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マップマッチングとは? 仕組み・課題をわかりやすく解説

こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。

本記事では、ナビゲーションアプリや地図サービスで正確な位置情報を提供するために欠かせない技術「マップマッチング」についてご紹介します。

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はじめに

例えば、ナビゲーション機能を搭載したアプリケーションをGISソフトを使って作成する場合、正確な案内ルートの作成や円滑なナビゲーションを行うにはマップマッチングが必要になります。

インフォマティクスのGISソフトを例に説明していきましょう。

GISソフトの画面例

マップマッチングとは

ジオコーディングとは

マップマッチングを行うには、まず地点の座標情報を取得する必要があります。ここで利用されるのが「ジオコーディング(アドレスマッチング)」です。

ジオコーディングとは、住所や施設名などの文字情報から緯度・経度といった座標に変換する技術のことです。ナビゲーションアプリや地図サービスでは、この座標情報をもとに正確な位置を特定し、ルート案内や位置補正に活用されています。

ジオコーディングはマップマッチングの前提となる重要なステップといえます。

位置情報の取得方法

位置情報の取得には以下の方法があります。

  • GPSを用いる方法(衛星航法)
    衛星からの信号を受信して位置を特定する方法です。
  • 車速・方位・加速度などのセンサーを用いる方法(自律航法)
    車両や端末に搭載されたセンサー情報をもとに、自身の位置を計算する方法です。

マップマッチングの基本的な仕組み

これらの情報から算出した位置情報には誤差が含まれるため、実際の位置とズレが生じることがあります。

マップマッチングは、このズレを地図データに照らして補正し、最適な位置に合わせる技術です。

ナビゲーションアプリやGISシステムでは、この補正によって正確なルート案内や位置表示が可能になります。ジオコーディングで得た座標情報を基にマップマッチングを行うことで、ユーザーはより精度の高い位置情報を利用できるのです。

リアルタイムなマップマッチングの実装

例えば、図2にある水色の線を自動車で通行したときに、GPSで測位した位置情報と精度が赤いピンで示すようになったと仮定します。

それぞれの測位結果が誤差を含み、水色の線とズレていると仮定します。

自動車のGPS軌跡

目的地までのナビゲーションの最中であれば、マップマッチングをリアルタイムに行う必要があり、高い精度に加えて高速処理も求められます。

一番簡単なのは「必ず道路上に存在する」という条件のみを考慮し、最寄りの道路リンクやルート検索の結果に寄せる方法です。これであれば、簡単な空間処理だけですぐに補正できます。

自律航法によって端末がどの方向にどのくらいの速度で動いているかが分かれば、道路リンクの向きや道路の種類を考慮して寄せることで、精度をさらに向上させることができるでしょう。

マップマッチングの結果

マップマッチングの課題

実際には、自分の位置が「必ず道路上に存在する」という仮定が成り立たない場合もあります。自動車で空き地や駐車場内を走行することもありますし、下図に示すように歩行者が持ち歩く場合もあります。

そういった場合は、「必ず道路上に存在する」という条件でマップマッチングを行うと、かえって正しくない結果になるため、補正する条件や量を細かく判断しなければなりません。

歩行者のGPS軌跡

クラウド化で補正技術の利用が手軽に

様々な状況に応じた高精度のマップマッチングを実現するためのロジック設計・実装は簡単ではありません。試行錯誤や自動車の走行試験を繰り返しながら、一歩一歩性能を高めていくものだと思います。

現在のカーナビゲーションシステムでは、多くの機種で高精度のマップマッチングが行われていますが、これは各メーカーの技術とノウハウが結集されたものといえるでしょう。

インフォマティクスのマップマッチングサービスについては、こちらをご参照ください。(プレスリリース)

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