屋内測位とは?

標準

2016年4月19日


今回は、屋内測位について解説します。

はじめに

私たちの生活の身近になった「位置情報」。
初めて出かけるスポットやお店にも、モバイル端末の地図・ガイドアプリを使って迷うことなくたどり着けることは、今や当たり前になってきています。

しかし、電波の届かない場所にいるので使えない・・というシーンがしばしばあるかと思います。そんなお困りのシーンを解決する技術「屋内測位」について、やわらかく紹介します。(今回は記事作成に際し、屋内測位技術の専門家である名古屋大学/河口信夫教授にご協力いただきました。)

屋内測位とは?

スマートフォンやタブレットで地図アプリを起動してルートを調べたり、SNSで位置情報を付記して投稿したりなど、位置情報を活用したサービスの利用は、今や身近なものになっています。これらはGPSの電波を取得することで利用できるサービスであるため、GPSの電波が届かない屋内では利用できません。

この問題を解決する技術が、屋内測位です。現在、実用化に向けた実証実験が多数行われています。屋内測位にかかる技術は様々で、位置情報の精度向上やスムーズな測位を目指し、複数の方法を組み合わせて用いられることもあります。以下に、その技術のいくつかを簡単にご紹介します。

Beacon(ビーコン)

Bluetooth Low Energy(BLE)を使って電波を発信する装置です。この装置を屋内空間に網羅的に設置し、位置測位対象となるスマートフォンなどの位置情報を推定します。また、モノ側にBeaconを携帯し、スマートフォンやタブレットを受信装置として活用することで、動体の管理に役立てることもできます。

Wi-Fi測位

無線LANの複数のアクセスポイントからの距離を電波強度または伝搬時間から測定し、端末の位置を推定することで位置を測る技術です。Wi-Fi電波の受信可能な屋内ほか、ビル影などで十分な数のGPS衛星の電波が受信できない場所での測位精度の向上に役立ちます。

自律航法測位

加速度・磁気・角速度等、各種センサーから取得した値をもとに、その対象がどのくらいの速度で、どの程度の力でどの方角に移動しているのかを、現在位置からの想定位置座標を測定することで対象物の現在位置を特定していく測位方式です。歩行者に各種センサーを取り付けたデバイスを持たせて計測する自律航法(PDR)が注目を集めています。なお、この各種センサーのほとんどは市販のスマートフォンに内蔵されているため、普及面でも期待されています。

IMES方式

GPS衛星と同等の信号を用いる屋内測位方式で、屋内にGPS衛星を補完する送信機を設置し、そこから発信される電波を受信することで正確に位置を求めることができるシステムです。この方式が標準化された場合には、GPS受信機(*IMES対応のGPS受信機)を搭載した端末であれば、特別なハード追加なしで高精度な位置情報を利用できるため、今後の普及が期待されています。

屋内測位技術は、社会でこんなに役立つ!

屋内測位技術以外の技術も必要になりますが、例として以下のような活用シーンが想定されます。この例示はほんの一部で、屋内測位技術は、今後より便利で快適な社会生活に役立つことが期待されています。

・駅や空港、地下街で、自分の現在地点を正確に特定。目的地までの正確なガイドに活用
・建物内での災害、事故発生時の被災者の特定と迅速な救助
・訪れたお店の位置が特定され、リアルタイムな広告が自動配信(関連技術:O2O
・倉庫内の在庫品管理や作業状況の把握

屋内測位技術の発展に向けて(名古屋大学河口研究室・Lisraの取り組み)

今回、記事作成にご協力いただきました名古屋大学/河口信夫教授は、研究室およびLisra(位置情報サービス研究機構)にて、位置情報に関する技術・サービスの研究・開発・教育・振興、および位置情報登録を行なうボランティアの支援をされています。

例えば、2015年11月に開催された「G空間EXPO」では、ゼミの学生・会員団体の協力の下、実証実験を実施されました。また、弊社主催の「空間情報シンポジウム」でも過去にご講演いただいており、ここでは交通量データなどビッグデータの解析と可視化技術の研究開発についても紹介いただきました。


関連記事
・地図マニアな日々:高精度測位時代の地図を考える(1)測位技術の歴史
・地図マニアな日々:高精度測位時代の地図を考える(2)高精度測位の地図への影響
・地図マニアな日々:高精度測位時代の地図を考える(3)屋内測位
・地図マニアな日々:高精度測位時代の地図を考える(4)防災地図はどう変わるのか