人と星とともにある数学 第30回

ペンタゴンの秘密

20180730_1ペンタゴンとは正五角形のことです。米国国防総省は建物の形状が正五角形であることから、別名ペンタゴンと呼ばれています。今回は正五角形に隠された秘密を解き明かしてみましょう。

まずは、角度。対角線を引いた正五角形の中に現れる角度は何種類でしょうか?

まずは、正五角形の内角の和を求めます。正五角形は3個の三角形に分割されるので、内角の和は180°×3=540°。よって、540°÷5=108°が正五角形の内角。

すると、内側の小さい正五角形の内角の反対側の角は180°-108°=72°。1つの角度が108°の二等辺三角形に注目すると残りの等しい2つの角度は(180°-108°)÷2=36°。

また、2つの等しい72°の二等辺三角形に注目すると残りの角度は180°-72°×2=36°とわかります。図の●1個が36°を表すとすると、●●=72°、●●●=108°で、現れる角度はこの3種類のいずれかとなります。

次は形。対角線を引いた正五角形の中には、形や大きさの違う二等辺三角形は何種類見つかるでしょう?

角度が3種類あることから、二等辺三角形は2種類あることがわかります。108°と36°と36°、36°と72°と72°の組み合わせです。

これらの二等辺三角形の大きさの違いを考えてみると、前者が図の③④の2種類、後者が図の①②⑤の3種類あります。ちなみに、対角線を引いた正五角形の中には、正五角形、平行四辺形そして等客台形(底辺でない2辺の長さの等しい台形)などの図形が隠れています。

最後は比。対角線を引いた正五角形の中に黄金比が隠れています。1:1.618…は黄金比と呼ばれ、φで表されます。線分を1:φに分割したものを黄金分割、縦横の比が1:φである長方形は黄金長方形と呼ばれます。

さまざまな工業デザインやレオナルド・ダ・ビンチのモナリザにも黄金比を見つけることができます。図のように正五角形の1辺と対角線の長さの比が黄金比、そして対角線が黄金分割されます。

では、黄金比の謎を解いてみましょう。図の二等辺三角形②と⑤は相似(簡単には形が等しい図形)であることに注目します。正五角形の1辺の長さを1として、正五角形の対角線の長さをϕとおいてみます。

すると、⑤の3辺の長さはϕ、ϕ、1、②の3辺の長さは1、1、ϕ-1とわかります。さて、⑤と②は相似なので、対応する辺の比の間に次が成り立ちます。

ϕ:1=1: ϕ-1

この式を整理すると、ϕ 2– ϕ -1=0となるので、2次方程式の解の公式を用いて、ϕ =(1±√5)/2と解くことができます。

ϕ>1より、ϕ =(1+√5)/2=1.618…が得られます。このϕが黄金比です。

古代ギリシャの数学者ピタゴラスは正五角形を重要視し、自らのピタゴラス学派のマークにしていたほどです。単純な形の中にこれほどの興味深い性質を兼ね備えた正五角形は、不思議な魅力を持った形といえます。20180730_2

執筆者ご紹介  桜井進(さくらいすすむ)様
1968年山形県生まれ。
サイエンスナビゲーター®。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。
(略歴)
東京工業大学理学部数学科卒、同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。 東京理科大学大学院非常勤講師。
理数教育研究所Rimse「算数・数学の自由研究」中央審査委員。 高校数学教科書「数学活用」(啓林館)著者。
公益財団法人 中央教育研究所 理事。
国土地理院研究評価委員会委員。
2000年にサイエンスナビゲーターを名乗り、数学の驚きと感動を伝える講演活動をスタート。東京工業大学世界文明センターフェローを経て現在に至る。 子どもから大人までを対象とした講演会は年間70回以上。
全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など様々なメディアに出演。
著書に『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。
サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。

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