My story ~空間情報と歩んだ40年~ (6)

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2015年8月3日


インフォマティクス 長島会長によるコラム第6回です。

CADからGISへ

日本ではGDSのようなCADを、3次元表現の機能を使って複雑な形状をパースにしてプレゼンテーションを行うための道具として使われる傾向がありましたし、パースの静止画を多数生成し、3次元映像のアニメーションを製作することにも使われていました。一方海外では、GDSを2次元の図面を描く道具として使われていました。その過程で、現在で言うBIM(Building Information Modeling:コンポーネントのもつ形状情報や属性情報のデータベースを建築設計・管理・施工に用いる手法)という概念で使う傾向がありました。

実際、GDSは様々な建物のファシリティーマネージメント(FM)に使われ、Kodak社、Goldman Sachs社、Sherson Lehman Brothers社、Stanford大学などでFMのシステムとして活躍しました。その後、アメリカ、オーストラリアなどでGDSをマッピングシステムとして使う試みが始まったことに伴い、1985年4月、AMS(Area Management System)というマッピングシステムをリリース。このシステムで、連続的にタイルを貼り合わせるように図面ファイルをシームレスに表示する仕組みを構築したことで、図面が無限の広がりを持てるようになりました。これが、位置情報とその他の情報を連携させるGIS(地理情報システム)につながっていきました。

1980年後半から海外でGDSをGISのように利用する事例が出てきました。当時最先端の事例であるオーストラリア・キャンベラ市のプロジェクトを視察しに行ったことがあります。これは、GDSを使って全市の土地管理、各種インフラなどの施設をシステム上で管理し、行政として実運用している事例でした。この事例を日本で紹介するために、1990年と1994年にオーストラリア大使館でキャンベラ市のGIS担当者を招きセミナーを開催しました。

また、同じ1980年代後半、英国ではARC社のスタッフが独立してCadcorpという会社を立ち上げ、PCのMS-DOS上で動くCADの開発を始めていました。この開発はAdam Gawne-Cain(約20年後に弊社の副社長に就任)が行っていたのですが、当時ミニコンピュータ上で稼働しているGDSに比べると、機能が乏しく実用化の目途は立っていませんでした。その数年後、AdamがWindows3.0のPCで動くCADを開発。これが1992年2月に発売開始となった、Windows上で動くCADシステム「MicroGDS」です。

1992年、社名をエー・アール・シー ヤマギワから「情報を科学する(informatics)」という言葉を語源とする「インフォマティクス(Informatix)」に変更しました。1992~1993年、日本でのGIS販売計画の具体化に伴い、英国でAdamによる日本語化も始まりました。

GISソフトウェア「SIS」の販売を開始

20年前、戦後最大規模と言われる被害を出した阪神淡路大震災(1995年1月17日)発生後、関係省庁との連携のもと、GISの効率的な整備とその相互利用を促進するため、1995年9月「地理情報システム関係省庁連絡会議」が設置され、GIS(地理情報システム)実用化の気運が一気に高まっていきました。

1995年春、建設省建築研究所(当時)で稼働していたGDSで、阪神淡路大震災の被害状況を正確に描いた地図の製作協力を依頼されました。デジタルな地図を探すことから始まり、数ヶ月後には被害状況を描いた地図が完成しました。これを機に、弊社内でも地理情報システムをビジネスにしようという機運が高まりました。ちなみに、その時のプロジェクトの図面は、つい最近まで社内に飾ってありました。

1995年7月、GISソフトウェア「SIS」の販売が開始されます。Windows上で動くGISとしては当時唯一のものでした。その後、爆発的にヒットしたWindows95(1995年8月販売開始)の販売開始に合わせてバージョンアップ。その後20年、先日リリースされたばかりのバージョン8.0に至るまで、SISはより高機能により使いやすく進化を続けてきました。1998年の長野オリンピックの警備システムなど、GISによるプロジェクトも次々と案件化していきました。

空間情報シンポジウムの開催

空間情報シンポジウムは、毎年開催していたGDSユーザ会の延長として、阪神大震災発生の翌年(1996年)から開始しました。「ユニークで良いシステムがある、ということを多くの方に知ってもらい、驚いてもらいたい」という関係者の思いから始まりました。

1995年のSIS販売開始以来、多数のユーザに恵まれ、おかげさまで開催20年目を迎え、延べ28,500名以上ものお客様にご来場いただきました。

MIT時代の恩師であるNegroponte教授には、会社創立10周年(1991年)、20周年(2001年)のイベントで講演していただきました。 コンピュータを取り巻く環境はこの30年間で大きく様変わりしましたが、「良いシステムを提供し、人々の役に立ちたい」という当初の思いは変わりません。また、学び合う集団として「知恵の創造」を実現することも変わらず目標としていることです。

インフォマティクスは、2011年に販売を開始した「空間情報クラウドコンピューティング」を中核とする総合的な空間情報サービスカンパニーとして、安心安全な社会に向けた情報基盤の構築や市民生活を支援する空間情報の提供など、幅広い分野における空間情報の適応をこれからも探っていきたいと考えています。


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