火山防災関連施設のデータを公開
国土地理院は2026年3月、ウェブ地図「地理院地図」に防災関連の新たな情報を追加したと発表した。
今回追加された情報の一つが、緊急避難時に活用される「火山防災関連施設」のデータだ。新たに、以下の4種類の施設について、名称と位置情報が整備・公開された。
- 退避壕(シェルター)
火山噴火に伴う噴石などから、住民や登山者が緊急的に退避することを想定した施設 - 退避舎
火山噴火に伴う噴石などから、住民や登山者が緊急避難するとともに、一定時間退避することを想定した施設 - ヘリ離着陸場
火山噴火などの災害発生時に使用することを想定した、ヘリコプター離着陸用の施設・場所 - 防災避難港
火山噴火などの災害時に、住民避難に使用することを想定した港湾
(出典:https://www.gsi.go.jp/common/000276701.pdf)
同院は火山被害の軽減を目的として、火山の地形を表した大縮尺地形図「火山基本図」をはじめ、火山防災に関連する地理空間情報の整備・公開を進めている。今回の火山防災関連施設データの整備も、その取り組みの一環だ。
整備対象となるのは、火山調査研究推進本部が「活動火山対策のために観測、測量、調査および研究の充実などが必要な火山」として選定した51火山である。
地理院地図で火山防災関連施設のアイコンをクリックすると、以下の詳細情報が表示される。
- 種別
- 施設名
- データ整備年
- 対象火山
- 備考
同データは、各火山防災協議会や国、都道府県、市町村が策定する各種防災計画に記載された情報をもとに作成したもので、関係機関の協力を得ながら、各施設の名称に対応する詳細な位置情報を付与して整備を進めたという。
(出典:https://www.gsi.go.jp/common/000276702.pdf)
データのダウンロード提供も開始
火山防災関連施設の情報を地理院地図上で公開することで、標準地図のほか、標高に応じて色分け表示が可能な「自分で作る色別標高図」と重ね合わせて閲覧できるようになる。これにより、住民や登山者の火山災害への備えになることが期待される。
また、今回整備した火山防災関連施設データは、地理院地図での公開に加え、国土地理院ウェブサイトからのダウンロード提供も開始した。
ダウンロードデータは、GIS(地理情報システム)で利用可能なCSV形式およびGeoJSON形式で提供している。GISソフトウェアで読み込むことで、ハザードマップの作成や防災アプリ・防災ウェブサービスへの組み込みほか、様々な用途に利用できる。
今後も関係機関からの情報提供を受けながら、火山防災関連施設データの継続的な更新を進め、各火山基本図への反映を図る方針としている。
指定避難所の情報も公開
火山防災関連施設データに加え、もう一つ新たに公開したのが「指定避難所」の情報である。
国土地理院は、住民が災害時の避難先を平時から地図上で確認できるよう、地方公共団体と連携して避難所情報を整備し、随時更新している。今回公開されたのは、主に以下の情報だ。
指定避難所
災害発生時に被災者が一定期間滞在するための施設。
「指定一般避難所」と、要配慮者向けの「指定福祉避難所」に区分される。
施設は、災害種別を限定せず指定されているケースが多く、洪水浸水想定区域内に立地している場合もある。
対象施設としては、公民館や学校、体育館といった公共施設が挙げられる。
指定緊急避難場所
災害の危険から命を守るため、緊急的に避難する場所。
以下の災害種別ごとに指定されている。
- 洪水
- 崖崩れ、土石流および地滑り
- 高潮
- 地震
- 津波
- 大規模な火事
- 内水氾濫
- 火山現象
例えば洪水を対象とする場合は、浸水リスクを回避できる場所が選定される。対象となるのは、災害に対して安全性・堅牢性を備えた建築物のほか、危険が及ばないグラウンドや駐車場などである。
(出所:https://www.gsi.go.jp/common/000276855.pdf)
地理院地図では、各アイコンをクリックすることで詳細情報を確認できる。表示内容は種別によって異なるが、施設名・住所・備考のほか、指定福祉避難所では受入対象者、指定緊急避難場所では対応する災害種別も表示される。
(出典:https://www.gsi.go.jp/common/000276856.pdf)
全国の指定避難所をシームレスに表示可能
地理院地図上で指定避難所および指定緊急避難場所を表示することで、市区町村ごとに分散していた情報を全国規模でシームレスに確認できるようになった。自宅や勤務先から指定避難所までの距離を地図上で計測することも可能だ。
また、自然災害伝承碑や土砂災害警戒区域のような、他の防災関連情報との重ね合わせ表示にも対応。空中写真から、指定避難所の立地や建物の状況も確認できる。
これらの情報は、防災計画の検討やハザードマップ作成、平時からの避難行動の確認をはじめ、様々な防災対策への活用が期待される。
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<参考>国土交通省ウェブサイト、国土地理院ウェブサイト