前回に続き、GISソフト「SIS 9」の新機能のうち、空間解析に役立つ機能をご紹介します。
インフォマティクスでは、国内で約36,000のお客様に利用されているGIS(地理情報システム)製品SIS(エスアイエス)をご用意しております。
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目次
複数のDBテーブルとのテーブル接続が可能に
SIS活用講座の分析機能の記事で、データベースの情報を図形にリンクする「テーブル接続」をご紹介しましたが、SIS 9では複数のDBテーブル(以下、DB)との接続が可能です。
図1は、東京都23区の地図データと、「人口データ」「公園データ」の2つのDBの情報を連携した例です。
地図と結び付けたいDBが複数あった場合でも、DB側で1つのテーブルに加工しなくてもテーブル接続できます。
JoinItem関数と、SIS 9で追加された属性テーブルデータセットを利用します。
図1:複数のDBテーブルとのテーブル接続
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フォーミュラ(※コピー&ペーストする場合はこちらをご利用ください)
JoinItem(Overlay("人口データ", {Code&=this.admCode&})).人口&
JoinItem(Overlay("公園データ", {区名$=this.Name$})).総数&
JoinItem(Overlay("公園データ", {区名$=this.Name$})).総面積#
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DBから参照した人口と公園の情報を元に、区ごとの1人あたりの公園面積(公園面積/人口)を算出し、3Dで表現したのが図2です。
地図データ自体に必要な情報がなくても、csv、xlsx、accdbなどの外部ファイルの情報をSISから参照して分析に役立てることができます。
図2:フォーミュラで1人あたりの公園面積を算出
3D立ち上げ主題図で可視化
複数キーのテーブル接続も可能に
複数キーを利用したテーブル接続も可能です。
図3は江戸川区の地図データと、町名、丁目の複数キーでテーブル接続した例です。
図3:複数キーでテーブル接続
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フォーミュラ(※コピー&ペーストする場合はこちらをご利用ください)
JoinItem(Overlay("江戸川区公園データ",{町名$=this.Major$ AND丁目$=this.Minor$})).都市公園数&
JoinItem(Overlay("江戸川区公園データ",{町名$=this.Major$ AND丁目$=this.Minor$})).都市公園面積#
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SQLでエリアごとに面積を集計
SIS 9で追加されたSQLコンソールを利用して、23区の地図データに設定されている属性情報「分類」(城東、城西、城南、城北)ごとに公園面積を集計して、どこのエリアに多いか調べてみましょう。
SQLコントロールバーに以下のSELECT文を入力すると、エリアごとの公園の面積の合計が集計されます。
図4:SQLクエリで簡単集計
集計結果により、城東エリアの公園面積が多いことが分かります。
SQLコンソールはSQLiteをベースとしてSQLite SELECT文をサポートしており、各種分析に役立てることができます。
新関数Caseで場合分けの記述が簡単に
SIS 9では多くの新関数が追加されています。そのなかで、場合分けの記述に便利なCase関数をご紹介します。
図5-1は、地図データに都市公園のポイントデータを読み込んでいます。
このポイントデータには公園の「種類」の情報が入っているので、ラベル表示して種類ごとの分布状況を調べてみましょう。
図5-1:公園ポイントデータと種類(数字)
「種類」は数字で入っていますが、ラベル表示する場合は文字の方がわかりやすいので、条件分岐に便利な新関数Caseを利用して記述します。
図5-2:Caseで場合分けの記述がより簡単に
OSRMルート検索
OSRM(Open Source Routing Machine)を使用したルート解析が可能になりました。
図6は、23区の出発地点から千葉県の観光地への最短ルートを調べた例です。
ベクタの道路データを用意しなくても、ネットワークデータ(*.pbf)を無料でダウンロードし、OSRMデータベースに変換して利用できます。
SIS 9には横浜のサンプルデータが搭載されていますが、他の地域で利用する場合は、OSRMデータベースの作成手順をSISサポートサイトでご紹介していますので、ぜひご利用ください。
図6:OSRMを利用したルート検索
おわりに
次回もSIS 9についてご紹介しますので、どうぞお楽しみに!
OSRMルート検索につきましては、SISサポートページにログインしていただき、FAQ のID「1082」をご覧ください。
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<地図データ出典>国土地理院 地理院地図、基盤地図情報、政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)、東京都公園調書より抜粋
※この記事は、GIS NEXT第73号に掲載された記事を編集したものです。