コラム 時空の旅

色が人の心理や行動に与える影響

こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。

今回は、私たちの周りに当たり前のように存在している色の世界に旅してみましょう。

色で心は動くのか

W・a・t・e・r

流水を手に受けながら、サリバン先生が掌に書き続けた文字「water」との関係に気づき、ヘレンケラーが自分のいる空間にあるモノの存在と、それらすべてに名前があることを知る瞬間。

この時を境にヘレンケラーは「自分以外の存在」への興味と関心を持ち、外への知識欲が開かれ、たぐいまれな理解力と才能であらゆる情報を吸収していきます。

私も幼いころ伝記を読み、ヘレンケラーが見えないもの聞こえないものをどうやってイメージしていったのか興味津々だったと同時に、サリバン先生の地道な努力と愛情に感動しました。

ヘレンケラーのように幼少期に視力を失った人に色をどうやって説明するのでしょうか?

形や硬さ、重さは説明したり、体感(触ったり持ったり)したりすることで定義・共有できる。でも色はどうやって説明するんだろうとずっと疑問に思っていました。

夕焼けを見て「きれいな茜色!」と言いながら、自分が見えている「赤色」は、人が見えている「赤色」と同じ色なのかなと考えることもありました。

大人になった今は、それぞれが「赤色だ」と思うものを持ち寄って波長分析すれば、同じものであると証明できると理解しています。

色の違いは波長の違い

色の違いとは「波長」の違いです。波長が違うということは、周りに及ぼす影響も違うのです。

私たちは、空間に存在する色の違い(波長の違い)によって、知らないうちに心身に影響を受けています。

色を見ることで血圧が上がったり下がったり。気持ちが高揚したり落ち着いたり。このメカニズムは色彩心理学などの分野で科学的に解明されつつあります。

赤や青の単なるイメージからくるものではなく、赤色の波長は610~780nmと長く、青色の波長は430~460nmという物理的な違いから、それぞれが人間の自律神経に働きかける作用も異なるのかもしれません。

たとえば、赤は興奮や覚醒を呼び起こすといわれています。闘牛士が赤い布を振っているのは、牛ではなく闘牛士自身の気持ちを高め、鼓舞しているのかもしれません。

ビジネスの世界でも赤は販売色カラーと呼ばれており、客先プレゼンなどある日には赤いものを身に着けると気分が上がってよいかもしれません。

青は緊張や興奮を沈静化するといわれています。街路灯を青色LEDにしたら町の犯罪が減ったという報告もあります。

色には人間の目に見える色(可視光線)と見えない色(紫外線、赤外線)があります。紫外線や赤外線は見えなくても、実際に様々な影響を与えています。

人間は色を外部から受け取るだけでなく、自ら発している色もあるといわれています。

人が発するオーラ。これには色があるそうです。その人がいるだけで明るくなるとか、緊張感が増すなどというのは単なる思い込みや雰囲気だけでなく、その人が発するオーラの色のせいかもしれません。

認知するしないにかかわらず、色によって人間の心身に変化が起こり、その場の雰囲気が変わってくるというのは非常に興味深いことです。

イタリアの大理石は天然着色

イタリアのウンブリア州にあるアッシジは平和の町と呼ばれ、住民も観光客も平和な気分に浸ることができます。その理由は建物の色にあります。

アッシジで採取される大理石はピンク色なので、ほとんどの建物が薄いピンク色をしています。そのため町全体が柔らかく優しい雰囲気を醸し出しているのです。

こんな色に囲まれて過ごす人々は、自然に心穏やかで平和を愛する気持ちになるのでしょう。

アッシジの街外観

アッシジの街外観

アッシジにあるサンタ・キアラ聖堂アッシジにあるサンタ・キアラ聖堂

一方、トスカーナ州フィレンツェで採れる大理石は緑色。緑は精神の安定とともに元気を与えてくれる色です。

商人の町にふさわしく活気のある雰囲気を醸し出しています。

フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)

上の写真はフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオーモ)です。

緑色に見える箇所は着色したものではなく、天然の大理石の色。ピンク色はウンブリア州産の大理石だそうです。

おわりに

色。

当たり前のように身の回りに存在するので普段その意味を深く考えないものですが、色にはそれぞれ意味があり効果もあなどれません。

毎朝手に取る洋服の色にもその時々のシチュエーションや心理状態が表れています。

気分が晴れない時はあえて明るい色の服を着たり、キレイな色のグッズをそばに置いてみる。そんな風にメンタルコントロールの手段として色をうまく活用してみてはいかがでしょう。

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空間情報クラブ編集部

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