GISソフト「SIS」活用講座

GISソフト「SIS」9 のご紹介|Part10 プロセス編

今回はSIS 9の「プロセス」を中心に、解析やデータ作成に役立つSIS 9の様々な機能、活用方法についてご紹介します。

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プロセスとは

SIS 8.0で追加されたプロセスは、SIS活用講座でも何度かご紹介しています。SIS 9ではプロセス操作が約130個追加され、大きく機能強化されました。

プロセスは、複数の操作をまとめて一度に行える機能ですが、プロセスでのみ実行できる操作もたくさんあります。

重複部分の抽出

プロセスの「解析/オーバーレイ(交差)」操作を使用すると、重複した部分を抽出できます。

例えば、東京都品川区の避難所の位置データを元に勢力圏の面積比較などの分析を行うときには、ティーセン分割(ボロノイ分割)したポリゴンを作成します。

ティーセン(ボロノイ)分割
各ポイント(母点)の勢力圏を分析するための手法の1つです。
避難所の位置を元にティーセン分割したポリゴンを作成すると、最も近い避難所がどこなのかを分析できます。

しかしティーセン分割すると、ポリゴンの集合は長方形の領域内に作成されるため、そのままでは分析に使用できません。(図1)

図1:避難所のポイントをティーセン分割

そこで、ティーセン分割したポリゴンと品川区の形状のポリゴンに対して「オーバーレイ(交差)」の操作をすることにより、品川区の形状でティーセン分割したポリゴンを抽出できます。(図2)


図2:ティーセン分割したポリゴンを行政界で抽出

また、ティーセン分割の操作はプロセスにもあるため、「ティーセン分割」と「行政界で抽出」の操作はプロセスでまとめて実行できます。(図3)

図3:プロセス操作で一度に実行

元の図形形状を残して1つの図形にまとめる

行政界や地籍、メッシュなどのデータを、図形の形状は残したままグループ化して1つの図形として扱いたいことはありませんか?

SISでは、「ブール演算/足し算」や「ジオメトリ追加」のコマンドで複数の図形を1つの図形にまとめることができますが、境界部分が隣接していると境界部分の図形がなくなります。(図4)

図4:ブール演算コマンドで1つの図形に

そこで、SIS 9で追加された「収集」コマンドを使用すると、元の図形の形状はそのままで、1つの図形にまとめられます。(図5)

図5:収集コマンドでグループ化して1つの図形に

「収集」は、SIS Desktopで図形を選択して以下のいずれかを実行します。

  • 「作成」タブの「編集/収集」コマンド
  • 「プロセス」で「一般/収集」操作

図形の時計回り方向を合わせる

図形にオフセット(基準の位置からの距離)を指定して、作図やスタイルの設定をすることはよくあります。

例えば、行政界の内側に幅のあるスタイルを割り当てる場合、行政界の図形の「ペン」のスタイルで幅とオフセットを指定します。(図6)

図6:幅とオフセットを設定するダイアログ

しかし、SISのポリゴンには時計/反時計回りの向きがあるため、同じオフセットの値を指定しても、内側ではなく外側に幅のあるスタイルとして表現される場合があります。(図7)

図7:行政界の境界に幅を設定

そこで、プロセスの「ジオメトリ/反時計回り」操作を使用すると、すべての図形を反時計回りの図形にできます。

すべての図形を時計回りにしたい場合は、「ジオメトリ/反時計回り」と「ジオメトリ/ジオメトリ反転」を組み合わせます。(図8)

図8:すべての図形を時計回りに変更

おわりに

プロセスは一見難しい印象があるかもしれませんが、データ作成から解析まで様々な場面で手軽に使える機能が満載ですので、ぜひお試しください。

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https://www.informatix.co.jp/sis/

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<地図データ出典>OpenStreetMap data © OpenStreetMap Contributors、国土地理院:地理院タイル、基盤地図情報

※この記事は、GIS NEXT第74号に掲載された記事を編集したものです。

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空間情報クラブ編集部

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