地理院地図・地理院タイル

標準

2016年2月16日


今回は、国土地理院が提供している「地理院地図」や「地理院タイル」についてご紹介します。

はじめに

地図がデジタル化されてウェブで使えるようになった現在、例えば業務システムやオフラインのシステムに使われるようなGISについてもウェブ地図で得られた経験を使えるよう、国土地理院地理空間情報部情報普及課では、ウェブ地図技術のGISへの普及促進を図っています。ここでは、そのウェブ地図技術の中心となる地理院地図と地理院タイルについてご紹介します。

地理院地図とは?

地理院地図は、国土地理院がインターネットを通して提供している地図サービスです。
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国土地理院が本業として行っているのはデータのインターネット提供でありシステムの提供ではありませんが、データ提供だけではデータの利用方法を伝えづらいため、データ利用のショーケースとして地理院地図を運営しており、国土地理院が捉えた日本の姿を国内外に発信しています。
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地理院地図の歴史

地理院地図は、ウェブ地図の黎明期に固有技術で実装していた部分が、ウェブ地図の進展に応じて様々なソフトウェアで利用できる方法に置き換えられていきました。それに伴い、インターフェースの名称も「電子国土ポータル」、「電子国土Web」、「電子国土Web.NEXT」、「地理院地図」と変わっていきました。
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地理院タイルとは?

地理院地図で配信している地図や画像などのデータのことを「地理院タイル」といいます。地理院タイルには、以下のような種類があります。
・ 地図
・ 空中写真(測量航空機や地球観測衛星、UAVで撮影)
・ 基準点・測地観測
・ 防災関連情報
・ 他機関の情報  など
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地理院地図ではどんなことができる?

地理院地図には、以下のような機能が実装されています。
・緯経度/UTMグリッド、広域図などの表示
・作図
・住所検索、地名検索、現在位置表示
・計測
・印刷
・3次元表示(回転・拡大縮小)
・地図表示をURLで共有、サイトへの埋込
・スマートフォン、タブレットなどのデバイスでの使用

地理院地図が更新された際には、国土地理院のツイッターで告知されています。例えば災害時には、UAVで撮影しオルソ化が完了したものが順次掲載され、リアルタイムに告知されています。

地理院タイルの活用促進に向けて

国土地理院では、地理院タイルの活用を促進するために、以下の3つの施策を実施しています。

1. オープンデータ施策

・2014年9月30日~
・2014年6月19日 政府標準利用規約(第1.0版)制定
(各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議)
・2014年9月30日 国土地理院コンテンツ利用規約制定
・2016年1月25日 国土地理院コンテンツ利用規約改訂

地理院タイルをより多くの人に利用してもらうため、複製・使用に関する承認申請がスムーズに行えるようになったとのこと。政府のオープンデータ戦略の進展に迅速に対応していることがうかがえますね。
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2. オープンソース施策

地理院地図のオープンソースソフトウェア利用の歴史は古く、2012年7月にはOpenLayersを用いたサービス提供を行っています。最近では、地理院地図自体のソースコードや技術仕様、サンプルプログラム及びツール類をソフトウェア開発プロジェクト用の共有Webサービス「GitHub(ギットハブ)」に公開しています。これにより色々な付加価値が生まれたり、さまざまな地理空間情報のやりとりがWeb上で広がっていくことを目指しているそうです。
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3. オープンイノベーション施策

リアルな情報共有・意見交換の場として、「地理院地図パートナーネットワーク会議」が実施されています。2014年11月以降、4回の会議(2014年11月・2015年2月・2015年6月・2015年11月)が開催されており、現在、約120名の開発者の方が参加しています(2015年6月現在)。会議では、受託開発者・ツール提供者からの事例紹介、少人数討議、地理院からの情報提供などを行っています。会議資料はすべてウェブ公開されています。インフォマティクスもこの会議に参加しています。
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地理院地図の発展に向けて

今後、地理院地図をより一層発展させていくためにキーとなる技術として、以下の技術が紹介されています。

1. 標高タイル

標高・地形のデータが標準でわかるように、標高データなど3次元地理空間情報もウェブ地図形式で提供されています。

また、2014年3月19日、地理院地図を3次元で見ることができる「地理院地図3D」サイトが公開されました。このサイトでは、国内の任意の場所を3D表示して地形図を印刷したり、3Dプリンタ用のデータをダウンロードすることができます。
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2. ベクトルタイル

2014年8月1日より、地理院地図等で扱えるようにすることを前提に、属性が付与されたベクトルデータがウェブ地図形式で提供されています。ベクトルデータに表現調整や処理などを加え、多様な用途に対応しています。
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2015年6月4日からは、全国の注記ベクトルタイルを地理院地図に組み込んで提供するということが実験的に開始されました。2015年8月2日には、道路・鉄道・河川の中心線、2015年10月28日には、全国の基盤地図情報項目(10m DEM及び点、線)の提供実験も開始されました。
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大量の情報もベクトルタイルで地図と連携可能です。
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3. 3Dプリンタ

データに基づいて素材を加工し、様々にカスタマイズできるものづくりを実現する「デジタルファブリケーション」の考えのもと、普及著しい3Dプリンタを国土地理院でも利用し、情報端末でも紙でもないメディアでの活用を提案しています。
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おわりに

国土地理院は、データ(=地理院タイル)とシステム(=地理院地図)を継続的に成長させることを通じて、次世代の地理院地図の実現を目指しているそうです。

国土地理院のようなデータ提供者とソリューション提供者がうまく連携しながら、課題解決を支援していけるといいですね。(本社営業部販促 M.F.)
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【記事について】
本記事は、空間情報シンポジウム2015大阪会場・名古屋会場で「地理院タイルの提供を通じたウェブ地図技術のGISへの普及を目指して」と題して講演された国土地理院/藤村英範様のご協力を得てインフォマティクスが執筆しました。

本記事の元となるシンポジウム講演資料(pdf)をご覧になりたい方は、こちらよりダウンロードいただけます。
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