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国土交通省が推進するxROADの取り組み
国土交通省は5月12日、道路に関する各種データを集約・提供するウェブサイト「道路データプラットフォーム」を公開した。
同省はデジタル道路地図を基盤とし、橋梁や構造物の諸元データ、点検結果、BIM/CIMデータ、リアルタイムデータなどを統合するデータ基盤「xROAD」の構築を進めている。その一環として、2024年にはxROADを支える情報基盤のうち、道路施設情報の管理・提供を担う「全国道路施設点検データベース」などが公開された。
今回公開された道路データプラットフォームは、xROADの構成要素として、道路に関する基礎データを一元的に集約し、広く提供することを目的としたウェブサイトである。各道路管理者のニーズに応じて、さまざまなデータの作成・活用が可能なツールとして構築されている。
国土交通省は、本プラットフォームの提供により、道路関連データの利活用を通じた業務の効率化・高度化を推進するとともに、データのオープン化を通じて民間での活用およびオープンイノベーションの促進を図る方針である。
道路データプラットフォームの概要
道路データプラットフォームは、以下の2つの機能で構成される。
ポータルサイト
道路関連情報の利用にあたって入口となるカタログサイトであり、各種データの概要、閲覧可能なリンク、連携APIの仕様書やマニュアルなどを確認することができる。また、「一般交通量調査結果WEBマップ」など、可視化ツールの紹介も行っている。
ポータルサイト
(出典:https://www.xroad.mlit.go.jp/)
道路データビューア
各種データを一元的に表示し、地図上で可視化できるウェブマップである。交通量データやETC2.0による平均旅行速度データなどを地理院地図上に重ねて表示することが可能である。
最新データを迅速に確認できる「簡易検索モード」と、各種データを詳細に検索できる「通常検索モード」の2つのモードが用意されており、以下のデータを表示できる。
- 全国約2600カ所で観測される交通量データ(最速で30分前の情報をリアルタイムに公開)
- ETC2.0から収集される全国の道路約20万kmの平均旅行速度(毎月更新、最長1年分を公開)
- 都道府県ごとのOD交通量(ある地点から別の地点へ移動する交通量)
- 道路属性データ
- 日本デジタル道路地図協会の道路地図データベース「DRM-DB」
- 日本みち研究所の全国道路施設点検データベース
道路データビューア
(出典:https://view.xroad.mlit.go.jp/)
交通量データのAPIを公開
国土交通省は5月12日、全国の直轄国道で機械観測された方向別交通量を取得できる交通量データのAPI(Application Programming Interface)も公開した。
公開されたAPIは以下の2種類である。
- 常設型のトラフィックカウンター(通過する車両や人の数を自動的に計測するシステム)
- CCTV(特定施設に設置されたクローズド回線のテレビシステム)の映像を活用したAI型トラフィックカウンター
これらの計測システムにより全国約2,600カ所の地点で観測された直轄国道の方向別交通量データのうち、一定の精度が確認されたデータが無償で提供される。
提供されるデータは、交通量の数値と観測地点の位置情報を組み合わせたものであり、以下の2種類が用意されている。
- 5分間値(現在時刻の約20分前から過去1カ月分が対象)
- 1時間値(現在時刻の約20分前から過去3カ月分が対象)
本APIは、公益財団法人 日本道路交通情報センター(JARTIC)のウェブサイトを通じて提供されており、利用に際しては利用規約への同意が必要である。
道路データプラットフォームと交通量データAPIの活用事例
xROADで道路データの利用環境が整備されることで、道路関係の自治体職員や民間企業におけるデータリテラシーの向上が期待され、GISソフトやWebマップでの活用促進にもつながる。これにより、道路の調査・整備・維持管理・防災といった多様な分野で道路データの活用がさらに進むと考えられる。
また、交通量データAPIの無償公開についても、都市計画や道路維持管理、商圏分析など、さまざまな分野での活用が想定される。
国土交通省は今後も道路データプラットフォームの機能充実を図り、活用可能なデータの拡充を進めていく方針としている。道路管理者や民間事業者のニーズを反映した一層のデータ拡充に期待したい。
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<参考>国土地理院ウェブサイト