地図データで最も重要な要素は座標です。しかし単に座標を記述し図形を表現しても、座標参照系があるべき情報と異なる場合、GISは誤った位置に地図を表示します。
今回は地図データが持つ「座標参照系」に焦点を当て、特にお問い合わせが多い「シェープファイル」、CADフォーマットの「DXF/DWG」、「国土交通省DMフォーマット」と、座標参照系との関係をお話しします。
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目次
シェープファイルの構成
シェープファイルはよく使われる地図データの一つで、複数のファイルから構成されています。
SISでシェープファイルを読むには、少なくとも同一フォルダ内に
- .shp(図形を格納)
- .shx(図形のインデックス情報を格納)
の拡張子を持つ同名ファイルがそろっていることが必要です。
そして、これら2種類のファイルに属性を格納する「.dbf」ファイルが加わったものが、一般的に使われるシェープファイルの構成です。シェープファイルを扱う際は同一フォルダ内のファイル構成を確認してご利用ください。
https://help.informatix.co.jp/sis/9.0/sis/#Datasets_CadcorpShpDataset.ShpDataset.7.html
前述のファイル構成には座標参照系情報を持つデータが含まれないため、意識せずにSISで読むと期待した位置に表示されない場合があります(図1)。
シェープファイルの座標参照系情報は「.prj」というファイルの中にあります。.shpと同じフォルダに.prjファイルがあれば、SISはそれを使用して地図を表示します。
図1:巨大化したシェープファイル
図1は、.prjファイルが無い平面直角座標系のシェープファイルを緯度経度の座標参照系で読んだ例です。赤枠内の数字は表示画面の水平距離で、宇宙空間にはみ出しています。座標参照系の誤りは、画面の水平距離の値や表示縮尺を参照することで発見できます。
「.prjファイルは存在しないけれど、正しい位置に表示したい」場合は、「オーバーレイ」ダイアログの「データセット」タブで適切な座標参照系を再指定します(図2)。
図2:座標参照系の再指定
DXFとDWGを読み込む
「.dxf」ファイルまたは「.dwg」ファイルは代表的なCADデータフォーマットで、地図描画にもよく使われます。しかしGISデータではないため、座標参照系情報が含まれていません。そのためDXFやDWGを扱うときは、読み込む前にSISで座標参照系を明示する必要があります。
https://help.informatix.co.jp/sis/9.0/sis/#Loading_Data_DXF_data.html

AutoCAD Drawing(データセット)
https://help.informatix.co.jp/sis/9.0/sis/Datasets_DWGdirectDataset.html
DXFやDWGでよくあるもう一つの問題が「座標の単位」です。DXFやDWGに書かれている座標は単なる数値で、「単位」の概念が存在しません。
一方SISは座標を「m」や「度」単位で読み込みます。つまり「mm」の数値で描かれたDXFやDWGの座標が「m」として解釈されると1000倍に拡大されて表示されます。
このような場合は次の方法で対処します。
- 「オーバーレイ」ダイアログ内で「データセット」タブを選択します。
- DXF(またはDWG)を選択し、「詳細」をクリックします。
- 設定されている座標系が表示されるので、「座標参照系」のプロパティの「メートル(XY)への変換値」の値を変更して大きさを合わせます。
図3:「メートル(XY)への変換値」の指定
国土交通省DM/拡張DMを読み込む
国土交通省DM/拡張DMフォーマット(以下「DM」)は都市計画図などで用いられるデジタルマッピング用のフォーマットです。
SISはDM内の「測地成果識別コード」で日本測地系か世界測地系かを判別し、平面直角座標系の系番号を以下の順番で確認して決定します。
- データと同じフォルダに「.dmi」か「index.dm」ファイルがある場合
1行目の3文字目から2文字を系番号として設定。 - インデックスレコード(a)の座標系の記述
座標系の2文字を系番号として設定。 - 図郭レコード(a)の図郭識別番号の地図情報レベル毎に「国土交通省公共測量作業規程」で定められた図郭識別番号
図郭識別番号の先頭2文字を系番号として設定。 - 上記以外
SISのカレント座標系がXY座標系の場合はその座標系を設定し、経緯度座標系であれば「Geocentric」を設定。
DMが意図した位置に読み込まれない場合、SISが1~4のどのルールを用いて表示しているのかを確認すれば問題点を発見できます。
https://help.informatix.co.jp/sis/9.0/sis/Datasets_CDMDataset.html

国土交通省拡張DMフォーマット/JSP・SIMA-DMプラグイン仕様
https://help.informatix.co.jp/sis/9.0/sis/Datasets_DMSpec.html
まとめ
今回の話をまとめると次のようになります。
- シェープファイルを読む場合は、.prjファイルの有無を確認してください。無い場合はSISの中で適切な座標参照系を割り当てます。
- DXFやDWGファイルを読む場合は、読み込む前に座標参照系を指定してください。座標の単位がおかしい場合はデータセット座標系の「メートル(XY)への変換値」を変更してください。
- DMが意図しない位置に表示される場合は、SISの座標参照系の判定ルールとデータを照らし合わせて問題点を発見することができます。
いかがでしたでしょうか。今回は3種類の地図データについてご紹介しましたが、読み込み位置に関する疑問が少しでも解消されれば幸いです。
最後に
GISの普及・発展と共に多種多様な地図データが生まれてきました。SISは発売以来約30年、様々な地図データに対応してきました。そして新たに生まれてくる地図データに対応すべく、今なお進化し続けています。
地図データについてお困りのことがありましたら、ぜひご相談ください。
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https://www.informatix.co.jp/sis/
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※この記事は、GIS NEXT第84号に掲載された記事を編集したものです。