全国道路基盤地図等データベースの概要
国土交通省は2024年5月31日、道路に関するさまざまなデータを閲覧できるウェブサイト「全国道路基盤地図等データベース」を公開した。
同サイトは、全国の直轄国道などの道路基盤地図情報および道路台帳附図のデータを一元管理するデータベースで、地理院地図を背景地図として、道路基盤地図情報および道路台帳附図を重ね合わせて表示できる。
- 道路基盤地図情報
道路基盤地図情報とは、道路工事完成時の道路の形をもとに道路構造を表現したデータであり、車道や距離標など30種類の地物ごとにレイヤが区分されている。
- 道路台帳附図
道路台帳附図とは、道路法第28条で調製・保管が定められた道路台帳の図面のことをいう。紙媒体やCAD図面などさまざまな形で保管されている。
道路基盤地図情報については道路工事で作成された完成図の電子データが2008年から蓄積されており、道路台帳附図の電子化も同様に進んでいる。そこで、これらのデータ活用の環境整備を目的に本データベースが整備・公開されることとなった。
利用方法
使い方は、左メニューに以下のデータが並んでいるので、これらの中から表示したいものを選ぶと地図上に表示される。
■道路台帳附図(作図空間)
地図の道路上に赤線が表示され、クリックすると区間や図面の情報がポップアップで表示される。
ポップアップのリンクからPDFまたはCADファイルをダウンロードでき、PDFのリンクを選択すると道路の管理平面図が表示される。
道路台帳附図(作図空間)
■距離標
路線の起点からの距離を示す道路付属物の位置が表示される。
距離標
■道路台帳附図
地図上に線画で表示される。
道路台帳附図
■道路基盤地図情報(国道)
■道路基盤地図情報(高速)
国道と高速道路に重ねて地物別に色分けされる。
道路基盤地図情報(国道)
道路基盤地図情報(高速)
このほか、地図の上部にあるメニューから「公開リスト表示」を選択すると道路台帳附図のリストが表示されるので、ここから見たい図のPDFを指定することもできる。
道路基盤地図等の整備・公開のメリット
国土交通省は、道路基盤地図をデータベースとして整備し、ウェブサイトから広く公開する効果として以下の4点を挙げている。
- 道路詳細図面を閲覧できるようにすることで、要望・問い合わせへの対応や点検データを支援する。
- 点検データに路線番号やKP(距離標)などの道路区間情報を付与できる。
- 申請書類や工事完成図書のベースマップとして利用することで、申請者・工事受発注者による資料作成の負荷や、道路台帳附図を閲覧するための訪問・窓口負荷を軽減する。
- 工事で作成された図面が循環することで、道路基盤地図などの更新が円滑になる。
国土交通省は同サイトの公開にあたり、研究機関や民間企業による技術開発の促進、道路の維持管理の効率化・高度化などを目指していると発表している。
今後の展開
全国道路基盤地図等データベースでは、登録データの閲覧やPDFファイルのダウンロードが無料で行えるほか、道路基盤地図情報については登録も無料で行える。(道路台帳附図の登録とAPI連携は有料となっている。)
今後は国土交通データプラットフォームとの連携を可能にするとともに、道路基盤地図等を随時更新・追加していく予定で、全国道路基盤地図等データベースを活用した利便性の高い道路管理支援アプリケーションの開発も促進し、道路維持管理の効率化を図る方針だ。
同データベースに収録されている道路基盤地図情報は、全国の高速道路の約9割、直轄国道の約3割で、道路台帳附図についてはおおむね100%の直轄国道を収録しているという。(国土交通省2024年3月時点の発表より)
今後も道路基盤地図情報の収録範囲を拡大するとともに、登録済みの地図を継続的に更新することで、鮮度の高い情報の提供が期待される。
■URL
全国道路基盤地図等データベース
https://road-basemap.mlit.go.jp/JapanRoadMapWeb/
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<参考>国土交通省ウェブサイト
<画像出典>全国道路基盤地図等データベース