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ベクトル地図にも対応、オフラインで使える登山地図アプリ|YAMAP(ヤマップ)

緊急事態宣言が解除され、遠出して紅葉を楽しもうと計画している人も多いと思うが、そんな人におすすめなのがスマホの登山地図アプリ。

中でも注目なのが、電波の届かない場所でも現在地を共有できる「みまもり機能」や、ベクトル地図を使ったヘディングアップ表示など、ほかにはないユニークな機能を搭載する「YAMAP」(提供:株式会社ヤマップ)だ。

今回は「YAMAP」の概要と、最近追加された新機能やサービスを見ていこう。

YAMAPの概要

YAMAPは、電波が届かない山の中でも使用できる登山地図アプリ。

山へ行く前にあらかじめ登る山の地図をスマホにダウンロードすることにより、オフラインで地図を利用することが可能となる。

地図上ではスマホのGPSを使って現在地を確認することも可能で、コースタイム入りの登山ルートを確認することもできる。

登山ルートの途中にある避難小屋やトイレ、注意箇所、野営地の情報も掲載しているほか、YAMAP登録ユーザーによる投稿や、駐車場情報も載っている。

地図は国土地理院の地形データをベースとしており、10mごとの等高線が入っていることに加えて、陰影も入っているので地形を把握しやすい。

山行前に地図を使って登山計画を作成することも可能で、山行中は登山者の歩行ペースに合わせて目的地までの到着時刻を予測する「到着時刻予測」機能も利用できる。

登山計画上の到着時刻と実際の到着時刻との差がひと目でわかり、歩行ペースに合わせて到着予測時刻が自動的に修正される。

ダウンロードする地図を選択

コースタイム入りの登山地図をダウンロード可能

山行記録を「活動日記」として公開

自分の山行記録を「活動日記」として公開することも可能で、SNSのような使い方もできる。

また、歩いた距離や登った都道府県をビジュアル表示して、登頂した山のランキングを簡単に把握できる「ダッシュモード」機能も備えている。

なお、YAMAPは無料でも利用可能だが、無料ユーザーの場合は1カ月にダウンロードできる地図の数が2枚まで、アプリに保持できる地図の数も2枚までと制限されている。

ほかにも登山ガイドブック機能のブックマーク登録数は10件まで、活動日記への写真アップロード数も50枚までと、無料プランではさまざまな制限がある。

有料プランの「YAMAPプレミアム」(月額480円または年額3,480円)に申し込めば、1カ月にダウンロードできる地図の数やブックマーク登録数、活動日記への写真アップロード数が無制限となり、アプリに保存できる地図も50枚までとなる。

YAMAPユーザーどうしのすれ違いで位置情報を共有

ほかの登山地図アプリにはないユニークな機能として注目したいのが、2019年に提供開始した「みまもり機能」だ。

この機能は、山行中のGPSの位置情報を家族や友人に随時通知できる機能で、遭難が発生した場合でも救助のための有用な情報となる。

最大の特徴は、携帯電波が届かない場所の位置情報も共有できる点。

オフライン時にYAMAPユーザーどうしが山中ですれ違った場合に、互いの位置情報を交換し、どちらかがオンラインになったときに相手の情報をYAMAPのサーバーへ送信する仕組みになっている。

これはBluetooth対応の紛失物トラッカーで採用されている「クラウドトラッキング」という技術とも似ている。YAMAPを使う人が多ければ多いほど、ユーザーどうしのすれ違いが発生しやすく、安全網を広げることができる。

送信された位置情報は、アプリ利用者が事前登録した通知者宛に通知メールが届くようになっており、家族に自分の位置情報を知らせることも可能である。

家族が通知メールに記載されたリンクをクリックすれば、登山者の位置情報を地図上で確認することができる。

すれ違いで共有した位置情報をオンライン時に送信

ベクトルタイルを使った「新・ベーシック地図」を提供開始

YAMAPでは2021年9月に、従来の登山地図に加えて、地図がスマホ上で進行方向にあわせて自動回転する「新・ベーシック地図」を提供開始した。

この地図は、国土地理院のベクトルタイル活用したもので、従来のラスタータイル(画像タイル)の地図とは異なり、地図を回転させても注記(地図上の文字)の向きが変わらない。

従来の地図は北向き固定で、現在地マークの方向表示のみが回転する「現在地追従モード」のみだったが、「新・ベーシック地図」では、地図が回転して現在地マークの方向表示は上向き固定される、カーナビのヘディングアップ表示のような新モード「現在地+方向追従モード」を利用できる。

これにより画面上の地図の方向が連動するため、より直感的で道迷いが起こりにくい地図閲覧が可能である。

「新・ベーシック地図」は現在、試験的機能として提供されており、従来のベーシック地図とどちらを使用するかを選択できる。

ヤマップは「新・ベーシック地図」の提供を通じて得られた知見を国土地理院と共有しながら、ベクトルタイルの品質向上に貢献していく方針だ。

ベクトルタイルによる現在地+方向追従モードを新搭載

全国の紅葉写真を見られる「リアルタイム紅葉モニター」

ヤマップでは、登山地図アプリ「YAMAP」のユーザーがアップロードした写真データをもとに、直近7日間以内に撮影された紅葉写真をウェブサイト上に集約表示する「リアルタイム紅葉モニター」を2020年度から提供開始している。

リアルタイム紅葉モニターでは、表示地図のエリア内で撮影された写真をサムネイル形式で一覧可能。地図をズームインすると撮影地点を確認でき、写真選択すると撮影者の徒歩ルート情報も確認できる。その情報をもとに登山者が後日、紅葉スポットにたどり着くことができる。

提供初年度となった2020年度では、累計12万5,690枚の紅葉写真が集まり、全国さまざまな紅葉スポットの情報が寄せられたという。

紅葉シーズンを迎えた今、このリアルタイム紅葉モニターの情報をもとに、山に行って紅葉を楽しんでみてはいかがだろうか。

リアルタイム紅葉モニター

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※本記事で紹介した製品・サービスに関する詳細は、提供会社様あてにお問い合わせください。

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空間情報クラブ編集部

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