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国土地理院、電子地形図50000の全国整備完了。地理院地図タイルもリニューアル

電子地形図50000とは|全国整備完了の概要と提供仕様

国土地理院は1月22日、「電子地形図50000」の全国整備が完了したと発表した。(報道発表資料

電子地形図は、電子国土基本図などのデータをもとに自動処理で作成されるラスター形式のデジタル地形図である。

電子地形図50000は、5万分の1地形図の図葉ごとに提供されるシリーズで、国土地理院では2023年度から3カ年計画で全国整備を進め、順次公開してきた。2026年1月30日に最後の117面を公開し、これにより全1291面の整備が完了した。

価格は1面あたり280円(税込)で、日本地図センターのウェブサイトからオンラインで購入できる。

電子地形図50000のデータ仕様|Geospatial PDFとレイヤー機能

電子地形図50000のデータ形式は、位置情報が付与されたレイヤー付きのPDF(Geospatial PDF)を採用している。

Adobe Acrobat Readerなどレイヤー機能を搭載したソフトウェアを使用することで、5種類のレイヤーの表示・非表示を切り替えられる。

  • 地図
  • 注記/記号
  • 傾斜量図
  • 陰影起伏図
  • 整飾

表示内容を自由に選択できるため、地理教育や防災訓練などの場面では、書き込みしやすいように注記や記号を省いた地図を作成することも可能だ。このように、用途に応じて地図表現を柔軟にカスタマイズできる点が特長となっている。

今後、電子地形図50000は顕著な変化が確認された地域を対象に年4回(1月、4月、7月、10月)を目安に更新していく予定だ。

電子地形図50000「鹿児島」

地理院地図をリニューアル|中縮尺・小縮尺タイルの表現強化ポイント

国土地理院は、このたびの電子地形図50000の全国整備完了を受け、地理院地図の中縮尺および小縮尺タイルをリニューアルする予定としている。

中縮尺タイルでは、ズームレベル14(縮尺5万分の1相当)において、電子地形図50000と同等の表現を採用。これにより、等高線や注記の情報量が大幅に拡充された。

具体的には、河川名や高速道路のインターチェンジ(IC)名といった注記が増えたほか、寺社や学校などの記号が表示されるようになった。

ズームレベル14の描画変更イメージ
(出典:https://www.gsi.go.jp/chizuhensyu/chizuhensyu41047.html

小縮尺タイルでは、ズームレベル12~13(縮尺20万分の1相当)において、電子地形図20万の描画表現を採用。これにより注記の情報量が増えたほか、家形(建物の輪郭線)が表示されるようになった。

その結果、都市部における建物の密集状況が視覚的に把握しやすくなっている。

ズームレベル12~13の描画変更イメージ
(出典:https://www.gsi.go.jp/chizuhensyu/chizuhensyu41047.html

さらに、ズームレベル12~14における描画の連続性や表示切り替えを改善するため、ズームレベル9~11についても、以下のような細かな改良が加えられている。

  • 地図記号の統一
  • 湿地表現の変更
  • 一部の文字色の変更
  • 市区町村界の追加
  • 「採鉱地」「火山」「砂れき地・干潟」の非表示

地理院地図リニューアル版を比較|サンプルデータサイトの使い方

国土地理院は、現行の地理院地図とリニューアル後の地理院地図を比較できるサンプルデータサイトを公開している。

サンプルデータサイトは「標準地図」と「淡色地図」の2種類が用意されており、いずれも左側が現行版、右側がリニューアル版となっている。

サンプルデータサイト
(出典:https://www.gsi.go.jp/chizuhensyu/chizuhensyu41047.html

サンプルデータサイトで表示できるエリアは、豊橋地区の1次メッシュ範囲内に限られる。ズームレベルは、画面左下の枠内表示から確認できる。

今回のリニューアルにより、小縮尺でも情報量が大幅に増え、家屋の密集状況を把握できるようになった。GIS(地理情報システム)の背景地図に地理院タイルを利用しているユーザーにとっては、広域データの分析がより行いやすくなるだろう。

なお、サンプルデータサイトは現時点では試作版であり、今後さらに細かな改良が加えられる可能性がある。

正式なリニューアルは2026年度第2四半期を予定しており、地理院タイルを利用しているユーザーは今後の動向に注目しておきたい。

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<参考>国土地理院ウェブサイト、日本地図センターウェブサイト

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片岡義明(かたおかよしあき)様

専門新聞社や出版社勤務を経て、1999年よりフリーランスライターとして活動。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」が発売。インプレスより書籍「パソ鉄の旅~デジタル地図に残す自分だけの鉄道記~」、共著書「いちばんやさしい衛星データビジネスの教本」が発売。

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