ジオ三昧のススメ

生活やビジネスに役立つ位置情報デバイス
第8回:GPSサイクルコンピューター

地図表示機能や測位機能を搭載したさまざまなデバイスの概要や現状について紹介するこの連載、第8回となる今回は、「GPSサイクルコンピューター」と呼ばれる自転車用の端末について紹介する。

サイクルコンピューターとは、スポーツ自転車の速度やケイデンス(回転数)、移動距離、タイムなどを表示するデバイスで、GPSを搭載した製品では、衛星測位で取得した位置情報をもとにリアルタイムにスピードを確認できる。ロードバイクなどのスポーツ自転車に乗っているときに、どれくらいのスピードを出しているのかをリアルタイムに確認することが可能で、高機能なものであればトレーニングの記録なども履歴として残せる。

位置情報を連続して取得することで移動軌跡を表示する機能や、地図表示機能などを搭載する製品もあり、カーナビのように交差点で右左折の案内を行うナビゲーション機能を搭載する製品もある。GARMINやbryton、LEZYNE、POLAR、YupiteruなどさまざまなメーカーがGPS搭載のサイクルコンピューターを扱っている。

オプションでケイデンス(1分間あたりのクランク回転数)や心拍などのセンサー、パワーメーターなどを用意している製品もあり、速度や距離情報の計測だけでなく、トレーニングに役立つさまざまな情報を知ることができる。また、電動の変速機を搭載している場合に、どのギアに入っているかを示す機能や、ヘッドライトと連動してスピードに応じて明るさを調整したり、後方から接近する車両を検知してディスプレイ上で警告を発する機能などを搭載する製品もある。

このほか、サイクリストのトレーニングに役立つ機能として、インターバルトレーニングのメニューを作成して登録することで、心拍数を目標値に上げるように指示が表示されたり、ウォーミングアップの終了やクールダウンのタイミングを知らせたりするなど、さまざまな機能が用意されている。

GPSを活用した機能として便利なのは、地図を使ったナビゲーション機能だ。サイクルコンピューターはトレーニング用としての性格が強いため、カーナビゲーションに比べるとルート検索の機能が少々弱いものの、サイクリング中に地図上で現在地を確認し、目的値の方向や曲がり角を確認する用途には十分に役立つ。GARMINの最新機種「Edge 1030」には、自転車道対応の詳細道路地図を収録しており、インターネット上で多くのユーザーから蓄積されたルートデータをフィードバックして最適なルートを算出する機能を搭載している。


Edge 1030

画像提供:ガーミンジャパン株式会社

サイクルコンピューター専用品ではなく、GPSウォッチや登山向けのGPSトレッキングナビをサイクルコンピューターの替わりに使用する人もいる。また、スマートフォンをサイクルコンピューターとして使うためのアプリもリリースされており、これを使えばスピードや走行距離などを計測できるし、スマホと連携可能なケイデンスセンサーや心拍センサーを使えば回転数や心拍数を計測することもできる。

ただし、スマートフォンを自転車にマウントさせるのは、転倒や雨天時、電池持ちのことを考えると不安に思う人も少なくなく、サイクルコンピューターの専用機も根強い人気がある。

なお、専用機の中には、CATEYEの「PADRONE SMART +」のように、デバイスそのものにはGPSを搭載せず、Bluetooth SMARTでスマートフォンと連携することによって、位置情報の取得はスマートフォンのGPSを利用し、サイクルコンピューターは表示だけを行うという製品もある。このような方式の場合、デバイスにGPSを内蔵しないため、軽量コンパクトでデバイスも安価に提供できる。

スマートフォンとの連携機能を持ったサイクルコンピューターの中には、グループの仲間に自分の走行位置をリアルタイムで知らせたり、メッセージをやりとりする機能を持つものもある。強い衝撃を検知したときに位置情報を緊急連絡先に自動送信する事故検出機能を搭載する製品もある。

いずれにしても、GPSを活用したサイクルコンピューターは、速度や回転数だけでなく、トレーニングの細かいサポートやナビゲーションなどさまざまな用途に利用することが可能であり、自分に合った製品を選べばサイクリングの楽しさが倍増すること間違いなしだ。

執筆者ご紹介  片岡義明(かたおかよしあき)様
フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。