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sin31°の算出方法がわかった!?
高校2年生のとき、ある数学の問題の解法を探していることがきっかけで「マクローリン展開」に出会うことになりました。
この数式との出会いは衝撃的かつ大きな影響を与えるものでした。
まずは結論を急ぎましょう。この数式を用いることで懸案であったsin31°の数値を計算してみます。
マクローリン展開の式の特徴は多項式であることです。つまり、マクローリン展開を使うと、一般の関数を多項式で近似することができます。
xのべき乗を階乗(!)で割った値を数項たし算(ひき算)すればいいので、すべての計算は四則で可能です。
はたして、マクローリン展開はsin31°を0.515039とはじきだします。電卓の表示「0.515038074」と小数点以下5桁が合っているではありませんか。
この結果により、私は「電卓の中にプログラミングされているのはマクローリン展開ではないか」と考えました。
弧度法
三角関数のマクローリン展開の数式を用いる際には準備が必要です。
角度を「°」から「rad(ラジアン)」に変換する計算 ── 弧度法です。xに31°を代入することはできないのです。
なぜわざわざ角の開き具合である角度を「°」ではなく「rad」とする必要があるのでしょうか?
1°は1周を360分割した量、すなわち360°が1回転を表すように定義された量です。360という数値の起源は、1年=365日、すなわち地球の太陽の周りを回転する公転周期です。
1次関数y=xや2次関数y=x2のxとはどのような量なのかを考えることから始めてみます。
明らかにx軸上原点からの「長さ」「距離」を表しています。角度という量もこのx2のxと同じように長さで表すことを考えるのです。
グラフで考えてみるならば、1次関数y=xや2次関数y=x2が描かれたところに、xを「°」にしたままで三角関数y=sin xのグラフを描くことができません。
xが「長さ」「距離」を表していないからです。三角関数y=sin xのxを「長さ」「距離」として扱えるようにします。角の大きさの測り方を分度器から定規にすればいいのです。
いま、わかりやすく半径を1[m]と長さの単位をつけて表しておきます。1周の長さは直径×円周率=2π[m]なので、次の関係がわかります。
1周:360° ↔ 2π[m]
同様にして次のような計算もできます。
半周:180° ↔ π[m]
4分の1周:90° ↔ π/2 [m]
これから、360°の代わりに2π、180°の代わりにπ、90°の代わりにπ/2を用いることできます。
このような、角の大きさを単位円(半径1の円)の弧の長さに置き換えるという考え方を「弧度法」、角の単位を[rad]と呼びます。
したがって次のような関係になります。
360° ↔ 2π[rad]
180° ↔ π[rad]
90° ↔ π/2 [rad]
三角比が三角関数へ変身
この弧度法のおかげで、三角比は晴れて三角関数へと変身します。その最大の恩恵こそ微分法が適応されることです。
マクローリン展開は与えられた関数を微分することで得られます。
31°をradに変換してみましょう。
2π[rad]=360°の関係から、1[rad]=(360/2π)°=約57.3° または、1°=(2π/360)[rad]= 0.01745328…[rad]とわかります。
したがって、次のように計算されます。
31°=0.01745328…× 31[rad]≒0.541052[rad]
この値をマクローリン展開の式のxに代入して、sin31°が計算できます。