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私が出会った風景 7|三原会長の自叙伝コラム

ふたたび番外編 ~1983/6-1983/9~

1983年6月から9月の間の3か月間、ケンブリッジ(UK)に滞在しました。

日本では、GDS(建築CADシステム)のユーザーをいくつか獲得し、製品へのリクエストが多数寄せられるようになっていました。その取次ぎを兼ねて、ケンブリッジにあった開発会社へ派遣されたわけです。

午前中は語学学校に通い、午後はオフィスで翻訳をしたり、ワープロを使って日本語入力を行えるようCADシステムのコマンドを改良するプログラミングをしていました。

英国の夏は日が長く、夕食後も明るく、広々した公園を散歩しながらパブに立ち寄りお酒を飲むのが日課でした。

そんな時期に使っていたノートを、最近発見しました。

3日坊主で3編ほどしか書き込みがありませんでしたが、ケンブリッジの様子を描写した拙文を紹介します。

当時、お酒をたしなんでいた独身最後の年。1983年8月7日、29歳の青年が書いた文章です。

『Pubの夜 in Cambridge』

今晩もまた一人でとぼとぼPubに向かって歩いていく。

芝生だけの広い公園、周りには大きな木、そんな草の匂いのする中をまっすぐ歩いていく。

晴れた日の夕暮れは、木立の向こうになかなか沈まない朱の太陽がある。

曇った夜には反対側に大きな月が見え隠れする。

Pubには、何か楽しそうに談笑する土地の人たちの一団と、芝生を占領するイタリヤ人やスペイン人の若者の一団がある。

私は、LagerかWhiskyを手にして、Cam川の川渕に腰を下ろす。

決してきれいとは言えない川の水に、大きな木とボートハウスが映っている。濃い緑色の水の上に暗い木と暗い家が映り暗い黒のコントラストを作り出す。

白い壁だけが随分際立って見える。日が暮れても中々そのコントラストは崩れず、静かに2つの景色を見せてくれる。

その中を濃い茶色のダックが泳いでいく。ダックの弱々しい泳ぎでは、水の景色はあまり変わらない。

リズミカルな掛け声とともに、一艘(そう)のボートが目の前を通り過ぎる。水の景色はかき消され、水面は揺れる。小さく小刻みに揺れる水面に吸い込まれそうな錯覚に陥る。

酔いがまわる。

やがて、元の静かな鈍い2つの景色が戻ってくる。

水面に物を投げてみると、ダックは餌と思ったのか集まってくる。Whiskyロックのアイスを投げ込むと、スーとアイスめがけて泳いでくる。スー、スー。

たいていのダックは2羽で一緒にいる場合が多い。子供のダックがとてもかわいい。2羽4羽と親の後を先に行ったり横道をそれたりしながら泳いでいく。

外気を吸い込みながら、黒い川辺で飲むお酒は様々な想いを呼び起こす。空想を膨らませながら思考を失う酔いの世界へ入り込んでいく。

Pubの中には、たくさんのBitterジョッキと、話声、笑いが渦巻いている。

ケンブリッジの名前の由来になったCam川(ケム川)についてはこちらに技術スタッフのブログがあります。

初夏の英国滞在記

(posted by Shoichi Mihara)

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空間情報クラブ編集部

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