2020年12月から2021年2月にかけて、日本海側を中心に広範囲で大雪・暴風の災害が発生した。
今年の冬も大雪が心配されるが、その備えとしてチェックしておきたいのが、気象庁が提供するウェブサイト「今後の雪」(降雪短時間予報)だ。
目次
積雪の深さと降雪量の実況を推定|解析積雪深・解析降雪量
天気予報で提供される積雪量は、積雪深計の観測に基づく情報だ。
これは実際に積雪を観測した場所だけのピンポイントな情報になりがちで、観測されていないエリアも含めて面的に状況を把握するのは難しい。
そこで気象庁が2019年5月に提供開始したのが、積雪の深さと降雪量の実況を推定する解析積雪深・解析降雪量の情報配信だ。
解析積雪深は、降水量や気温、日射量などをもとに“積雪変質モデル”を使って積雪の深さを計算し、積雪深計の観測値で補正して算出するもので、積雪の深さの実況を約5km四方の格子(メッシュ)(緯度3分・経度3.75分)で面で推定できる。
積雪変質モデルを使うことで、新たに積もる雪の量や融ける雪の量、時間の経過によって積雪が沈み込む深さを計算し、積雪の深さが求められる。
一方、解析降雪量は解析積雪深が1時間前から現在までに増加した量を推定するもので、解析積雪深が1時間前から現在までに減少した場合、解析降雪量は0となる。
これにより、積雪深計で観測されていない地域を含めた積雪・降雪の状況を面で把握できる。
今後の雪(降雪短時間予報)
「現在の雪」から「今後の雪」にリニューアル
2021年11月には、新たに6時間先までの1時間ごとの積雪の深さと降雪量を予測する「降雪短時間予報」の提供も開始した。
これに伴い、気象庁が提供する降雪・積雪情報サイトも「現在の雪」から「今後の雪」(降雪短時間予報)にリニューアルした。
降雪短時間予報は、6時間先までの1時間ごとの「積雪の深さ」と「降雪量」について約5km四方の格子(メッシュ)間隔を面で予測する。
具体的には、解析積雪深を初期値として、降水短時間予報の降水量や局地数値予報モデルの気温、放射量の予測値を解析積雪深と同じ積雪変質モデルに与えて「積雪の深さ」を計算し、積雪の深さの増加量を統計的に補正して予測している。
「降雪量」は積雪の深さの1時間ごとの増加量を表し、減少が予測される場合は0となる。
これらにより、積雪深計による観測が行われていない地域を含めた積雪・降雪の予測を面の情報として把握できる。
6時間先までの積雪の深さと降雪量を予測
積雪量や降雪量をリアルタイムに可視化
上記のような解析積雪深・解析降雪量や降雪短時間予報をリアルタイムに可視化するサイトが「今後の雪」(降雪短時間予報)だ。
同サイトでは、1時間ごとに推定した現在の積雪の深さと降雪量の分布を地図上に可視化するとともに、スライダーを動かせば、6時間先までの降雪短時間予報も表示できる。
また、過去にさかのぼって積雪量や降雪量の情報を見ることもできる。なお、過去および現在の時刻では、アメダスで観測された積雪の深さや降雪量が地図上に数字で表示される。
降雪量は、積雪計で観測した降雪の深さを3、6、12、24、48、72時間分、合計したものを以下のように表示する。
- 3時間降雪量
- 6時間降雪量
- 12時間降雪量
- 24時間降雪量
- 48時間降雪量
- 72時間降雪量
上部の7つのアイコンをクリック(タップ)すれば、地図上に降雪量が色分け表示される。たとえば9時00分の3時間降雪量は、6時00分から9時00分までの合計降雪量を示している。
さらに、上部の「再生」ボタンにより、スライダーを動かした時点以降の積雪量や降雪量の推移が動画で表示される。動画再生スピードも調整でき、表示中の地図を静止画として保存することもできる。
スライダーを動かすと過去の情報も見られる
アメダスの情報が数字で表示される
予測例
地形表示や濃淡の調整も可能
「今後の雪」(降雪短時間予報)の背景地図は地理院タイルを使用しており、左上メニューから地形表示や色の濃さ、地名表記の有無を切り替えられる。
たとえば地形表示に切り替えて、積雪量・降雪量の表示を「薄い」にすると、「標高の高い山岳部では雪が降っているのに対して、平地や低い山地では降っていない」といった状況がよくわかる。
2020年12月には関越道で大規模な車両の立ち往生が発生したが、大雪のときにこのサイトをチェックしておけば、積雪量や降雪量の今後の見通しを確認できる。
豪雪地帯に住む人はもちろん、ウインタースポーツが好きな人も、ぜひ上手く活用していただきたい。
地形表示に切り替え可能
■URL
今後の雪(降雪短時間予報)
https://www.jma.go.jp/bosai/snow/
<参考>
気象庁 今後の雪ウェブサイト
※本記事で紹介したサービスに関する詳細は、提供機関様あてにお問い合わせください。