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猫が住みやすい路地をAI機械学習で解析|ロジねこ

特定の飼い主がいない猫に対して餌やりや糞尿の片付けを行ったり、不妊去勢手術や里親の募集をしたりすることで、猫と人が共生できる環境の実現を目指す“地域猫活動”をご存じだろうか。

今回は、全国各地で行われている地域猫活動の認知度向上を目的に開発されたウェブアプリ「ロジねこ」を紹介する。

ロジねこ

PC版の画面

概要

「ロジねこ」は、街中にいる猫をスマートフォンで撮影して“ねこずかん”を作成できるウェブアプリだ。

アクセスすると、ロールプレイングゲーム(RPG)のようなデザインの地図の上に猫のアイコンが並んでおり、アイコンをクリック(タップ)すると、その地点で撮影された猫の写真が表示される。

面白いのは、それぞれの猫の写真には「トラ猫」「ブチ猫」「サビ猫」「黒猫」のように毛色が記載されていることだ。

アイコンも毛色を反映したデザインになっており、この地図を見れば、どのエリアにどんな毛色の猫が分布しているのかがよくわかる。

この毛色の分類は、投稿された写真をディープラーニング(深層学習)によって自動判定したもので、日本猫を6種類に分けて判定できる。

投稿された猫の写真を閲覧可能

 

RPGのようなデザインの背景地図

使い方

猫の写真を保存するには、地図画面の右下にある「ねこを撮る」をタップして撮影する。

撮影した猫は左下の「ねこずかん」をタップすると一覧表示できる。X(旧・Twitter)アカウントと連携すれば、別のスマートフォンやパソコンからでも猫の写真を閲覧・編集できる。

地図上にはこのほか、神社や寺、公園など猫に遭遇しやすい施設のアイコンも並んでいる。

同アプリには機械学習によって猫が住みやすい場所を判定する機能も搭載されている。

地図上に表示された扇形のアイコンをタップすると、「路地裏度:100%、ノスタルジー度:59%」といった表示が現れる。

寺社や公園などのアイコンも掲載

路地裏度、ノスタルジー度の算出方法

これらの数値は、猫が住みやすい場所は、道路が狭くて車が通れない、人が少ない昔ながらの街並みであるという考えによるものだ。

「路地裏度」は国土数値情報をもとに幅員が3m未満の道路を抽出し算出しており、「ノスタルジー度」は、国土交通省土地総合情報システム(不動産取引価格情報取得API)とRESAS API(人口構成)を使って平均築年数や人口増減を基準に算出している。

同アプリを開発した「ROJINECO PROJECT」は、このように算出した路地裏度やノスタルジー度が正しく現状を反映しているかどうかを検証するため、実際に街に出て猫を探すフィールドワークを行ったという。

「路地裏度」と「ノスタルジー度」がわかる

オープンデータ活用コンテストで銅賞

同アプリは、幅広い人に地域猫活動に興味を持ってもらうために、地域猫の実態把握の手段として活用してもらうことを目的としている。

そのため、アプリに投稿された写真や猫の種類、位置情報などはオープンデータとして地域猫活動のために公開される。

このような取り組みが評価され、同アプリはオープンデータの活用コンテスト「アーバンデータチャレンジ2019」(主催:社会基盤情報流通推進協議会、公益社団法人土木学会、東京大学生産技術研究所、東京大学空間情報科学研究センター)において銅賞を獲得した。

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除され、街中が賑わいを取り戻しつつある中、3密を避けるように気を付けつつ、この「ロジねこ」を使って路地裏にいる猫の写真を撮り歩いてみてはいかがだろうか。

■URL
ロジねこ
https://rojine.co/

※本記事で紹介したアプリに関する詳細は、ROJINECO PROJECT様あてにお問い合わせください。

GISやAI機械学習を使ったシステムのご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。

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片岡義明(かたおかよしあき)様

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。

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