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国土地理院、地形分類データ「数値地図25000(土地条件)」を追加公開

「数値地図25000(土地条件)」の概要

国土地理院では、自然条件に即した効果的な防災対策や土地利用計画に役立てることを目的として、山地・台地・段丘・低地・人工地形など、さまざまな地形を分類した「土地条件図」を整備している。

さらに、2006年からはこの「土地条件図」を、GIS(地理情報システム)で利用できるようにデジタル化し、「数値地図25000(土地条件)」としての整備・提供を開始した。

この「数値地図25000(土地条件)」は、国土地理院が保有する地形データをもとに形態・成り立ち・性質などに基づいて地形を分類したGISデータであり、土地が持つ災害リスクを面的に把握できるため、液状化ハザードマップなどを作成する際の基礎資料としても活用されている。

「数値地図25000(土地条件)」はウェブ地図サービス「地理院地図」や「ハザードマップポータルサイト」で閲覧できる。

「数値地図25000(土地条件)」の表示例(石川県周辺)
<画像出典>https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_cd25000_R7_00002.html

 

「数値地図25000(土地条件)」の表示例(鹿児島県)
<画像出典>https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_cd25000_R7_00002.html

データの整備範囲

国土地理院は、これまで全国の主要な平野部を中心に「数値地図25000(土地条件)」を整備し、順次刊行・公開してきた。

2025年7月1日には、石川県や鹿児島県、沖縄県など約2500km2を新たに刊行・公開している。

データの整備範囲は下記のように大きく4つに分けられ、整備範囲ごとにそれぞれ地形分類数が異なる。

7月1日に新たに刊行する範囲
<画像出典>https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_cd25000_R7_00002.html

範囲1(VERSION1)

1963年から1995年に整備された「土地条件図」のデータおよび1973年から1997年に整備された「沿岸海域土地条件図」の陸域データ。
(地形分類数:自然地形47分類、人工地形10分類)

範囲2(VERSION2)

1996年から2013年に整備された「土地条件図」のデータ。
(地形分類数:自然地形20分類、人工地形4分類)

範囲3(VERSION3)

2010年から2012年に「範囲1」の一部について人工地形を更新したデータ。
(地形分類数:自然地形19分類、人工地形6分類)

範囲4(VERSION4)

2021年から整備中の「土地条件図」のデータ。
(地形分類数:自然地形24分類、人工地形4分類)

データの整備範囲
<画像出典>https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_cd25000.html

地形分類項目

地理院地図では上記の4種類の分類項目を統合したものが使用されている。なお、地理院地図では小縮尺時に作成年度(調査年)が表示される。

  • 山地斜面等
  • 凹地・浅い谷
  • 集動地形
    地すべり(滑落崖)
    地すべり(移動体)
    山麓堆積地形
  • 低地の微高地
    河川沿いの微高地
    砂州・砂堆・砂丘
    天井川沿いの微高地
  • 低地の一般面
    扇状地
    谷底平野・氾濫平野
    海岸平野・三角州
  • 低地の微低地
    後背低地
    旧河道
  • 頻水地形
    河川敷・浜
    湿地
  • 水部
    水部
    旧水部
  • 台地の一般面
    台地(更新世段丘面)
    台地(完新世段丘面)
    台地(時代未区分)
  • 人工地形
    農耕平坦化地
    切土地
    高い盛土地
    盛土地・埋立地
    干拓地
    改変工事中の区域

購入方法

「数値地図25000(土地条件)」は地理院地図やハザードマップポータルサイトにおいて、地図上でデータを可視化できるほか、GISソフトで読み込むためのデータを購入することもできる。

CD-ROMで提供されているほか、日本地図センターのウェブサイトにてオンライン購入も可能となっている。

CR-ROMとオンラインではいずれもファイルはGML形式で提供されており、このGMLファイルをシェープファイル形式に変換する「土地条件図数値データ変換ツール」も国土地理院から提供されている。

同ツールは範囲1~3に対応するv1.0と、範囲4に対応するv2.0の2種類が用意されている。

データの活用方法

数値地図25000(土地条件)の地形分類を見ることで、その地域の土地の成り立ちが分かり、その成り立ちから発生しやすい災害について知ることができる。

国土地理院は、地形分類からわかる土地の成り立ちと、そこからわかる災害リスクについて、以下のような例を挙げている。

  • 砂州・砂堆・砂丘の内陸側の縁辺部や、その周辺に分布する旧水部や旧河道の盛土地・埋立地では、強い地震による液状化の発生傾向が強い。
  • 谷底平野・氾濫平野や海岸平野・三角州、旧水部や旧河道は、河川氾濫による浸水のリスクがある。
  • 河川や谷底平野・氾濫平野の周辺にある台地は地盤がよく地震の揺れや液状化の発生傾向は弱いが、縁辺部の崖の近くでは崖崩れに注意が必要となる。
  • 干拓地は高潮の被害を受けやすく、地盤が軟弱なため強い地震による液状化の発生傾向が強い。
  • 台地の周辺に分布する山地斜面や山麓堆積地形では、大雨や地震により崖崩れや土石流のリスクがある。

このように、「数値地図25000(土地条件)」はその土地の災害リスクを知る上でとても参考となるので、地理院地図やハザードマップポータルサイトで閲覧したり、GISソフトウェアで分析したりと、ビジネスや家庭でぜひ活用していただきたい。

 

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<参考>国土地理院ウェブサイト、日本地図センターウェブサイト

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