こんにちは、インフォマティクスでAI・機械学習業務を担当している鈴木です。
仮想空間上に都市を再現し、様々なシミュレーションを行うデジタルツイン。この記事では、デジタルツインで使用する3D都市モデルを実際に作成してみたいと思います。
目次
背景
デジタルツインを活用する際、3D都市モデルはどのように入手したらよいでしょうか。近年はオープンデータ化が進んでいるので、有効なオープンデータが公開されていることもあります。
オープンデータとして真っ先に挙げられるのが、Project PLATEAU(プラトー)です。
PLATEAUは国土交通省が主導する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクトです。PLATEAUでは、多くの3D都市モデルが公開されており、2023年度には公開範囲を約200都市まで拡大すると発表されています。
しかし、全国に約1,700の自治体があることを考えると、全国どこでも3D都市モデルが入手できるという状況ではありません。3D都市モデルが入手できない場合には、2次元GISデータなどを使って作成しなければなりません。
そこで今回は、3D都市モデルを実際に作成した例をご紹介します。
3D都市モデルの細かさ
3D都市モデルの細かさは、LOD(Level of Detail)という指標で表します。今回作成する3D都市モデルはLOD1を目標とします。
LoDのイメージ(国土交通省 都市局)
使用データ
3D都市モデルを作成するために、2つの情報(建物の輪郭と高さ)を使用します。
建物の輪郭
建物の輪郭は2次元のポリゴンデータを使用します。今回は、「国土地理院 基盤地図情報 基本項目」の中から「建築物の外周線」をダウンロードして使用します。
自治体が整備した都市計画図などを用意できれば、代わりに使用することができます。
建物の輪郭
出典:国土地理院 基盤地図情報(https://www.gsi.go.jp/kiban/)
出典:長崎県 オープンナガサキ(https://opennagasaki.nerc.or.jp/)
建物の外周線(国土地理院)と点群(オープンナガサキ)を重ねて表示
建物の高さ
建物の高さは、点群データから算出します。今回は、長崎県が公開する「オープンナガサキ(https://opennagasaki.nerc.or.jp/)」を使用します。
点群データ
出典:長崎県 オープンナガサキ(https://opennagasaki.nerc.or.jp/)
点群データが入手できない場合には、DSM(Digital Surface Model)など、建物を含む標高データを使用することもできます。例えば、兵庫県が公開している「兵庫県50cmメッシュDSM(2021年度)」などが使用できます。
あるいは、建物の高さが事前に分かっている場合は、そのまま使用することができます。建物の階数が分かっている場合には、階数に定数をかけて建物のおおよその高さを計算することもできます。
作成例
上記の条件のもと、下のような3D都市モデルを作成することができました。
3D都市モデルの作成例
出典:国土地理院 基盤地図情報サイト(https://www.gsi.go.jp/kiban/)
出典:長崎県 オープンナガサキ(https://opennagasaki.nerc.or.jp/)
建物の外周線(国土地理院)と点群(オープンナガサキ)を使用して作成
今後の展望
属性情報の活用
今回使用した建物の輪郭には、建物の種別属性が埋め込まれています。また、自治体が整備する都市計画図などを使用する場合には、多くの属性情報が埋め込まれています。
これらの属性情報を3D都市モデルに持たせることで、活用の幅を広げることができます。
PLATEAU標準仕様への対応
3D都市モデルの形式は、PLATEAUの標準仕様で定義されています。標準仕様に準拠することで、PLATEAUが提供するツールやノウハウを活用することができます。
おわりに
今回はデジタルツインで使用する3D都市モデルを実際に作成してみました。
インフォマティクスでは、デジタルツインをはじめ、3D空間ソリューションサービスや空間情報システムを提供しています。デジタルツイン/3D都市モデル/CityGMLに関するご相談がありましたら、お気軽にインフォマティクスまでお問い合わせください。
資料請求もしていただけますので、お気軽にお問い合わせください。
<参考>国土地理院ウェブサイト、PLATEAUウェブサイト