ジオ三昧のススメ

標準

2018年7月2日


生活やビジネスに役立つ位置情報デバイス
第2回:GPSウォッチ

地図表示機能や測位機能を搭載したさまざまなデバイスの概要や現状について紹介するこの連載、第2回となる今回は、GPSを搭載した腕時計、いわゆる「GPSウォッチ」と呼ばれるデバイスについて紹介する。

 衛星測位機能を搭載した腕時計が普及し始めるのは2000年代の半ばで、日本では2004年に初のGPSランニングウォッチとして、GARMINの「ForeAthlete 201」が発売された。この製品は小型のGPSハンディナビにバンドを着けたような形で、一般的な腕時計の形とは異なっていたが、走行中の速度や距離表示、GPSログの保存・表示、目的値までの方向・距離表示など、衛星測位を活用したさまざまな機能を搭載していた。20180629_1

2004年発売の「ForeAthlete 201」

画像提供:ガーミンジャパン株式会社

 ランナー向けのスポーツウォッチは、GPSウォッチが登場する以前から存在していたが、それらは主に総走行時間やラップタイム計測を行うためのものだった。中には歩数をもとに大まかな走行距離を計測できるスポーツウォッチも存在したが、当然ながら衛星測位に比べると距離測定の精度は低かった。GPSウォッチが登場したことにより、ランナーは正確な走行速度や距離をリアルタイムに確認することが可能となった。

 実際にGPSウォッチを身に付けて走ってみるとよくわかるが、自分の移動ペースをリアルタイムに把握できるというのは、走ることへのモチベーション向上に大きく役立つ。GPSウォッチには、設定した速度を下回ると警告を出す機能や、仮想のトレーナーを画面に表示させて競争する機能など、GPS非搭載のウォッチには無いさまざまな機能を搭載している。

 また、リアルタイムに走行速度を測定できることを利用して、ランニング中に信号などで止まったときに自動的に計測を中断し、走り始めると再び自動的に計測を開始するという便利な機能も搭載している。移動軌跡を保存することも可能で、使用後にログデータをPCやスマートフォンに転送し、ランニングルートや登山ルートを振り返ることができる。

 GPSは消費電力が大きいため、バッテリーを大きくする必要があり、GPS非搭載のウォッチと比べると、どうしても大きく重くなりがちだが、近年では40gを切る軽量なモデルも登場している。20180629_2

重さが40gを切るGARMINの「ForeAthlete 10J」

画像提供:ガーミンジャパン株式会社

 このように、登場以来、GPSウォッチは多機能化・小型軽量化を目指して進化を続けてきたが、その一方で、現在はスマートフォンのようにアプリをインストールしてさまざまな機能を追加できる「スマートウォッチ」も普及しつつあり、このスマートウォッチにもGPSを搭載したものが増えている。

 スマートウォッチが普及し始めたのは、その代表的な製品である「Apple Watch」が発売された2015年頃だが、Apple Watchの初代モデルにはGPSは搭載されていなかった。その後、2016年9月にGPSを搭載した「Apple Watch Series 2」が発売され、ウォッチ単体でGPSログを記録できるようになった。一方、GPSを搭載したAndroid Wear搭載スマートウォッチも増えていった。

 スマートウォッチはスマートフォンと連携させて使うことを想定したものが多く、とくに地図表示についてはスマートフォン経由で地図データを読み込むものが多かったが、2017年には地図データをローカルストレージに内蔵したスマートウォッチ「PRO TREK Smart WSD-F20」がカシオ計算機から発売された。この製品は、時計と一緒にスマートフォンを持ち歩かなくても地図を表示させることが可能で、さまざまなデザインの地図や衛星写真の上で自分の現在地を確認できる。20180629_3

カシオの「PRO TREK Smart WSD-F20」

画像提供:カシオ計算機株式会社

 なお、カシオの「WSD-F20」と同時期に、ガーミンもローカルストレージに地図データを内蔵した多機能GPSウォッチ「fenix 5X Sapphire」という製品を発売している。この製品はディスプレイ上に地図を表示するだけでなく、登山道のルート探索・案内も行える。2018年6月には、後継機の「fenix 5X Plus Sapphire」も発売されたばかりだ。20180629_4

fenix 5X Plus Sapphire

画像提供:ガーミンジャパン株式会社

 現在のGPSウォッチは、ランニング用やトライアスロン用、活動量計の機能を兼ね備えたアクティビティトラッカー、気圧計やコンパス機能を搭載したアウトドア用、ダイビング用、ゴルフ用、パイロット用のアビエーションウォッチ、スマートウォッチと、さまざまな用途に細分化している。

 スポーツを楽しんでいる最中やアウトドアで遊んでいるときは、わざわざスマートフォンを取り出して操作する余裕がない場合が多く、タフな環境下でもGPSの位置情報を活用してさまざまな情報を得たり、記録したりする必要がある場合にGPSウォッチはとても便利だ。最近ではデザインにこだわったものや、バンドを状況に合わせて簡単に取り外しできるものも増えてきており、スポーツやアウトドア以外のときでも違和感なく身に付けていられる。

 いつでもどんな場面でも常に自分の位置情報を知ることができるウェアラブルデバイスとして、GPSウォッチが今後どのように進化していくのか注目される。


関連記事
・ジオ三昧のススメ 生活やビジネスに役立つ位置情報デバイス 第1回:ハンディナビ


執筆者ご紹介  片岡義明(かたおかよしあき)様
フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。