コラム

ことわざに登場する地名マップをGISで作成

今回は、ことわざに出てくる地名をテーマにしたマップをGISで作成してみました。

電車で見かけた某学習塾の吊り広告に、私立中学校の入試問題が掲載されていました。

次のア~オはすべて慣用句です。□にそれぞれ場所を表すことばを入れたとき、ここ○○市からもっとも遠い場所にあたるものはどれですか。記号で答えなさい。 ....

残念ながら、私は以下の3つがわかりませんでした。

ア. 江戸の敵を□□□で討つ
イ. □□□評定
エ. 牛にひかれて□□□参り

皆さんはわかりましたか?

正解は ア:長崎 イ:小田原 エ:善光寺 です。

ちなみにこれらの意味は以下のようになります。

ア:意外な場所で昔の恨みの仕返しをすること、または筋違いな事で仕返しをすること。

イ:いつまでたっても結論が出ない会議や相談のこと。

エ:思いもよらないことや他人の誘いにより、良い方面に導かれること。

そこでふと、ことわざのうち地名が出てくるものがどのくらいあるのか気になったのでWebで調べてみました。

多数出てきた中からいくつかピックアップし、GISソフト「SIS」を使ってマップを作成してみました。

江戸からも立ち序 の夢大坂の夢 伊勢へ七度熊野へ三度 行徳の俎
江戸っ子の往き大名、還り乞食 口あればへ上る 近江泥棒に伊勢乞食 八幡の藪知らず
江戸っ子は五月の鯉の吹き流し 似ぬ物語 出雲の神の縁結び 駿河の富士と一里塚
江戸っ子は宵越しの銭は使わぬ 田舎にあり 出雲の神より恵比寿の紙 秋葉山から火事
江戸の敵を長崎で討つ に田舎あり 鹿島立ち 清水の舞台から飛び降りる
江戸の八百八町、大坂の八百ハ橋 田舎の学問よりの昼寝 日光を見ずして結構と言うな 飛鳥川の淵瀬
江戸べらぼうとどすえ 盲もへ上る 牛に引かれて善光寺参り 初めきらめき奈良
箱根知らずの江戸 の着倒れ大坂の食い倒れ 草加越谷千住の先よ 敵は本能寺にあり
男に 口では大坂の城もたつ おそれ入谷の鬼子母神 その手は桑名の焼き蛤
難波の葦は伊勢の浜荻 いざ鎌倉

やはり江戸や京(都)の登場回数が多いのですが、それ以外ではお詣りに関連する地名が多く見られました(伊勢、出雲、鹿島、秋葉山 など)。

若干ですが、場所やそれに因んだものをディスる系?のことわざもありました。

例:初めきらめき奈良刀(はじめきらめきならがたな):一見立派そうでも、すぐに役に立たなくなるもののたとえ。行徳の俎(ぎょうとくのまないた):バカですれていることのたとえ。

さて現代、地名の入った言葉としてヒルズ族、シロガネーゼ(白金)、アシヤレーヌ(芦屋)、マクハリーヌ(幕張)、ニコタマダム(二子玉川)といったものがありますが、これらもことわざに取り入れられていくのでしょうか?(場所が随分ピンポイントになった感じがしますが。)

可愛らしいところでは、「その手は桑名の焼き蛤」という地口があります。

「食わない」に地名の「桑名」を掛け、さらに桑名名物「焼き蛤」をつないで「その手には乗らないぞ」という意味を洒落で言った一種の言葉遊びです。

似たようなものに

「おそれ入谷の鬼子母神」
「草加、越谷、千住の先よ」
「その手はくわなの焼きハマグリ!!」

というのがありますね。いつか機会があったらこのセリフを使ってみたいです。

<参考>ことわざの部屋ウェブサイト https://study.matrix.jp/kotowaza/

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空間情報クラブ編集部

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