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ソフィア・コワレフスカヤ|ロシア初女性教授、恋愛と数学に捧げた41年の人生

数学を学ぶ機会に恵まれた環境

1850年1月15日、ソフィア・ヴァシーリエヴナ・コワレフスカヤはモスクワに生まれた。

父はロシア帝国軍将校、母はロシア貴族出身で母の祖父は数学者・天文学者であった。

幼少期のソフィアに影響を与えたのが叔父のクルコーフスキーであった。昔、砲兵将校だった彼は数学に興味を持っていた。

ソフィアは彼から数学──円と同じ面積の正方形を求める問題、無限、漸近線──について話を聞いた。

さらにソフィアについた家庭教師マレーウィチもまた彼女の数学の才能を認め、高等数学の教科書を彼女に与えることで数学への思いを援護することになった。

彼女は新しいパスカル

ソフィアが14歳のとき、家の近くに住む海軍兵学校教授から物理学の教科書をプレゼントされた。

未知の内容に触れたソフィアは幼少の頃からの持ち前の粘り強さで、自力で三角法の概念を考え出してしまった。

父がそのことを教授に伝えると、教授は「ソフィアには真剣に数学を教える必要がある。なぜなら彼女は新しいパスカルだから!」と言い、ソフィアのために新しい数学教師を見つけてきた。

コーシー=コワレフスカヤの定理

ソフィアは偏微分方程式やアーベル積分の研究を行った。

ベルリン大学のワイエルシュトラス(1815-1897)へ弟子入りを認められたソフィアはワイエルシュトラスの家族にも娘のように可愛がられ、1871年から4年間、充実した研究生活を送った。

偏微分方程式の解の存在定理であるコーシー=コワレフスカヤの定理やアーベル積分を楕円積分に帰着する方法はこの時期の研究成果である。

ベルリン大学は女性であることを理由に、講座の受講を拒否。ソフィアの類い希なる才能を見抜いたワイエルシュトラスはソフィアの家庭教師として指導することになった。

コワレフスカヤのコマ

1874年、ゲッティンゲン大学から数学の学位が授与された。

1889年、論文『固定点を中心とする剛体の回転運動について』を発表。これが有名なコワレフスカヤのコマの発見である。

1888年、フランス科学アカデミー主催の数学コンクールのテーマが「1点を固定された剛体の回転運動」であった。剛体(コマ)の回転運動を記述するのがオイラー方程式と呼ばれる連立微分方程式である。

オイラーのコマとラグランジュのコマのオイラー方程式は厳密に解けるが、これ以外に厳密に解ける場合があるか、という問題がフランス科学アカデミーの問題だった。

ソフィアはオイラーのコマとラグランジュのコマの解が時間tの一価関数で、複素数のtに対して極以外の特異点を持たないことに着目し、新しいコマの発見に到った。

それはコマの主軸x,y,zの周りの慣性モーメントをA,B,Cとするとき、A=B=2Cで重心がx軸とy軸を含む平面内にあるコマで、コワレフスカヤのコマと呼ばれる。

ソフィアは超楕円関数を用いた解の表示を導いた。ソフィアの偉業に対してフランス科学アカデミーは当初の倍の賞金を与えた。

偽装結婚

女性であるソフィアがここまでに到るまでは苦難に満ちたものだった。

ソフィアは18歳のとき、外国に行くために地質学者コワレフスキーと偽装結婚をした。

ドイツ、ハイデルベルク大学に行くも入学は拒否された。そこで出会ったのがワイエルシュトラスだった。彼による4年間の指導の後、業績を上げ学位をとったのにもかかわらず大学での職は得られなかった。

容姿端麗のソフィアは社交界デビューしている。夫コワレフスキーとの関係は本当の結婚となり、1878年に娘を出産。結局学位取得後6年間、数学の研究から離れていたが、1881年から研究を再開。

1883年、夫コワレフスキーが事業の失敗から自殺。ショックを受けたソフィアの生活は荒れた。それでも立ち直って研究を再開し、論文『結晶体内における光の屈折について』を発表。

1884年にスウェーデン、ストックホルム大学教授に任命。ロシア人女性として初の大学教授になった。かくして1888年にコマの研究の快挙に到る。

1889年、ソフィアはスウェーデン科学アカデミー賞を受賞、チェビシェフの推薦でロシア科学アカデミー会員に選ばれた。

ロシアでの就職を諦めたソフィアは、終の住処と決めたストックホルムで新たな気持ちで数学に取り組み始めるが、1891年1月29日、肺炎により41歳の若さで亡くなった。

人類のために自然の法則を認識する道をひらくすべての科学のうちで、最も力強く、最も偉大なのは数学である。

ソフィア・コワレフスカヤ

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桜井進(さくらいすすむ)様

1968年山形県生まれ。 サイエンスナビゲーター®。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。 (略歴) 東京工業大学理学部数学科卒、同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。 東京理科大学大学院非常勤講師。 理数教育研究所Rimse「算数・数学の自由研究」中央審査委員。 高校数学教科書「数学活用」(啓林館)著者。 公益財団法人 中央教育研究所 理事。 国土地理院研究評価委員会委員。 2000年にサイエンスナビゲーターを名乗り、数学の驚きと感動を伝える講演活動をスタート。東京工業大学世界文明センターフェローを経て現在に至る。 子どもから大人までを対象とした講演会は年間70回以上。 全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など様々なメディアに出演。 著書に『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。 サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。

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