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渋谷区内トイレの位置・設備・満空情報を地図上に表示|TOKYOトイレマップ

生活インフラとして欠かせないトイレの位置や設備、満空情報をマップ上で確認できる「TOKYOトイレマップ」のサービス提供が開始された。

今回は東京都におけるデータ流通基盤「東京データプラットフォーム(TDPF)」のケーススタディ事業(実証事業)の一つとしてスタートしたこのプロジェクトについて詳しく紹介しよう。

「TOKYOトイレマップ」の概要

TOKYOトイレマップ
(出典:https://www.tokyo-toilet-map.com/)

「TOKYOトイレマップ」は、スマートフォンなどから地図上でトイレの位置や設備情報、満空状況を見られるサービス。

トップページから以下のいずれかを選ぶと、該当するトイレの位置が地図上に表示される。

  • すべてのトイレ
  • 女性用トイレ
  • 男性用トイレ
  • バリアフリー

地図上のアイコンは、営業中の場合は「OPEN」と表示されるほか、満空情報に対応している一部のバリアフリートイレについては、人型マークの数とアイコンの色(使用中:赤、やや空きあり:青)で混み具合がわかる。

アイコン表示に連動して、画面下部には各トイレの詳細情報を記した情報カードが並び、アイコンやカードをタップすると詳細情報が表示される。

詳細情報の画面には住所やトイレの開設時間や定休日、トイレのある施設の公式サイトへのリンクなどが記載されている。また、カードや詳細情報から各トイレ施設に対して「いいね」を付けることもできる。

簡単な操作でSNSへのシェアやトイレまでの経路探索も行える。背景はGoogleマップで、トイレのアイコンが目立つように薄い配色となっているのでわかりやすい。

1つの施設に複数トイレがある場合は、施設ごとに情報カードがリスト表示されるのも便利だ。

たとえば渋谷マークシティには12のトイレ情報が収録されており、リスト表示を見ればどのバリアフリートイレが空いているのかがわかるので、急いでいるときの参考情報になる。

地図上にトイレの位置を表示

バリアフリートイレの満空情報をリアルタイムに把握

満空情報はすべてのトイレ情報が対応しているわけではなく、バリアフリートイレなどニーズが高い場所を優先して提供されている。

これらの満空情報は、バカン社が提供しているトイレ向け空き情報可視化IoTサービス「VACAN Throne(バカン スローン)」で得られたセンサー情報をもとに、リアルタイムの混雑情報を検知して発信している。

トイレマップ全体で収録している情報の件数は、庁舎などの自治体施設や民間施設を含む渋谷区内105施設1,221個室で、東京都が保有する公共施設や渋谷区の商業施設のトイレ設備データを利用して作成された。

なお、トイレの詳細情報には情報の更新日と「修正リクエスト」というボタンが用意されており、掲載情報に誤りや不備がある場合は正しい情報を書き込んで運営事務局へ送信できるようになっている。

利用ユーザー自身がトイレの設備情報などをフィードバックできる仕組みを提供することで、自治体や企業、住民がそれぞれトイレマップのサービス改善に参加し、継続的にアップデートできる仕組みになっている。

バリアフリートイレの満空情報を表示

 

トイレの詳細情報

修正リクエストの投稿フォーム

東京データプラットフォームのケーススタディ事業として実施

TOKYOトイレマップは東京都が展開している「東京データプラットフォーム(TDPF)」という取り組みのケーススタディ事業に採択されている。

東京データプラットフォームは、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京」の実現に向けて行政や民間のデータ流通基盤となるプラットフォームの構築を目指しており、ケーススタディ事業では、その事例となるプロジェクトの実施を通じてデータ利活用の促進およびTDPFの継続利用につながる取り組みを行っている。

官民のデータ流通を促すことによりイノベーションを実現し、社会課題の解決を図ることと、すべての人が快適に暮らし、働くことができる社会の実現をビジョンを掲げており、さまざまなデータの集約・連係を可能にするデータプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めることで、データ利活用に関わる人たちと協働しながら安心してデータを活用できる社会の実現を目指している。

ケーススタディ事業としては、今回紹介したTOKYOトイレマップのほかに、防災データに関連した以下の2つのプロジェクトが採択されている。

  • TDPF(東京データプラットフォーム)-都市OS(データ利活用基盤)間の災害時の施設データ連携
  • 集客施設による災害時の多言語情報提供

東京データプラットフォームケーススタディ事業
(出典:https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/society5.0/case_study/)

プロジェクト継続とエリア拡大に期待

TOKYOトイレマップは、重要な生活インフラであるトイレの位置や設備、満空情報など、官民のデータを組み合わせて提供するもので、利用者も情報をフィードバックすることにより、設備情報の正確性が維持されることが期待される。

トイレの情報については、おむつ台やベビーチェア、オストメイト、パウダールームの有無など、事前に確認できないことも多く、また、せっかくバリアフリートイレを目指してたどり着いても、使用中ですぐに利用できないケースも少なくない。

TOKYOトイレマップのようにトイレの場所や設備情報、満空情報を確認できれば、多くの人にとって外出時のトイレの不安が解消され、とくにバリアフリートイレが必要な人にとってはかなり心強いサービスと言えるだろう。

今回の実証事業は期間限定となるが、ケーススタディ事業終了後も継続的な提供と提供範囲の拡大を期待したい。

■URL
TOKYOトイレマップ
https://www.tokyo-toilet-map.com/

※本記事で紹介したサービスに関する詳細は、各提供会社様あてにお問い合わせください。

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片岡義明(かたおかよしあき)様

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。

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