ペンタゴンとは
ペンタゴンとは正五角形のことです。
米国国防総省は建物の形状が正五角形であることから、別名「ペンタゴン」と呼ばれています。今回は正五角形に隠された秘密を解き明かしてみましょう。
角度
まずは角度。
対角線を引いた正五角形の中に現れる角度は何種類でしょうか?
最初に正五角形の内角の和を求めます。正五角形は3個の三角形に分割されるので、内角の和は180°×3=540°。よって、540°÷5=108°が正五角形の内角。
すると内側の小さい正五角形の内角の反対側の角は180°-108°=72°。1つの角度が108°の二等辺三角形に注目すると残りの等しい2つの角度は(180°-108°)÷2=36°。
また、2つの等しい72°の二等辺三角形に注目すると残りの角度は180°-72°×2=36°とわかります。
図の●1個が36°を表すとすると、●●=72°、●●●=108°で、現れる角度はこの3種類のいずれかとなります。
形状
次は形。
対角線を引いた正五角形の中には、形や大きさの違う二等辺三角形は何種類見つかるでしょうか?
角度が3種類あることから、二等辺三角形は2種類あることがわかります。108°と36°と36°、36°と72°と72°の組み合わせです。
これらの二等辺三角形の大きさの違いを考えてみると、前者が図の③④の2種類、後者が図の①②⑤の3種類あります。
ちなみに対角線を引いた正五角形の中には、正五角形、平行四辺形、等客台形(底辺でない2辺の長さの等しい台形)などの図形が隠れています。
比率
最後は比。
対角線を引いた正五角形の中に黄金比が隠れています。
1:1.618…は黄金比と呼ばれ、φで表されます。線分を1:φに分割したものを黄金分割、縦横の比が1:φである長方形は黄金長方形と呼ばれます。
さまざまな工業デザインやレオナルド・ダ・ビンチのモナリザにも黄金比を見つけることができます。図のように正五角形の1辺と対角線の長さの比が黄金比、そして対角線が黄金分割されます。
黄金比
では、黄金比の謎を解いてみましょう。
図の二等辺三角形②と⑤は相似(簡単には形が等しい図形)であることに注目します。正五角形の1辺の長さを1として、正五角形の対角線の長さをϕとおいてみます。
すると⑤の3辺の長さはϕ、ϕ、1、②の3辺の長さは1、1、ϕ-1とわかります。さて⑤と②は相似なので、対応する辺の比の間に次が成り立ちます。
ϕ:1=1: ϕ-1
この式を整理すると、ϕ 2- ϕ -1=0となるので、2次方程式の解の公式を用いて、ϕ =(1±√5)/2と解くことができます。
ϕ>1より、ϕ =(1+√5)/2=1.618…が得られます。このϕが黄金比です。
古代ギリシャの数学者ピタゴラスは正五角形を重要視し、自らのピタゴラス学派のマークにしていたほどです。単純な形の中にこれほどの興味深い性質を兼ね備えた正五角形は、不思議な魅力を持った形といえます。