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48時間先までの花粉の飛散量を予測|花粉レーダー(ウェザーニュース)

春は花粉の飛散量が気になる季節。

そんなときチェックしておきたいのが天気アプリ「ウェザーニュース」の「花粉レーダー」だ。(提供会社:株式会社ウェザーニュース)

従来36時間だった予測時間が2022年から48時間に延長され、使い勝手が向上した。今回はこの飛散量予測機能について詳しく紹介しよう。

花粉レーダーの概要

48時間先までの花粉飛散量を確認可能に

花粉レーダーは、花粉の飛散量をマップ上に表示するコンテンツだ。

花粉の飛散量は時間帯によって変化するため、症状の悪化を防ぐためにも飛散量の変化を把握することが重要になる。

花粉レーダーでは飛散量を以下の4段階に分け、250mメッシュの細かさで地図上に可視化する。

  • 少ない
  • やや多い
  • 多い
  • 非常に多い

現在の飛散量だけでなく、今後の飛散量の予測を確認することもできる。

予測時間は、昨年までは36時間先までだったが、今年から48時間先までに延長された。

1時間ごとの飛散量の推移を確認できるため、これをもとに旅行先の飛散状況を調べたり、花粉が多い時間を避けて洗濯物を干したりすることもできる。

コロナ対策で換気を行う際に、花粉の飛散量が多い時間帯を避けることにも役立つだろう。

花粉レーダー

独自のIoT花粉観測機「ポールンロボ」による自動観測

花粉レーダーで提供される飛散情報や予測情報は、ウェザーニューズが独自に開発したIoT花粉観測機「ポールンロボ」の観測結果をもとにしている。

ポールンロボはレーザー光を使って空気中に飛散している花粉の量をカウントする自動観測機で、全国の家庭や病院、企業などに約1,000台設置されており、独自の高密度な花粉観測網を構築している。

ポールンロボは直径約15cmの球体で、人の顔に見立てて目や鼻、口がかたどられており、口の部分から吸い込まれた空気の中に含まれる花粉の量を計測する。

計測した花粉の数によって目の色が5段階に変化する。通信機能内蔵で、電源さえあればWi-Fi不要なため、どこでも観測できる。

なお、ポールンロボは一般家庭の軒下にも設置されているため、設置状況の観測値のばらつきを補正した値を使用している。

花粉の観測方法には以下の2種類がある。

  • ガラス板に付着した花粉を顕微鏡で数える「ダーラム法」
  • 機械による自動観測

ダーラム法による観測はスギとヒノキの花粉を見分けられる利点があるものの、観測に多くの時間と労力がかかり、1日単位での飛散量しか把握できず、観測場所も限られてしまう。

それに対してポールンロボによる自動観測は、花粉の種類は見分けられないが、花粉の飛散状況を高頻度で観測できるメリットがある。

ウェザーニューズ社はポールンロボの自動観測により、1時間ごとの観測結果をリアルタイムに提供するとともに、250mメッシュという高解像度でのデータ提供を実現している。

ポールンロボ

ポールンロボの設置箇所

「はなこさん」の事業廃止を受けてリアルタイムの飛散量データを無料公開

ウェザーニューズは2月7日、ポールンロボで観測した全国の花粉飛散量のリアルタイムデータを無料で公開すると発表した。

データは専用サイトからCSVファイルをダウンロード可能で、API連携も可能。1時間単位の花粉飛散量のデータを、市区町村ごとに入手できる。

期間はポールンロボの観測が終了する6月頃までを予定している。

同社が無料公開に踏み切った理由は、昨年末に環境省が「環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)」の事業廃止を発表したからだという。

これまで環境省は「はなこさん」による花粉飛散データをウェブサイト上で無料公開していたが、観測終了にともないデータの公開も終了となった。

ウェザーニューズによる花粉飛散量の無料公開は、これまで「はなこさん」のデータを活用していた機関への影響を軽減するための取り組みであり、国内唯一となる広域の花粉観測網によるデータを広く活用してもらうことで花粉症の研究や対策に役立ててもらうことを目的としている。

なお、ウェザーニューズは今年の1月下旬から2月初旬にかけてポールンロボの設置者の追加募集も行っており、その観測網をより一層充実させている。

リアルタイム飛散量データのダウンロードサイト

飛散量データを可視化したイメージ

ピンポイントの予報を見られる「花粉Ch.」も用意

ウェザーニューズの予想によると、今春の花粉の飛散ピークは西日本・東日本の広範囲でスギ花粉が2月下旬~3月下旬、ヒノキ花粉が3月下旬~4月中旬となる見込みとのことで、風の強い日や雨の翌日などは花粉が大量に飛散する恐れがあるという。

同社は、ポールンロボの観測結果をもとに、1時間ごとのピンポイント花粉飛散予報や現在の花粉の飛散状況を確認できるウェブサイト「花粉Ch.」も提供。

これを見れば、任意エリアにおける花粉の飛散が多い時間帯と少ない時間帯を事前に把握することが可能となる。

花粉症に悩んでいる人は、「花粉レーダー」や「花粉Ch.」を閲覧して、こまめに飛散量をチェックしてはいかがだろうか。

花粉Ch.

リアルタイムの観測データ

■URL

※本記事で紹介したサービスに関する詳細は提供団体様あてにお問い合わせください。

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片岡義明(かたおかよしあき)様

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。

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