こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
本記事では、国土基本図の図郭とは何かから、図郭の意味や図郭コードの読み方までわかりやすく解説します。
参考
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国土基本図とは
国土基本図とは、国土地理院が統一された図式に基づいて作成・整備している大縮尺の基本図のことです。
主に、公共事業における測量の重複を避けること、精度の高い地図情報を全国で統一して提供することを目的としています。
国土基本図の図郭とは
国土基本図の図郭(ずかく)とは、国土基本図を一定の基準で区切った個別の地図範囲のことです。
一般的な地図区画である「標準地域メッシュ」が緯度・経度を基準に分割されているのに対し、図郭は平面直角座標系を使用し、原点からの距離(メートル)を基準にして区分されています。
図郭の用途と特徴
国土基本図は、1/2500や1/1000といった大縮尺の地形図であり、比較的狭い範囲を対象としています。公共事業の調査・設計・計画立案などによく利用されています。
使用される平面直角座標系には必ず原点が存在するため、図郭内のすべての位置は原点からの距離(座標値)によって正確に表現できます。
図郭コード(ファイル名)の構成と読み方
国土基本図図郭には地図情報レベルが5段階(50000、5000、2500、1000、500)あり、以下のように上から順にファイル名が決まります。
地図情報レベル 50000
平面直角座標系で用いられる日本周辺にある19個のいずれかの原点を中心に、南北300km、東西160kmの区域を縦20個、横8個に分割すると、縦30km×横40kmの長方形ができます。
これに左上隅をAとしたアルファベットを縦、横に順に割り振り、X軸(南北方向)Y軸(東西方向)の順番につなげ、アルファベット2文字の組み合わせで区画名が図1のように定められます。
例)
「09LD」というコードであれば、初めの2桁が系の原点が「09」=Ⅸ系であることを表し、続く2桁「LD」が50000レベルの区画名「LD」を表し、これが地図情報レベル50000の図郭コードとなります。
図1:国土基本図図郭の座標系内の区画名
地図情報レベル 5000
次に、図1のうちの1つの区画を縦横共に10等分すると、各区画内が全部で100等分され、1タイルは縦3km、横4kmの長方形になります。
これが地図情報レベル5000の1タイルとなり、00から99までの数字2桁が図葉番号となり、地図情報レベル50000の4桁にプラスされます。(図2・図3)
図2:5000の図葉番号(下2桁)
図3:5000のタイル1枚の大きさと図郭コード
例)
「09LD35」という名称のファイルは、末尾の「35」により縦方向に上から4タイル目、横方向に左から6タイル目であるということがわかります。
ファイル名が6桁なので、地図情報レベル5000の地図です。(図3)
地図情報レベル 2500
地図情報レベル5000を縦横共に2分割したものが、地図情報レベル2500です。
ファイル名は「09LD352」のように7桁となり、6桁目までは地図情報レベル5000と同じであり、最後の1桁に図4の1~4の番号が追加されます。
図4:地図情報レベル2500の分割番号(下2桁)
図5:2500の図郭コード
地図情報レベル 1000
地図情報レベル1000は、地図情報レベル5000を縦横共に5分割したものです。
ファイル名は地図情報レベル5000の6桁に図6の2桁が加えられて8桁となり、「09LD354E」のように末尾が必ずアルファベットとなります。(図7)
図6:地図情報レベル1000の分割番号(下2桁)
図7:1000の図郭コード
地図情報レベル 500
地図情報レベル500は、地図情報レベル5000を縦横共に10等分した図郭であり、地図情報レベル1000を2分割したものに等しい縦300m横400mサイズの図郭となります。
00~99までの数字2桁が、地図情報レベル5000の末尾に追加され、「09LD3599」といった8桁のファイル名となります。(図8・図9)
図8:地図情報レベル500の分割番号(下2桁)
図9:500の図郭コード
おわりに
国土基本図図郭のコードの仕組みが理解できるようになると、地図データの位置特定がしやすくなり、公共測量やGISデータの活用にも役立ちます。
図郭コードを読み解ける力は、地理空間情報を扱う上で基本スキルの一つといえるでしょう。
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【参考】
国土地理院 数値地図(国土基本情報) https://www.gsi.go.jp/kibanjoho/kibanjoho40027.html
リサーチ・ナビ https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-601036.php