今月はフリービューア「SIS Map Express」(以下、Map Express)を利用して、「台風」のデータを分析する方法をご紹介します。
インフォマティクスでは、国内で約36,000のお客様に利用されているGIS(地理情報システム)製品SIS(エスアイエス)をご用意しております。
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目次
台風の位置情報を読み込んで、進路をライン化してみよう
過去の台風の位置情報は、国土交通省 気象庁のホームページで確認できます。
まずこの位置情報を表計算ソフトなどでcsv形式のデータにし、Map Expressで「View Pointデータセット」という形式で読み込みます。
さらにWKT文字列に変換し(前回の記事を参照)、「Viewジオメトリデータセット」として読み込むと、台風の進路がライン表示され、より見やすくなります。
図1は、珍しい進路で話題になった2016年台風10号などの台風を読み込んだ例です。
図1:ポイントデータの読込み → 台風の通過経路のライン化
このデータには最大風速、暴風域等の情報もあります。これらの情報を使って、台風を詳しくみてみましょう。
台風の通過日と曜日を地図上に表示してみよう
ポイントデータの「日付」の情報と、その情報を元にDateWeek関数で調べた曜日を「ラベル主題図」で地図上に表示することができます。
図2:台風の通過日と曜日を表示
テーブルウィンドウを表示して統計情報を確認してみよう
「テーブルウィンドウ」の「統計」では、最小値、最大値、平均値、各値の頻度の数などの各種統計情報を確認できます。
図3:台風10号の中心気圧の統計値の例
グラフやデータは他の資料に簡単に貼り付け可能。
(画像をクリックするとテーブルカラム統計の拡大画像が表示されます。)
台風の強さを可視化してみよう
次は「最大風速」を元に「サイズ可変シンボル主題図」を設定し、各地点での台風の強さをシンボルのサイズで表現します。
上位製品のMap Modellerでは風速5m/sごとなど、設定したレンジごとの色分けも可能です。
図4:台風の強さをシンボルの大きさと色分けで表現
県別に暴風域内に含まれた台風の回数を調べてみよう
上位製品Map Modellerで、暴風域半径の情報を利用して暴風域を作成し、2016年に暴風域内に入った回数を県別に調べてみましょう。
図5はMap Modellerの「プロセス機能」で、「重み付けバッファ」を作成し、ポイントごとの暴風域を作成しています。
図5:Map Modellerのプロセスで「重み付けバッファ」を作成
(画像をクリックするとプロパティ「距離」とその値の拡大画像が表示されます。)
作成した暴風域を合成すると、一つの台風に関する暴風域が作成されます。2016年の他の台風についても、同じ処理を行い、2016年の各台風の暴風域を作成します(図6)。
プロセス機能では、「重み付けバッファ作成」→「バッファの合成」→「スタイル設定」といった一連の処理を保存できるので、複数のオーバーレイに同じ処理をする際は、呼び出して使用することで効率よく作業できます。
上位製品Map Modellerのプロセスの保存機能は、一連の処理の繰り返し作業に便利です。
図6:2016年度の台風毎に暴風域を作成
都道府県データに空間関数CalcItemsを利用したフォーミュラを設定すると、暴風域内に入った回数を県別に集計することができます(図7)。
CalcItemsは、ポリゴン(面データ)と、指定した空間関係(含む、交差、横切るなど)にあるアイテムの統計値(合計、最大値、最小値、平均値、標準偏差、最頻値、分散など)を求めることができるので、様々なシーンで分析に利用できます。
図7:暴風域に含まれた回数をCalcItemsで集計
(画像をクリックするとフォーミュラの拡大画像が表示されます。)
おわりに
今回ご紹介した内容は、簡単な操作で気軽にお試しいただける内容なので、ぜひ詳細手順をダウンロードして実際に操作してみてください。
SIS Desktopシリーズ 製品情報
https://www.informatix.co.jp/sis/
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<地図データ出典>国土地理院 基盤地図情報、国土交通省 気象庁ホームページ
※この記事は、GIS NEXT第60号に掲載された記事を編集したものです。