前回に続き、SISユーザーサポートにお寄せいただいたご質問から、SISの操作に役立つ情報をご紹介します。
今回は、「トポロジー」データの特長や非トポロジーデータとの動作の違いなど、トポロジーの基本的な内容から具体的な活用例までをご紹介します。
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目次
ネットワークデータの解析や地籍図の管理に便利!
トポロジーとは、図形データの空間的な位相関係を定義する概念です。
位相関係は図形どうしの位置関係や接続関係を管理するもので、例えば、地図上の道路の交差関係が該当します。SISはトポロジー構造のデータを作成、解析できるGISです。
トポロジーの特長を活かして主に以下のシーンで利用できます。
- 道路などのネットワークデータの解析
(接続関係や交差関係が重要な意味を持つデータ) - 地籍や行政界のデータなど、多数の面が接するデータの管理
トポロジーデータの特徴とメリット
具体的な活用例をご紹介する前に、トポロジーデータの動作をもう少し詳しく確認しましょう。
特徴として以下があげられます。
- アイテムを移動すると、隣接した他のトポロジーアイテムも連動して移動する
- 隣接したトポロジーデータは、互いのアイテムの情報をもつため、通行止め等の情報を利用した解析ができる
表1はトポロジーと非トポロジーデータの動作の違いについてまとめたものです。見た目は同じですが、動きが異なることがお分かりいただけると思います。
また、名前も非トポロジーデータと異なり、点形のアイテムをノード、線形のアイテムをリンク、面形のアイテムをトポロジーポリゴンと呼びます。
大量の情報を最小限の形で保存できるのもメリットといえます。例えば、行政界の境界線をライン(非トポロジー)で作図すると、境界線には2つのラインが重なります。
この場合、各境界線を別々に描くのは手間がかかるうえ、1つの境界線を変更すると、その周囲の境界線も同様に変更する必要がでてきます。そのため、境界間に隙間ができたり、データの不整合が発生しやすくなります。
一方、トポロジーでデータを構築すると、ラインアイテムを重複して作図する必要はなく、図形は最小限のデータ構成になります。
表1:トポロジーと非トポロジーデータの動作の違い
トポロジー構造 (ノード、ライン、トポロジーポリゴン) |
非トポロジー構造 (ポイント、ライン、ポリゴン) |
|
ルート検索 (ネットワーク解析) |
![]() (例)迂回ルート検索ができる |
![]() |
アイテムの移動 (地籍や行政界データ の管理) |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
トポロジーデータを作るには?
トポロジーを利用して道路のネットワーク解析を行う場合、まずデータを用意する必要があります。
例えば、全国デジタル道路地図(DRM)は、最初からトポロジーの状態になっているので、変換せずにそのままご利用いただけます。
SIS対応データ一覧
SISで読み込めるデータが紹介されています。
(※道路データ以外も含まれています)
ラインなどの非トポロジーデータでネットワーク解析する場合は、トポロジーに変換して利用します。
ラインを選択し、「トポロジー」タブの「トポロジー変換」コマンドや「リンクに変換」コマンドを実行します(図1)。
図1:ある区域の道路のラインデータをトポロジーに変換
トポロジーデータを分かりやすく可視化するには?
トポロジーに変換したラインは、元のラインと見た目は同じです。トポロジーであることを分かりやすくしたい場合は、「トポロジー主題図」を利用します。
一方通行などの交通規制情報を設定すると、シンボルで表示され、視覚的に分かりやすくなります(図2)。
図2:トポロジー主題図を設定
(通行止め、一方通行、端ノードをシンボルで表示)
交通規制情報を考慮して最短距離ルートを検索
データをトポロジーに変換すると、道路(リンクアイテム)には通行止めや一方通行などの交通規制情報を、また、交差点(ノードアイテム)には右左折禁止など進行方向を設定できます。さらにそれを考慮したルート検索が可能です(図3)。
図3:交通規制情報を考慮した迂回ルート検索結果
※ルート検索は非トポロジーデータでも可能ですが、交通規制情報を考慮した高度なルート検索を行う場合は、トポロジー変換が必要です。
最短到達時間のルート検索
トポロジーデータを利用すると、ルート検索でフォーミュラを指定した検索を行えます。
例えば、速度の情報を利用したフォーミュラ「距離/速度」(例:_length#/speed#)を指定して最短到達時間でルートを検索することができます(図4)。
図4:フォーミュラを指定した最短到達時間のルート検索
おわりに
いかがでしたでしょうか。便利なトポロジーの機能、ぜひご活用ください。
このシリーズでは、皆様のお悩みを解決しながらSISの便利な機能についてご紹介していきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!
SIS Desktopシリーズ 製品情報
https://www.informatix.co.jp/sis/
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<地図データ出典>
Open StreetMap data © OpenStreetMap Contributors
※この記事は、GIS NEXT第82号に掲載された記事を編集したものです。