「地図の中に描かれた地図」と聞いても何のことだかわからないと思うが、何気なく地図を見ていると、もう一つの地図に巡り合うことがある。
池や島など、日本列島をかたどった地物が存在するのだ。今回はそんな地図の中に描かれた地図を探してみたい。
目次
飛行機から眺める日本列島
「地図 in 地図」の中でも比較的有名なのが、大阪国際空港(伊丹空港)の近くにある伊丹市の「昆陽池」(こやいけ)だ。
池の中に日本列島をかたどった島が造られており、空港を離着陸する飛行機から見ることができる。
伊丹市の昆陽池に浮かぶ日本列島(今昔マップon the webより)
この公園は1972年に整備され、その時に日本列島も造成されたらしい。
それなりの面積があり、地上からは日本列島の形はほぼわからないという。大阪国際空港から飛行機を利用する時が全貌を目にする数少ないチャンスだろう。機会があったらぜひ見ていただきたい。
その名も「日本列島公園」
愛知県豊川市にはその名のとおり「日本列島公園」がある。
三河港の埋め立て地に整備された三河臨海緑地の一角で、日本列島の形をそのまま庭園風に作り上げたものだ、と言われて地図を見てみたが…う~ん。
豊川市の日本列島公園(地理院地図より)
地形図で見ても日本列島というには苦しい(地理院地図より)
申し訳ないが、正直「どこが?」という印象しかない。
この公園は日本列島をかたどったわけではなく、園内に各都道府県の有名なものや歌碑、花が配置されているとのこと。
実際に現地に行けば印象が変わるのかもしれないが、「地図派」には少々インパクトに欠ける。
ちなみにこの公園は、大ヒットアニメ映画『君の名は。』(新海誠監督)に登場しているそうだ。
北海道にある日本列島
北海道にも日本列島がある。
岩見沢市にあるレジャー施設「北海道グリーンランド」の園内の池の中に日本列島をかたどった島がつくられている。
日本列島を跨ぐ形でサイクルモノレールが設置されているので、ぜひともここから日本列島を見下ろしてみたい。
航空写真に写る岩見沢グリーンランドの池(地理院地図より)
地形図にもあるが、注記がかぶさっている…(地理院地図より)
川の流れの中にひっそりたたずむ日本列島
兵庫県加東市を流れる東条川の河川敷にも日本列島の形があった。
ちょっとわかりにくいが、自然な中洲ではなく人工的に造られたものだ。
東条川で見られる日本列島の形の中洲(地理院地図より)
堤外地なので豪雨の時に大丈夫なのかなという心配もあるが、とりあえず航空写真には写っていた。
ただし残念ながら地形図には描かれていない。
地形図には描かれていない(地理院地図より)
中洲と確認できなかったのか、それとも作成時には埋もれていたのか、更新の際にでも追加して欲しいところではある。
ちなみにこの場所からそう遠くない西脇市には「日本へそ公園」なる施設がある。
西脇市が東経135度と北緯35度が交差する「日本のへそ」であることにちなんだものだが、日本列島をかたどったモニュメントなどが存在するわけではなさそう。
日本列島をアートする
岐阜県養老町にある「養老天命反転地」にも日本列島がある。
ここは公園という位置づけながら、回遊し体験することで作品を鑑賞するモダンアートであり、施設そのものが作品なのだという。
日本列島は施設内の『楕円形のフィールド』と呼ばれる屋外展示にある。日本地図ではなく、日本列島をモチーフとした作品ということになる。
養老天命反転地の航空写真。日本列島の形が垣間見える(地理院地図より)
地形図には描かれていない(地理院地図より)
航空写真にはその形が写っているものの、地形図には描かれていない。地物ではなく、あくまでも作品ということなのだろう。
北海道の中にある北海道
日本列島とは言わないまでも、広大な北海道には北海道の形をした地物がいくつかある。
帯広市の郊外には北海道の形をした池がある。言われなければ気づかないが、確かに北海道の形だ。
北海道に描かれた北海道(地理院地図より)
地図にも描かれている(地理院地図より)
これは人工的につくられた池で、「帯広リバーサイドゴルフ場」の中にある。いわゆるゴルフ場の池だ。
ゴルフではよく「池ポチャ」があるが、同じ池ポチャするなら「北海道の池」に打ち込んでウケを狙いたい。
※調べたところ、帯広リバーサイドゴルフ場は2016年に破産し閉鎖された模様。この池も現在は残っていないという。残念だ。
同じく北海道の日高町の沙流川のほとりに位置する「富川さるがわせせらぎ公園」にも北海道の形を見ることができる。
形的にはかなり精度が高い印象だ。
さるがわせせらぎ公園にある北海道の形をした島(地理院地図より)
地形図には庭園路も含めて表現されている(地理院地図より)
ここで紹介した「地図 in 地図」は、あくまでもごく一部である。
ひょっとするとどこかにもっと斬新な事例があるかもしれないので、ぜひ皆さまにも探してみていただきたい。
<参考>
国土地理院ウェブサイト
今昔マップon the web