゴルフウォッチA1
画像提供:株式会社MASA
正確な距離情報を知ることがスコアメイキングを大きく左右するゴルファーにとって、精度が10m以上から1~2mに向上したことは重要なことであり、MASAは今後発売するゴルフウォッチについては、すべてL1S対応にしていく予定だという。
現在、L1Sに対応したスマートフォンが発売されていない状況の中、いち早くL1Sに対応した「ザ・ゴルフウォッチプレミアムII」は、GPSゴルフナビの枠にとどまらず、L1Sのサブメーター級測位サービスに対応した世界初のコンシューマー向けウェアラブル端末という点で注目される。
※本記事に掲載の製品モデルは現在廃盤となっている場合がございます。予めご了承ください。