こんにちは、インフォマティクスの空間情報クラブ編集部です。
今回はネットワークボロノイについてご紹介します。
目次
ネットワークボロノイとは
GIS(地理情報システム)をご存じの方なら、「ボロノイ図」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
ボロノイ図とは、複数の点から平面を垂直2等分線で分割し、どの地点に一番近いかを表すための図です。
ボロノイには、地形を考慮せずに点からの距離だけで平面を分割してしまう難点があります。
下図は、川崎駅周辺の駅の地点を使用してボロノイ図を作成したものです。
平面的には①の駅が最も近いのですが、青いハッチ部分は川があるので、近隣住人が電車に乗る際にその駅まで歩いて行くとはとても思えません。
ボロノイの難点
ネットワークボロノイのメリット
そんな場合に便利なのがネットワークボロノイです。
ネットワークボロノイとは、複数地点から、道路などのネットワーク上で一番近い点を探すための機能です。
上図同様、駅からネットワークボロノイを行うと、以下のような結果が得られました。
青いハッチ部分は、②や⑥の駅が最寄り駅だということがひと目でわかります。
このように地形の制約も考慮して最も近い地点を検索する場合に、ネットワークボロノイはとても有効な機能です。
ネットワークボロノイ
道路の制約を加味したネットワークボロノイ
上の例では、各地点からの速度はすべて同じだと仮定して計算しました。つまり、ネットワーク上において距離的に最も近い地点が検索されたわけです。
しかし、たとえば車で移動する場合、国道や高速道路の方が速度が速くなるので、より遠くに移動することができます。
また、一方通行などの交通規制や、ルート検索の開始地点の検索の向きなども考慮したいところです。
下図は、道路の速度を加味してネットワークボロノイ分割した例です。
青いハッチ部分は、今度は⑥や②ではなく、④や⑦の地点から到達するのが速いという結果になりました。
これは、④や⑦の近くに国道があるためです。
道路の制約を加味したネットワークボロノイ
おわりに
ネットワークボロノイでは、地形の制約のほか、ネットワーク上の条件・制約なども加味することで様々な領域分析を行えるので、スーパーの出店計画や消防署の配置計画など、施設配置計画に有効です。
皆さんもネットワークボロノイを使って様々な分析を試してみてください。
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